学校現場から食の世界へ
説明がわかりやすいと好評の大島さん。8カ月の娘さんをおんぶしながらデモンストレーション
この教室を企画したのは「こめる農園∞こめる食堂」の大島誠子さんです。千葉県出身・東京都在住だった大島さんは、教育現場で食と健康のつながり・大切さを実感し、食育の世界へ。長野市松代地区にある皆神山がきっかけで訪れたことから、さまざまなご縁がつながり東京から松代へ移住。こめる農園∞こめる食堂と同時並行で、2018年の5月までは長野市地域おこし協力隊としても活躍していました。
「地域おこし協力隊をやりながら、自分たちで育てた米を米粉にし、7大アレルゲンフリーの焼き菓子を販売したり、松代にある歴史的建造物『寺町商家』でワンデイシェフなども開催していました」
長野市若穂地区の工務店「しあわせ家」さんのレンタルスタジオにて
今回教えていただくメニューは「乳製品不使用生クリーム&小麦・卵・乳製品・白砂糖不使用チョココーティングケーキ」。
小麦・卵・白砂糖不使用はなんとなく想像できますが、「乳製品を使わない生クリームはどうやって作るの? おいしいのかな?」好奇心でいっぱいです。
まずは、「米粉ケーキスポンジ」に取り掛かります。使用するのは大島さんちの無農薬栽培米の米粉(写真)やきび糖、無調整豆乳など。地元のスーパーなどでも手に入りやすい材料を基本に、選ぶ際のポイントも紹介します。また、市販のスポンジやホイップクリームの食品添加物についての注意点を聞くと、食品について知らないことがこんなにあるんだな、と驚くことばかり。でも、市販のスポンジやホイップクリームが良くない、と言っているわけではありません。
「手軽に手作りを楽しめる市販のものも良いですが、時々は原材料からこだわって作ってみてはどうでしょう」
と大島さん。時と場合によって砂糖や添加物を控えながら、おいしいものを手作りするなど、食の選択肢と可能性は自分自身で広げることができる、ということを教えていただきました。
スポンジ作り。右はココア入り
ポイントは、米粉などのドライのものと、油や豆乳などのウェットなものをそれぞれよく混ぜ合わせること。砂糖は乳化を促す働きがあるのでウェットのほうに入れること、など。材料すべてを混ぜ合わせたものに耳をすませると、シュワッというかすかな音が聞こえ、生地が膨らんでいる様子が感じられました。実験をしているようで楽しいです。
リピーターの方も、はじめての方も、すぐに打ちとけるアットホームな雰囲気
スポンジを型に流し込み、オーブンに入れて30分ほど焼きます。スポンジの焼き上がりの目安は、「串を刺して何も付いてこなければOK」とよく聞きますが、米粉の場合は生焼けでも串に何かが付くことはないので、焼き具合(色合い)を見ながら数分ずつ焼いて頃合いを見極めます。慣れてくると、香りでも焼き上がりが判断できるようになるそうです。
おいしさに笑顔が満開
(写真提供:こめる農園∞こめる食堂)
ケーキ完成のあとは、もちろん試食! と、その前に、こめる農園恒例の持ち寄りランチ会が開かれました。
(写真提供:こめる農園∞こめる食堂)
なんて豊かさを感じるランチプレートでしょう! あまりにもランチがおいしかったため、デザートのことを忘れかけたほど(笑)。でも、別腹でしっかり味わえましたね。しっとりしたスポンジと、フルーティーでちょうど良い甘さの生クリーム、絶妙な組み合わせでした!
「今回が3回目」という滝沢香さんは、上田市から娘さんと参加していました。
「普段から添加物などに注意して食材を選ぶようにしていますが、子どもたちにわかりやすく教えるのは、なかなかむずかしいな、と感じていました。今回は念願の講座を子どもと一緒に学べたのでうれしいです。ケーキも持ち寄りランチも、おいしくて幸せでした」
すてきな笑顔で答えてくださった滝沢さん。親子で心と身体においしい時間を過ごせたとお見受けしました。
今回ご紹介した「米粉ケーキスポンジ」や「乳フリーの生クリーム」は、米粉マイスターや加工食品診断士の資格を持つこめる農園∞こめる食堂・大島さんのオリジナルレシピです。「詳しい作り方を知りたい」「食品添加物について勉強したい」という方は、こめる農園∞こめる食堂のFacebookページでイベント情報をチェックしたり、直接お問い合わせしてみてくださいね。