昨年は長野県で「全国発酵食品サミット in NAGANO」が開かれ、さらに12月には「発酵・長寿県」を宣言し、味噌、漬物、お酒などの発酵食品のおいしい県としても知られてきました。
中でも「飲む点滴」などと形容され、甘酒が今ブームです。
店頭ではけっこうなお値段で売られています。
私の母などは、炊いたもち米と麹を混ぜて、鍋ごと新聞紙などでくるみ、こたつの隅に入れて、つくっていたものです。
ここはひとつ、自分でつくってみるべきでしょう。
甘酒は夏の季語なんだそうですが、つくることを考えれば冬だと思います。
*ここでいう甘酒は、酒かすを薄めたものではなく、(米)麹を使ったアルコールを含まないものです。念のため。
今でもつくろうと思えば、母と同じようにこたつの余熱でつくれはしますが、いかんせん、温度管理を含めて、加減が面倒です。電気毛布まで引っ張り出してきていろいろ試みた、筆者の結論です。
炊飯器を利用したつくり方も紹介されることがありますが、蓋を少し開けておくとか、全開のままでいいとか、いろいろあって手を出しかねます。
ここは、細かな温度設定ができる専用器の出番でしょう。
と、いっても、ヨーグルトメーカー(作製器)のことです。
甘酒専用器の方が、よくできるのではないか、と最初は思ったのですが、少なくとも手が出せる範囲のお値段では見当たりませんでした。
甘酒とヨーグルトは設定温度が違うだけで、つくる過程はほとんど同じですから、同じ装置で間に合わせるのは合理的です。
ネットで検索すると、牛乳パックをそのまま利用することで、容器の毎回の殺菌が不要という便利そうなメーカーもありますが、甘酒づくりが目的なので除外。
結構なお値段のメーカーもありますが、撤退のことを考えると、「そこまでは...」と考えました。
結局、一葉氏1枚でおつりがくる値段でヨーグルトメーカーを購入しました。2年ほど前のことです。
つくり方は、装置についてきたレシピや購入する麹の袋に書いてあります。それぞれ、微妙に違うような気がしますが...。私は一応、麹の袋のほうを採用しました。
厚手の鍋でもち米を普通に炊きます。
もち米1.5合に対し水300ccを加え、1時間ほどひたした後、コンロへ。強火で沸騰させ、蓋から蒸気が出てきたら弱火に。10分したら火を止め、さらに10分蒸らします。
炊きあがったら、お湯(40度ぐらいか)500ccを加え、混ぜます。熱々だったもち米の温度が60度弱に下がるので、ほぐした麹(500g=麹が出来上がった時の重量、「出麹時」と言うんだそうです)を加えてさらに混ぜます。
ヨーグルトメーカーに入れて60度、8時間に設定。
途中、何度かかき混ぜながら発酵させて、出来上がり。
という手順です。
ポイントは途中でよくかき混ぜること。
特に、ヨーグルトメーカーに入れて1時間ほどした最初の回です。
表面上は入れたときとあまり変わらないように見えます(写真左)が、大きなしゃもじで、こぼれないように慎重にかき混ぜていくと、次第にドロドロになっていきます(写真右)。
麹の芯はまだ残っていますが、この状態でけっこうな甘さになっています。
その後。2時間後と4、5時間後にでもかき混ぜますか。この辺りは適当です。1時間後にしっかり混ぜておけば、2、3回目は適当でOKです。
出来上がったらお湯で薄めて召し上がってみてください。
もちろん砂糖など一切要りません。
もち米の代わりに普通のご飯でもできますが、こくのある甘味はもち米のほうが勝ると思います。
甘酒ができれば塩麴はほとんど同じような作業で、楽勝です。
発酵食品生活のバリエーションのひとつにどうぞ。
なお、ヨーグルトはもっと簡単にできます。プレーンヨーグルトを種に、牛乳を加え、よく混ぜた上でヨーグルトモード(42度くらい)で8時間おくだけです。甘酒と違って途中に混ぜたりする必要はありません。寝ている間にできてしまいます。
一葉さんぐらいの投資はすぐに回収できます。
勢いに乗って、麹自体もつくってみようと思いましたが、こちらはけっこう大変そうでまだ手は出していません。 今後の楽しみに取っておきます。