2017年に厚生労働省が発表した最新の都道府県別の平均寿命ランキングで、長野県は男性2位、女性1位と好成績を残しています。前回(2013年)、前々回(2010年)には男女ともに1位で、長野県は「長寿県」として注目を浴びています。
今回は、「長野県」と「長寿」にまつわる「発酵」のお話です。
発酵食品はマジックだ
「発酵食品」と聞いて、何を連想しますか?
自然食品、手作り、健康・・・。人によって違うかと思いますが、東京農業大学名誉教授である小泉武夫先生は「発酵食品はマジックだと私は思うね」といいます。
先生に言わせれば、食生活によって長寿と短命との関係があり、発酵食品を摂取することによって免疫力が上がるとのこと。ガン細胞は突然変異によってできてしまいますが、免疫があればガン細胞も正常な細胞へ戻ると言われているでそうです。それくらい免疫力が大事なうえ、発酵食品がすごいパワーを秘めていることが分かります。
さて、「発酵」と「腐敗」は何が違うのでしょうか?
菌が食品を醸すという意味合いでは、「発酵」も「腐敗」も同じなのですが、人間にとって有用な菌が醸すことによって食品の栄養価があがったり、消化しやすくなる等の効果が得られるものを「発酵」と呼び、人間にとって有害な菌が味・においを嫌なほうへ変化させるのを「腐敗」と言います。菌たちにとっては同じことをしていても、人間にとっては真逆の意味合いになってしまうのです。
発酵王国・長野の漬物はスゴイ
野沢菜漬け
食品を発酵させると腐らなくなります。
雪深い長野県では、冬の農作業はできず、その間食べ物が少なくなるため、先人たちは春~秋にとれた野菜などを加工することによって冬場をしのんでいました。その最たるものが漬け物文化です。長野県では野沢菜漬けが有名ですが、実は漬け物も発酵食品なのです。野沢菜やかぶの葉などを洗って醤油(発酵食品)や塩、酢(発酵食品)、酒粕(発酵食品)で漬けることによってできているので、漬け物も実は菌による「発酵食品」だったというわけです。2017年にGI(地理的表示保護制度)を取得した木曽地方の伝統食「すんき漬け」は、塩やその他調味料を使用せず乳酸菌の発酵だけで漬け物になっています。
すんきを使った加工品
すんき漬け
他にも、麹カビによってもたらされる、信州味噌や日本酒(長野県の酒蔵の数:全国2位)も県内各地で生産されています。最近では、ワインやシードルの加工も盛んですが、こちらにも酵母が関係しているのです。
県内のワイン
長野県の食文化は、昔も今も発酵食品と切っても切れない関係にあり、この関係が長寿に繋がっていると言えなくもないのです。
「全国発酵食品サミット in NAGANO」開催!
2018年11月16日~18日にかけて開催された「全国発酵食品サミットinNAGANO」では、県内はもちろんのこと、全国から発酵食品が集まりました。
JAも出店しました
日頃から食べている発酵食品ですが、健康長寿のためにという意識も持ちつつ、これからも積極的に食べていきたいものですね。