19年ぶりの日本人横綱が誕生し、再燃している相撲ブーム。
まさに相撲が「旬」のこの時期に、長野県松本市で、地方巡業「大相撲松本場所」が開催され、横綱鶴竜をはじめとする多くの力士が熱戦を繰り広げました。
震災からの復興や五穀豊穣を願って
4月14日、朝7時半。会場の松本市総合体育館前には、既に長蛇の列ができていました。
当日の来場者は6000人超で、「満員御礼」。
この人気の理由は、長野県木曽郡上松町出身の地元力士「御嶽海」の存在です。
昨年の九州場所で小結に昇進。成長著しい御嶽海は、まさに地元の期待の星なのです。
座布団も地方巡業仕様
大相撲松本場所は、平成27(2015)年10月の開催に続き、今回が2回目。当時、御嶽山の噴火や神城断層地震など、長野県では大きな自然災害が続発していました。こういった震災からの復興や五穀豊穣(ごこくほうじょう)を願って、地元の7JAでつくる「JA中信地区協議会」が主催となり、1回目を開催しました。
「地域を笑顔にしたい」という願いから開催された松本場所。取材にうかがった日も、地元の保育園児や盲学校の生徒たちを招待し、車椅子でも観戦できるスペースを充実させた他、地方巡業らしく、地域の農産物を味わってもらうイベントやふるまいが行われていました。一部ですが紹介をしたいと思います。
信州のおいしいものが大集合!
JAによる直売コーナーでは、塩尻ワインや木曽牛コロッケ、大北小谷漬けや波田スイカの漬物入りおにぎり、おやきなど、地元の農畜産物を使った特色ある商品が販売されていました。
塩尻ワイン
木曽牛コロッケ
松本ハイランド産野菜を使ったおやきなど
松本一本ねぎ入り味噌・ぎょうざ
JA全農長野でも、信州きのこセットや、長野県産お米セットを販売しました。
全農長野のお米の販売も
信州きのこセット
昼食には、県産食材を使用した地産地消弁当を予約制で提供したほか、出場力士へは、地粉のすいとん入りきのこ汁を提供しました。
JA全農長野提供により、原材料のきのこ(えのきたけ、ぶなしめじ、なめこ)、信州ポーク、小松菜、すいとんなど、すべて長野県産の素材を使用し、当日作りました。
できあがったきのこ汁は、地元のJA松本ハイランド女性部が配膳に協力しました。
きのこ汁
地元JA女性部がおもてなし
御嶽海vs地元実業団相撲部
地元出身力士御嶽海の活躍を受け、JA松本ハイランドでは、昨年、県内唯一となる実業団相撲部を立ち上げました。今回の松本場所では、地域住民との交流イベントとして、御嶽海への実業団相撲部の挑戦が実現しました。
結果は・・・、一歩もひかない相撲を見せたものの、やはり御嶽海の圧勝。会場からは地元相撲部の奮闘に大歓声が送られていました。
挑戦した相撲部主将の小林雄矢さんは、高校時代に、当時中学生だった御嶽海と立ち会ったことがあり、十年越しの対決だったそうです。
小林さんは、「地元でこういったイベントがあると嬉しい。御嶽海の活躍が地元相撲部の活動の励みになっている」と話していました。
相撲部主将の小林さん
御嶽海と同じデザインの前掛け
地方巡業は、地域の「食」と「農」、そして住民の「期待」や「希望」がぎゅっと詰まったイベントであると感じました。御嶽海の活躍に伴い、相撲を軸とした地域の活性化に、今後もさらなる期待が持てることでしょう。