雄大なアルプスの清流と肥沃な大地、朝晩の寒暖差が大きい気候風土・・・。長野県南部に位置する上伊那地区は、恵まれた自然環境をいかし、日本有数の米どころであることはもちろん、野菜・果樹・きのこ・畜産など多品目の農業産地としても有名です。
その農畜産物の幅広い活用を! と、JA上伊那オリジナルブランド「伊那華(いなか)シリーズ」が誕生したのは平成8(1996)年。 発売第1号の「伊那華の米」以来、味噌・雑穀・五平餅・うどん・そば・ラーメン・餃子・ソーセージなど、すでに20種類を超える商品が販売されています。今回は、愛される商品を開発し、さらなる一大産地づくりに励む若き商品開発者を訪ねました。
作る人と食べる人をつなげるブランドづくり
ファーマーズあじ~な
朝から賑わう店内
やってきたのは、伊那インター近くの「ファーマーズあじ~な」。目の前には広大な農地と甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳など美しい山々が連なり、思わず「う~ん」と伸びをしたくなる気持ちの良いロケーションにある直売所です。取材当日も午前9時の開店直後から駐車場がいっぱいになる人気ぶり。
オリジナルブランドについて語る荒井啓助さん
ここでJA上伊那オリジナルブランド「伊那華(いなか)シリーズ」の商品開発を担当するのが、 JA上伊那営農部 特流直販課の荒井啓助さん(37歳)。伊那市出身で実家もお米農家という荒井さんは、JAに就職してから米穀施設担当、営農資材店と、生産者・組合員と特に近い現場にいたそうです。その後、現在の部署に異動して8年。この間、新商品の企画開発はもちろん、地元企業との共同開発・製造にかかわる打合せや全国の提携JA直売所への出張試食販売、テレビ・ラジオの出演など商品PRにも精力的です。
あじ~なからは甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳を望むことができる
「伊那華(いなか)シリーズ」の始まりは、伊那市を流れる三峰川(みぶがわ)*1の石灰水で育った自慢のお米から。まず、上伊那の農畜産物原料(素材)の美味しさをそのまま伝えることにこだわったそう。「地元のものを地元で食べたい」「生産者さんにも自分の育てたものが、どこでどう販売されるのか、見て食べてもらいたい」この一念からのスタートでした。
*1三峰川:天竜川水系の一級河川。天竜川水系における最大の支流
「オール上伊那産も夢じゃないっ☆」
荒井さんは、開発メンバーでいろいろなことを話しあって商品開発に望む、と言います。「餃子」の開発にいたっては雑談からだったとも。「数ある餃子商品でも、オール国産原料って実は少ないんじゃ・・・」「上伊那には野菜だって何だってあるよね。オール上伊那産も夢じゃないっ☆」と、・・・そんな会話から生まれたのです!!
伊那華シリーズ商品の手書き紹介
苦労した商品は、上伊那が全国シェアの約8割を誇る小麦「ハナマンテン」を使用したうどん。そのコシやツルモチの食感をいかすため、麺の太さや茹で時間など、ミリ単位・秒単位で、試しては食べ、食べては試しての繰り返し・・・。発売前には数百人もの主婦の方にアンケートを実施。うどんを茹でる時に「何分待てるか?」まで細かく質問したそうです。
ごみ問題も考え、できる限りの簡易包装を心がけたり、ビンやボトルではなくプラスチックのスタンドパック容器を採用する、といったエコにも取り組みました。今年(2016年)4月に発売した「伊那華のねぎだれ」は、上伊那産の「白ネギ」を100%使用。もちろん、使いやすい食べ切りサイズの120gでスタンドパック入り。JA上伊那管内の直売所やA・コープ、ファミリーマートJA店で通年販売されています。賞味期限も常温180日と原料の安全・安心は言うに及ばず、開発・委託製造・販売に様々な工夫がなされています。
もともと白ネギは同JAの野菜販売高でアスパラガスに次ぐ2位と中心的な作物。品質に問題はない規格外(小さい・曲がり)などの有効活用にも役立っています。「おでんのつけだれ」として地元では有名な「ねぎだれ」を万能だれとしたことにもご注目♪ 刻みネギをしょうゆと砂糖などで味付けしたたれは、冷奴や揚げナス、焼肉、ハンバーグにも、玉子焼きや炊き込みご飯にもバッチリあいますよ。
新商品ねぎだれのPRでラジオ生出演
やりたいこと、作りたいものがあっても、現実的にはコストなど様々な問題から断念した商品もあった、と荒井さん。常に考えているのは、「何より生産者のモチベーションアップになれば」ということ。「農家さんが真心を込めて育てた農畜産物に付加価値をつけて(ブランド化して)より高く販売して還元したい」「全国の方に上伊那の農畜産物のおいしさや魅力を知ってもらいたい」と、人懐こい笑顔の中にも、強い思いが伝わってきます。
年末年始に食べよう!オール上伊那産そば&うどんセット
2016年は12月8日から発売した「年越しそばと年明けうどん」
年末をひかえた12月8日、今年も「年越しそばと年明けうどん」セットの販売が開始されました。
「贈答用品を」との声にお応えし発売スタートした商品があります。その名も「年越しそばと年明けうどん」セット。
殻まで挽いた風味豊かなやぶそばで一年を締めくくり、新年には太く長く純白で清廉なうどんを食べ、その年の幸せを願うというもの。半生そば4人前・半生うどん4人前・めんつゆと伊勢神宮で祈願した「木曽ひのき箸」付で2,160円(税込)です。当日店頭の試食会に立った荒井さんは、大勢のお客さんに声をかけながら説明します。「主人の実家に帰省する時のお土産に」と即購入された若いお母さんや、「元々シリーズのファンだった。このセットを待っていた!」と5箱も購入された方など、発売初日から勢いのある売れ行きで荒井さんも笑顔ヽ(*´∇`)ノ 上伊那の年末の定番商品になっています。
試食会
年越しそば(右)と年明けうどん
これからも季節を感じられる商品を作り続けたいと、ファンづくりにも余念がありません。「伊那華シリーズ」のギフトセットも大人気だそうで、この日も生産者の想いも詰め込んで発送準備に大忙しの荒井さんでした。
伊那華シリーズ商品ずらり
<伊那華シリーズ商品を購入できるお店>
■ファーマーズあじ~な(リニューアルのため冬季休業を予定)
長野県上伊那郡南箕輪村 8143-1
TEL 0265-78-0701
■みはらしファームとれたて市場
長野県伊那市西箕輪3416-1
TEL 0265-74-1805
■駒ヶ根ファームス
長野県駒ヶ根市赤穂759-447
TEL 0265-81-7711
■たじまファーム
長野県上伊那郡中川村片桐4000
TEL 0265-88-4855
※その他、JA上伊那管内のA・コープ店で販売中です。
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