ＪＡの特徴を生かして運営する歯科診療所
やってきたのは長野県南部・阿南町にある「ＪＡみなみ信州阿南歯科診療所」です。ＪＡみなみ信州が運営しているこの診療所は、今年の5月7日にオープンしたばかり。全国のＪＡのうち、初めて歯科診療所の運営を導入したのが、ＪＡみなみ信州です。今回の阿南町歯科診療所の開設で、管内では2軒目の歯科診療所となりました。ＪＡは、農業の活性化だけではなく、地域の活性化にも貢献できるよう、様々な活動を行っているんです。
ここ阿南町歯科診療所は、院長先生を含めた4名のスタッフで運営されています。
診療所での診療は午前中で終え、午後からは、老人ホーム等の施設や病院への往診のほか、寝たきり状態の方や自宅が山間地にあり身体が不自由な方など、診療所への通院が困難な方を対象とした訪問診療を行っています。
訪問診療に持っていくものは、エンジン（歯を削る道具）、スケーリング（歯石除去）、バキューム（唾液を吸引する道具）、レントゲン撮影装置機、その他機器のたったこれだけ。
訪問診療では、歯科医と、患者さんがお世話になっているヘルパーさんやかかりつけの内科の医師らとで密に連携を取り合うことで、患者さんのお口を含めた全身の健康状態を常に共有できるような体制になっており、基本的には診療所と同じレベルの治療が受けられます。
おいしく食べることが健康につながる
歯科医の仕事は、むし歯や歯槽膿漏といった歯や口の治療だけではありません。おいしく食べられる健康的な歯や口の機能を「保つ」ことも大切な仕事です。
近年、全国的に虫歯の数は減少しています。 その背景には、フッ素入りの歯磨き粉やフッ素塗布の普及のほか、親から子への歯磨き習慣の徹底など、口の中の健康に関心が高まっていることが挙げられます。
一方で、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に暮らしている家の方が、虫歯の数が多いというデータもあります。かわいい孫に、ついお菓子や甘いものを与えてしまうおじいちゃんやおばあちゃん、食べた後にはハミガキの呼びかけもお忘れなく。
健康な歯と口を保つための4つの習慣
健康な歯、口を保つためには以下のことが大切です。
【食べたらすぐにハミガキをする】
口の中を酸性の状態のまま長く放置しないことが大切です。
【ダラダラ食べない】
おやつなど甘いものを食べるときは特に注意しましょう。歯が酸性へと傾いてしまい、虫歯のリスクが上がります。食事を楽しむのとダラダラ食べることは違います。意識しましょう。
【しっかり噛む（飲み込むような食べ方をしない）】
唾液には、消化・吸収を助けるはたらきや、抗菌作用があり、噛むことによって分泌がうながされます。
よく噛んで、食物と唾液をなじませることにより、誤嚥（ムセ）も防げます。また、噛むことは、脳の活性にもいい影響を与えるといわれています。
【やわらかいものから食べ始める】
※入れ歯をお使いで、固い食べ物に不安のある方が対象
いきなり固いものを食べず、やわらかいもので慣らしながら食べ始めましょう。入れ歯になると、噛む力のコントロールが難しくなります。
「甘い＋甘い」は歯に厳禁！
近年、間食の時間にも、お煎餅やお茶といった日本ならではの食文化より、ケーキや紅茶といった欧米型の食文化が好まれてきております。
しかし、ケーキやお菓子＋甘いジュースといった食べ方は歯にとって、とても悪いんです。
世界中の様々な"食"を楽しめるのはとても楽しいこと。「ケーキを食べない」「ジュースを飲まない」ではなく、ケーキを食べるならば、飲み物は必ずお茶にするなど、食べるときの組み合わせを意識して"食"を楽しみましょう。
今回取材協力していただいたJAみなみ信州阿南町歯科診療所の石田健院長は、
「歯が悪くなると栄養のバランスが偏り、心疾患、脳血管疾患のリスクが上がるという報告もあります。いつまでも"食"を楽しめるように、"健口"に保ちましょう」
と話してくれました。
"食"を楽しむためには、日頃から歯と口のケアを忘れずに、よく噛んで素材の味を楽しみたいですね。
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