多すぎる幸福はその実感を減らす――
と昔の人が言ったかどうか分かりませんが
薄〜くスライスしたマツタケご飯に幸福を感じる庶民......、といえば、今回の取材を担当した私、編集部員Aです。
マツタケとは縁の薄い身ながら、今年はマツタケが豊作と聞き、産地はどんな感じかと訪ねてみることに。行先は県東部の上田市別所温泉のマツタケ山、その山中に立地する城山園です。
とれたてのマツタケをふんだんに使った料理が食べられるという、夢のような「マツタケ小屋」があるって、本当でしょうか!?
今年のマツタケは?
――「ちょい豊」です!
あいにく、途中の道路が工事中のため、温泉街にある駐車場までマイクロバスで迎えに来てもらい、さらに小型の車に乗り換え小屋の近くまで行き、小屋までの150メートルほどを徒歩で上り下りする行程でした。
着いたのは昼時を少し過ぎた時間帯でしたが、平日にもかかわらず小屋の中はお客さんでいっぱい。県外からも多く訪れており、マツタケ大豊作のうわさは本当かと期待は高まります。
想像していたより大きな建物
オーナーの滝沢兼雄さんはマツタケの収穫に出ていて留守でしたが、息子さんの啓太さんにお話を聞きました。
「シーズン当初はすごく期待しましたが、その後は豊作というほどでなく、通期で言えば『ちょい豊』というところでしょうか」
う〜む「ちょい豊」。業界用語として奥が深いです。ただ、近年マツタケの収穫量が減ったと聞いていただけに良かったと思います。
アカマツの木に囲まれた
「天空のマツタケ小屋」
アカマツが床と天井を貫く
案内された席で、マツタケ料理の良い香りに囲まれながら見回すと、小屋の中にはアカマツが何本も生えています。正確に言うと、アカマツの林を生かし、木を損なわないよう小屋が造られているのです。
小屋からは塩田平が一望でき、まさに「天空のマツタケ小屋」。屋外で食事をしているような気分もちょっぴり味わえます。
小屋からは塩田平が一望
歯触りも味も香りも!
メーンディッシュはマツタケ鍋。スライスしたマツタケの厚さにびっくり。あまり煮込まないうちに味見を......。思った通り歯触りも味も香りも最高でした!
マツタケ&シメジなどの天ぷらも、茶碗蒸し、土瓶蒸しも良かったのですが、一番印象に残ったのがホイル蒸し。極上のマツタケを出汁とともにアルミホイルに閉じ込め蒸し上げた一品です。「由緒正しいマツタケ、それは私です」と主張しているような自信たっぷりのお姿です。もちろんお味の方は言うまでもございません。こうも贅沢なマツタケ尽くしの料理を目の前にすると、日常の幸福感を超越してどう反応していいのか、正直戸惑います。
コース料金は4800円から、12600円のフルコースまで。4800円コースでもマツタケ鍋、土瓶蒸し、お吸い物、香の物、マツタケご飯などボリュームたっぷり。十分堪能できます。
ただ、2013年の営業は11月10日まで。啓太さんによると「マツタケの量がもたない」とか。お近くの方はお急ぎを。遠くにお住まいの方は来年の参考になさってください。
◇関連リンク
・松茸山 城山園
・別所温泉観光協会