今回は、いよいよ最終回。大型台風が何度も日本を直撃し、大きな被害をもたらしていますが、台風にも負けずなんとか育ってくれました。たくましく生長してくれたわが子に感謝をしながら、稲刈り〜脱穀〜精米と、お米にして食べるまでの作業をお伝えします。
1.稲刈り
穂が出てから40〜50日ごろで、穂の約90%が黄金色になったくらいが稲刈りの目安です。10日くらい水を抜いて乾かしてから稲を刈ります。バケツで育てた稲ですが、意外としっかりしていて鎌でスッとは刈り取れないくらい丈夫な稲となっています。半年近くも水やりなどをして育ててきましたが、あっという間の作業です。
稲刈りをしたら、根元を結んで干します。すぐ近くに田んぼの稲がはざかけされていたので、それと比較するとさみしい感じもしますが、手をかけたわが子、負けませんよ。
2.お米にする
10日ほど干して乾燥させたお米をいよいよ脱穀します。牛乳パックが活用できるそうで、洗って乾かした牛乳パックの中に稲を2本ほど入れては、口を絞って引っ張ると脱穀され、中にもみが残ります。
次は、もみすり作業です。もみすりには、なんとすり鉢と軟式野球ボールを使います。ボールの硬さがちょうどいいそうで、一握りのもみを入れてはゆっくり上の方まですりあげると、もみがらとお米が分かれてきます。息でもみがらを吹き飛ばすともみすりの完了となります。この作業で注意したいことは、吹いた時のもみがらです。屋内で作業すると後片付けがかなり大変になりますので、ご注意ください。
続いて精米作業です。玄米になったお米をビンに入れて棒でつくと、粉が出てきてきれいな白米になります。年配の方に聞くとこの精米作業は、お母さんが夜なべをして行っていたなどと話していました。所要時間は一時間ほどと、手間のかかる作業ですが、いまいち手ごたえを感じられない作業の一つです。
3.炊く
精米したお米を洗うと、お米らしくなります。芽だし作業などで選抜されなかったお米もバケツに植えて作業していたので、全部で1合ほどになりました。少し精米作業が足りなかったのか、胚芽らしきものが残っています。
せっかくなので、炊飯器ではなく、釜を使いガスコンロでお米を炊くことにします。
自分で栽培したからか、ガスコンロで炊いたからなのか、何ともつやつやしていておいしそうに炊けました。少しずつ分けて食べてみると、お米の味を存分に味わうことができます。保育園に通う子どもも、普段の白米だと残してしまうことがしばしばですが、おいしそうに口にほうばり、「おかわり!」を連呼しました。
バケツ稲づくりを終えて
「米」という字は八十八手がかかることからできているという話もお伝えしましたが、本当に気の抜けない作業が多いことを感じました。昔の人はよく「ごはん茶碗にお米がついているともったいないからきれいに食べなさい」などと言っていましたが、まさに実感することができました。これからは更にお米、農畜産物を大切に食べたいと思えたバケツ稲づくり。もう手がかからないと思うと手持ちぶさたな感じもしますが、農を身近に感じられた観察記録となりました。庭がなくてもバケツと土さえあればベランダなどでも栽培できます。農業を身近に感じることで、食物を大切に思う気持ち、作っている人の想いを大切にしたいですね。
◇参考リンク
・バケツ稲づくりマニュアル