川中島白桃の里に「美味しい工場」がある?

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太陽の陽射しをサンサンと浴びて、たっぷりと美味しさを蓄えたピンク色の丸々とした果実。そんな桃が味わえるのも真夏のわずかな期間だけですが、桃の美味しさをそのままに、手軽に味わえて、旬の頃を過ぎても楽しめるのが、今回ご紹介するジュレです。

20130904kawa11.jpg濃厚な桃の香り、そして果肉を覆う甘酸っぱいゼリー状が、完熟した桃の甘さを一層際立たせます。ジューシーながらもさっぱりとした味わいで、ひと瓶の中にゴロゴロと果実が入っているのも嬉しいもの。ジュレに変身を遂げた桃は、ますます美味しくなっています。
"くだものを食べていただく"をコンセプトにつくられているこのジュレは、「まるで果物を食べている感覚の、旬の果物の美味しさそのままを味わってもらいたい――」。そんな思いでつくられています。


この商品は、NPO法人 信州・川中島平ファクトリーで製造・販売されているもの。
商品誕生のきっかけを、代表理事を務める宮崎愛子さんに伺いました。

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「この美味しさをもっと多くの人に届けたい」
から生まれた川中島白桃のジュレ

ここ長野市川中島は「川中島白桃」を世に誕生させた、川中島白桃発祥の地。昔から桃づくりが盛んな土地柄で、もちろん現在でも周囲には多くの桃畑が。宮崎さんは、そんな川中島の地へと関西から嫁いできたのでした。
農家が丹精込めて育てあげ、その成果がようやく実りとなって辺りが桃の甘い香りに包まれる頃、近所の農家から、わずかな傷などで規格外となった桃を時々もらっては食べていた宮崎さん。しかし時にはそんな桃が、食べられることの無いまま畑に廃棄されるのを目の当りにします。

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「こんなに美味しい桃が、食べられることのないまま捨てられるだなんて、もったいない。この美味しい川中島白桃をもっと多くの人に知ってもらいたい。食べてもらえる方法はないかしら」と、思いを同じくする仲間と始めたのが、桃を使ったジャムづくりでした。
その後、縁あって、農産物加工開発のスペシャリスト・青山吉昭さんの協力を得て、ジャムではない、缶詰でもない、川中島白桃のジュレを完成させたのでした。

愛すべき川中島の景観
桃畑の風景を守ろう

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現在における日本各地の農業にもいえることですが、農家の高齢化や後継者不足などの影響で、栽培面積や生産量が年々減少しています。川中島白桃発祥のこの地でも例外ではありませんでした。
そんな状況から、「桃の産地とされてきたこの川中島を守りたい。再び桃の産地として復活させたい」。そんな農家や、昔から桃に囲まれて暮らしてきた住民の思いをつなぎ、地域ぐるみでひとつのものをつくりあげ盛り立てたいと、地元企業などの賛同を得て立ち上げられたのが信州・川中島平ファクトリーなのです。
原料の桃は、後継者のいない畑や農業ができない農家から農地を借り受けて栽培しながら、生産者に代わって遊休農地解消にむけて栽培管理を行うNPO法人「風とみどりの会」からのものをはじめ、地元の農家から農産物を仕入れることで農家を応援しています。

果物の美味しさが命
人の手で丁寧に

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果物をそのまま食べているような製品づくりには徹底したこだわりがあります。
果実の美味しさを命としている商品ですから、そのこだわりを農家の人に理解してもらい、品質の良い桃を持ち込んでもらうのに、およそ3年がかり。枝の剪定から収穫まで農家に何度も足を運び、勉強会を重ねながら「ようやく今、納得のいく商品がつくれるようになってきたところで、ありがたいです」と、ホッとした表情を見せる宮崎さん。

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そんな地元農家から持ち込まれた旬の原料は、すぐさま同じ地域にある加工施設「産直工房」に持ち込まれます。生産地から加工施設までが近いことで、採りたての美味しさを逃しません。
さらに、農家が手塩にかけて育てた桃は、果肉のデリケートな果物ですから、例えば桃の皮むきは、人間の手で一つひとつ優しく行われるほか、桃がもつ糖度によって甘さを加減するなど、その工程は、素材がもつ美味しさを引き出すために丁寧に手作業で行われており、大量製造を目的とはしていません。

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20130904kawa09.jpg美味しい! 楽しい! びっくり!
県内の美味しい特産物に"夢"を

現在、信州・川中島平ファクトリーでつくられている製品は、川中島白桃をはじめ20種以上。甘酸っぱさがおいしい「黄金桃」や長野県特産のリンゴ「シナノゴールド」、県内で開発されたブドウ「ナガノパープル」のジュレ、そしてコンフィチュールのほか、変り種として、川中島周辺の信更地区で採れるギンナンを使ったピクルスのジュレや、地元の伝統野菜「小森(地区)の丸ナス」のジュレなどがあります。
20130904kawa10.jpg「県内の美味しい果物をたくさんの人に味わってもらいたい。そしてまた、ちょっと驚きながら楽しんでもらえたら嬉しいです」と話す宮崎さん。さらに、遊休農地の解消としてつくられている農産物での商品開発も手掛けるなど、地域の頼もしい存在にもなっている信州・川中島平ファクトリー。
生産者からは、「こんな夢のあるものがつくれるとは思わなかった。これからもっといい桃をつくるように頑張るわね」と言葉を掛けられるなど、農家にとっても桃づくりへの励みは増しているようです。

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農家の夢と希望をのせて、農産物の宝庫・長野県の美味しさをギュウッと閉じ込めた信州・川中島平ファクトリーのシリーズ。長野にお立ち寄りの際には、長野駅構内の「しなの木」で購入することができます。また、通信販売も行っています。
栽培農家の活動などは、フェイスブックやツイッターなどで知ることもできますので是非ご覧ください。

NPO法人 信州・川中島平ファクトリー
〒381-2223 長野市里島76-2
電話:026−293-3600

1378220400000

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