もしあなたがここ最近イチゴを口にしていたのなら、それは1年でもっとも美味しいイチゴを食べているのかもしれません。というのも、2月はイチゴが一番美味しい時期なのですから。
立春を迎え、ようやく県北部の信州・長野市にも春の気配を予感させる暖かい陽気が訪れるようになりましたが、とはいえ日本海側に近く山々に囲まれた善光寺平の春はまだ遠く・・・そんな春の訪れが待ち遠しい長野市から、ひと足早い春を味わう旅へと、南をめざして出かけました。
すっきりしなかった県北部の曇り空も、いつしか注がれる日差しが眩しい程にかわり、途中、青く晴れ渡った空をバックに、雪に覆われ一層気高い様子でそびえ立つ北アルプスや中央アルプスの駒ケ岳が間近に見えたのもつかの間、やがて広い空のもと田畑がどこまでも続く景色に変わり、県南部の伊那谷を南北に流れる天竜川に沿って到着した先は、長野市からおよそ160キロの下伊那郡喬木村(たかぎむら)。
広がる田んぼの真ん中に目指したイチゴのハウスはありました。
夢のイチゴハウスの中
扉を開けた先に広がって見えたのは、青々と元気な様子のイチゴの葉っぱ、そしてその下からはなんと重そうに、ユサユサとぶる下がっているイチゴたち。そこにすでにイチゴ狩りを堪能した人の「42個も食べちゃった!」なんて声にそそられる気持ちをぐっと抑えながら、それにしてもハウスの内部は天気の良さも手伝って、20度近くを示す気温はまさに春が訪れたかのよう。
2月のイチゴがおいしいわけ
とはいえ年間の中でも寒いこの時期は、イチゴがゆっくりと時間をかけて生長しながらそれに合わせて色付きもじょじょに進むため、色にあわせて甘味ののったイチゴに出来上がるというのが、2月のイチゴが美味しい理由です。そうして暖かくなるにつれてイチゴは生長が早く、同じ色付き具合ではまだちょっと酸っぱいイチゴで、同じ品種でも時期によって味が異なって感じられるのだそうです。
けれど冬場は甘いもの、また暖かくなればちょっと酸味のあるものの方が好まれるようになるでしょうから、2月以降もイチゴは美味しく感じて食べられるのではありますけれど。
甘いイチゴは太陽の恵み
また甘いイチゴになるため光合成には欠かせない太陽の光。それが県内でも南に位置するこの喬木村は県北部に比べて圧倒的に晴れの日が多いことで日照時間が多く、糖度の高いイチゴに育つのです。さらに立ったままや車椅子など無理のない姿勢で楽しめる高設栽培のイチゴは、土に近い有機培地を使っていることも、しっかりと味ののったものに仕上がっている要因かもしれません。
親指2本分もある大粒のイチゴ
喬木村のイチゴ狩りで栽培されているものの多くが「章姫(あきひめ)」という甘味が強く細長い大きな形をしたイチゴ。その大きさはざっと親指2本分くらいある程で、スーパーなどでは滅多にお目にかかることのないそのサイズに、誰だって自然とテンションもあがります。
大粒の章姫にかぶりつきながら、見渡したハウスの中に並ぶイチゴが植わるベンチは30メートルとどこまでも長く、しかもそれが20列、さらにその左右にイチゴが実っているのですから、美味しそうなものを端から獲って食べていたのでは、到底1列目の最後までもたどり着くことは出来ません。
がっかりさせないシステム
けれど多くの人が訪れた日の翌日は「真っ赤な粒が少なくなってしまうのでは?」と心配する人もいるかもしれません。しかし、ご安心を。喬木村のイチゴ狩りは14の農家と農事組合の1法人とで計22箇所もの施設で受け入れが可能となっていて、日々の受け入れ先は、定期的にハウスを巡回して様子を確認しながら決めているため、訪れた時には誰でもたくさんのイチゴが出迎えてくれるのです。ただし春休みシーズンばかりはとても込み合うため、希望にお応え出来ない場合もあるそうですけれど。
練乳もお替り自由!
さらに喬木村のイチゴ狩りは「食べ放題の時間制限なし!」ついでに「練乳もお替り自由!」と太っ腹。「訪れたお客様にゆっくりと楽しんでいってもらいたい。そしてまた何度でも来てもらいたいと思うせめてものサービス」と言って「イチゴを食べるばかりでなく、実っている様子や花の様子などにも目をくれながら、ひと足早い春を楽しんでもらいたい」そう園主さんはイチゴ狩りの楽しみを教えてくれました。
イチゴでビタミンCの補給
ご存知の通り、イチゴはビタミンCの宝庫。中くらいのイチゴ7、8粒で1日の必要量は十分ですが、特に女性にとっては、肌を整え、メラニン色素の増加を抑える働きをもつなど肌の美容には是非とも摂りたい栄養素。また風邪をひき易い人は、血液中のビタミンC濃度が低く、さらに脳内のビタミンC濃度が高いほど、長寿であるという結果も出ているなど、病気と無縁で長生きするにはこのビタミンCは欠かせません。
またイチゴに含まれる食物繊維のペクチンは、血液中のコレステロール値を下げ動脈硬化の予防や便秘の解消、そしてイチゴの酸味は体内の疲労物質を分解して疲労を回復させたり、さらに虫歯予防のキシリトールも含まれるなど、可愛い姿のイチゴはとても頼もしい存在なのです。
お出かけには事前予約が吉
イチゴハウスの中は上着が要らない程の暖かさ、真っ赤なイチゴと白い花、忙しく蜜を集めるミツバチの様子に、寒さで止まっているようにみえた景色もここに来ればゆっくりと動きはじめることでしょう。喬木村のイチゴ狩りは5月31日まで楽しめます。事前に予約をしてからお出掛けください。
喬木村のイチゴにアクセス:
・たかぎ村イチゴ狩り実行委員会
〒395−1101
住所:長野県下伊那郡喬木村1440‐1
喬木村農村交流研修センター内 ※飯田養護学校向かい
電話 0265‐33‐3999
たかぎ村イチゴ狩りホームページ
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