標高1,000ｍの高原で食べられている極上の病院食｜地域情報

病院で食事をとることの魅力とは、栄養士によって適切に管理されたメニューが食べられること。
食事は、健康的な体づくりにおいて重要な役割を担っているのはもちろんですが、味わい、楽しむこともまた、その魅力の一つです。
今回は、「とても美味しい」と評判の富士見高原病院の食事と、患者さん目線で考えられた4つのこだわりを紹介します。

療養所からスタートした地域とともに歩む病院

やってきたのは、諏訪郡富士見町にある富士見高原病院。
この病院は標高約1,000ｍの高所に位置し、周囲には鮮やかな大自然が広がり、壮大な八ヶ岳や南アルプスを見渡すこともできます。また、この病院の前身である「富士見高原療養所」は、結核患者のサナトリウムとして、宮崎駿監督の映画『風立ちぬ』の診療所のモデルともなっている病院なんです。

(1) "食材"のこだわり：
Aコープのとれたて農畜産物

ここの病院食の食材は、毎朝Aコープからとれたての農畜産物を仕入れていることです。
仕入れた農畜産物は、昼食の時間に合わせて10時頃から少しずつ調理に取り掛かります。　
病院食は主に「入院患者用」と「人間ドック受診者用」があり、取材時に調理していたのは人間ドック用の病院食でした。
そのメニューがこちらです。

・チキン南蛮
・金目鯛のコンソメ仕立て
・クラムチャウダー
・きゅうりの漬物
・かぼちゃの含め煮
・ニューヨークチーズケーキ
・ご飯（おかわり自由）

検査のため、朝食を抜いている人間ドック受診者の栄養面を考慮し、ボリューム満点！病院食とは思えないような豪華な料理が並びます。受診者のひとりは、「検査後の食事は楽しみの一つ。ここの料理はとても美味しいから人間ドックはいつもここを利用している」と話していました。

(2) "楽しさ"のこだわり：
おしゃれな自家製デザートも♪

富士見高原病院ここのもう一つの魅力は飽きさせない献立です。
患者の方が食事を味わい、楽しめるよう、ここの病院食では、毎年季節や行事にあわせ、様々な特別メニューを取り入れています。また、人間ドック用の食事についても、毎年同じものを出さずにメニューを毎度考えます。今回取材した人間ドック用のデザートであるニューヨークチーズケーキも、栄養科の調理師さんたちによる手作り。デザートも毎年変えており、なんでも去年はガドーショコラを作ったのだとか。

(3) "盛り付け"のこだわり：
病院食とは思えぬ季節感と華やかさ

初夏のメニューの一例：
病院食とは思えないような、温もりや季節感を演出した盛り付け

上の写真では、ご飯は紫陽花の花に見立てて作ってあります。梅雨の時期をふまえ、さっぱりと召し上がっていただけるよう梅で酸味を効かせ、もみじの青葉をあしらっています。
富士見高原病院では、栄養管理を意識しながら盛り付けにも工夫を凝らし、食事を楽しいひとときとして提供しています。

クリスマスメニューの一例：
星型のにんじんやローストビーフ、ケーキを添えて、華やかな雰囲気を演出

(4) "だし"のこだわり：
フィトケミカルたっぷり！「魔法の野菜だし」

ここの病院食には、秘伝の隠し味があります。その名も「魔法の野菜だし」。
シイタケ、野沢菜、白菜、人参、大根、ほうれん草などの野菜のくずを、沸騰したお湯に入れてだしを取るこの野菜だしは、富士見高原病院のオリジナル。野菜を加熱することで植物に含まれる「フィトケミカル」が溶けだし、その成分が煮汁に含まれるそうで、野菜本来の甘みに加え「フィトケミカル」がたっぷり入ったその煮汁は、栄養満点の秘伝のだしに変わるんです。
※フィトケミカルとは、植物に含まれている天然の化学物質で、抗酸化力を持ち、免疫力の向上、がん・老化防止に役立つといわれています。