今年最初のやしょうま作りを見てきたよ

yasyo1.jpgやしょうま。といっても、馬ではないですよ。長野県では多少は知られた「食べもの」です。太巻きとか金太郎飴を餅にしたようなもの、といえばわかりやすいかな? 米の粉を練って固めたものに、食紅を混ぜて色をつけて、それを組み合わせてさまざまな模様にしていくんです。まるで粘土細工のようでしょ?(左写真)この「やしょうま」、なぜこんなおもしろい名前なのかというと、こんな言い伝えがあります。

お釈迦さまが言いました
お釈迦さまが亡くなられる直前に、ヤショという弟子(または妃のヤショ姫)が米の粉で作っただんごを進ぜたところ、お釈迦さまがおいしそうにそれを召しあがり、

「ヤショ、ウマかったぞ」

と言って息を引き取ったところからこのだんごを「やしょうま」と呼び、お釈迦さま入滅の日といわれる2月15日(涅槃会)の前日に作り、当日、仏さまや仏壇に供えるようになった、と言われています。お釈迦さまが日本語で「ウマかった」だなんて、駄洒落みたい・・・ですね。

土地により呼び名が違う
長野県内では、主に「やしょうま」「やせうま」と呼ぶのが一般的で、通称「やしょんま」「やしょ」と呼んでます。が、各地でその名称は異なり、さまざまです。例えば、オオミ・オミミダンゴ(旧楢川村)、ミミダンゴ(下水内・下高井方面)、お釈迦の日ダンゴ(北安曇郡小谷)、その他ハナダンゴ・ハナクソ・ハナクサモチとも呼ばれ、全国的にはヤセウマという呼び方があるようです。

一般的にやしょうまは、かつて、家やお寺で作ったものを子どもたちが主になってもらい歩いたもの。これを「やしょうまを引く」などと呼んでいました。特にお寺の場合、2〜3日前から、檀家から米を集め、前夜、粉にして「やしょうま」を作ります。当日、これを参詣人や子どもたちに配り、または、涅槃会の法要のときにまくようです。最近では、家庭で手作りされることも少なくなりましたが、2月の声を聞く頃になると、和菓子店などに「やしょうま」が並びます。

yasyo3.jpg名物のやしょうまを求めて
そんななか、長野県筑北村坂井地区では、昔から伝わるこのやしょうまを作り続け、今では名産品のひとつとなっています。坂井郷土食研究会(柳沢静子会長他10名)が中心となり、農閑期のこの時期にやしょうまを作って直売所などで販売しています。

去る1月7日、今年初めのやしょうまを作ると聞いて、さっそく見に行ってきました。やしょうまって、ごまや大豆を入れたものはよく見るけど、坂井研究会のやしょうまは、直径が5〜6センチの円筒形(大きい!)で、輪切りにすると季節の草花や花木など出てきてとにかくカラフル!!

やしょうま作りで一番むずかしいのは、絵柄の出し方だか。蒸しあがった白いタネを少しとって、花や葉や枝の色に染めてパーツを作っていきます。それを何本か束ねて、白いタネで空間を埋めていくのですが、お母さんたちの手さばきはまるで手品のよう! 赤や黄、ピンク・緑・茶・白の棒状の種をまとめてのしていくうちにできあがっていきます。いつもは一晩置くのだそうですが、この日はできたてを特別に切ってもらいました。できたては柔らかいので糸で切ります。

わぁーきれい!

白い米の生地の中に、淡く繊細な色づかいで、美しい模様が浮かびあがっているではありませんか。おばちゃんが「花柄をこわさないようにのばすのが一番大変。のばすのが大変なくらいの生地の硬さの方がきれいに思ったとおりの柄ができるよ」といいながらも、鮮やかな手さばきで完成させていました。

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完成品は上図です。左から、満開のサクラ、ヒマワリ、ミヤコワスレ、ボケです。帰りにこのできたてをいただいてきたのですが、あまりにも見事で美しくて、食べるのがもったいないくらい! 毎日眺めて楽しんでいたのですが、カチカチになってしまいました・・・冷えて堅くなってしまったものは、軽く焼いて砂糖醤油でおいしくいただけます。油で揚げてもおいしいかな。

この坂井郷土食研究会のやしょうまは信州坂井村直売所で買えます。地方発送もしてくれますよ。

直売所まんだらの庄
〒399-7711長野県東筑摩郡筑北村坂井6291 地図(MapFan)
TEL0263-67-2222 FAX0263-67-2552

arrow2.gif まんだらの庄ウェブサイト

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