♪~ 明かりをつけましょ ぼんぼりに お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの笛太鼓 今日はたのしい ひな祭り ~♪
3月3日はひな祭りでしたね。ひな祭りといえば雛人形。でも、ひな祭りが終わってすぐに片付けないとお嫁にいけなくなる...という恐いリスクも背負っています。すぐ片付けられないときに編集部員の家では、人形を180°回転させて顔が見れないようにして難を逃れています(笑)。
ここ信州では、ひと月遅れの雛祭りを行う風習もあり、4月上旬まで各地で雛祭りにちなんだイベントが行われています。
それぞれの家族の思いを受けついで
長野県須坂市にあります、「須坂アートパーク(世界民俗人形博物館・須坂市版画美術館・歴史的建物館)」では「三十段飾り 千体の雛祭り」展が開催中です。
こちらに飾られている雛人形は、以前はご家庭で飾られていたけれども、娘さんがお嫁にいって役目を果たした後、全国各地から寄贈されたものです。現在は、寄贈をお断りしているそうですが、古くて保存状態の良いものや新しいもののみ受け付けているそうです。
展示されている雛人形は、数え切れません! しかし、保管しているうちの6割程度しか展示されてないというので驚きです! それぞれの雛人形には、寄贈元の名前が記されております。それぞれの家で大切にされてきた雛人形を、家族の思いを受け継ぐかのように飾られています。
雛飾りに幸せな人生を願う
改めまして雛飾りの説明をします。
一番上の段にいるのが「内裏雛(だいりびな)」といい、お姫様は生まれた女の子、お殿様は将来の婿を示し、良い縁組に恵まれるように願いが込められています。
「三人官女」は、二人の身の回りの世話をする役目から、周囲の人たちに支えられて生きることの大切さを意味しています。また、三人官女が持つ銚子はお酒をつぐ時に使われる物で、現在も結婚式の三々九度に使用されております。
「五人囃子」は、舞や踊りの際に音楽を奏で楽しませることで、世の中には楽しいことがたくさんあることを意味しています。
「随身」は、二人を守る護衛役です。
「仕丁」は、出掛けるときの従者です。仕丁は3人おり、それぞれ「笑」「泣」「怒」の表情をしています。喜怒哀楽の豊かな人生を意味しています。また、胡坐をかいているものや足をくずしているものと、雛飾りによって体勢に違いがあります。
あぐらタイプ
くずしタイプ
このように、人形にはそれぞれ意味があり、また、童謡「うれしいひなまつり」の4番には、「♪~着物をきかえて 帯しめて 今日はわたしも 晴れ姿 春のやよいの このよき日 なによりうれしい ひな祭り ~♪」とあるように、生まれてきた女の子の今後の人生が良いものになるように願いが込められているのです。
地域や時代の色を映し、後世へ
桜餅に関東風と関西風があるように、雛人形には関東風と京風があり、関東・京によって飾り方、持ち物が異なります。たとえば、三人官女(真ん中)の持ち物が関東風では杯であるのに対して、京風は島台を持っています。このように小さな違いではありますが、パネルによって解説されており、違いを発見する楽しみもあります。
展示されている雛人形の中で最も古いのが樫山家寄贈の雛人形で、なんと江戸時代後期のものになります。着物など所々劣化はしていますが、歴史が感じられます。また、バブルの影響を受けた昭和50年代の雛人形は、昭和40年代のものと比べてひとまわりほど大きいといいます。バブル時代の豪勢さが雛人形にも反映されているのですね。現代では、核家族化が進み、住まいもマンションといったワンフロアが増加する中で、コンパクトな雛飾りがあったり、着物や顔の表情なども自分で選んで作れるオーダーメイドも増えてきています。雛人形は時代を反映するものであり、また進化し続けているものなのです。
江戸時代後期のもの
昭和40年代のもの
昭和50年代のもの
余談ですが、編集部員の家にも雛人形がありました。部屋が大きくなかったため、三人官女までしかいませんでしたが、毎年飾っていたことを覚えています。幼い頃は、人形の顔が不気味なように感じたり、雛人形を出すことによって部屋が狭くなるため、飾るのに乗り気ではありませんでした。恥ずかしながらこの歳になって初めて雛人形に込められた意味、飾る理由を知りました。1年後にはなりますが、ひなまつりを大切にしていきたいと思いました。
期間中は、「お雛様なりきりイベント」も開催しております。
赤ちゃん用のなりきり着物
世界民俗人形博物館では、2018年2月9日~4月15日まで、須坂市版画美術館と歴史的建物館では2018年2月9日~5月6日まで雛人形を飾っています。
入館料は3館共通で500円。
大人も子どもも楽しめる、お子さんの成長を祝うイベントに足を運んでみてはいかがでしょうか?
須坂アートパーク「信州須坂 三十段飾り 千体の雛祭り」