春の野菜ラーメン、グリンピースご飯、春巻、厚揚げのネギソース、
サラダ、デザートつき本日のランチ 800円 担当キッチン・あっぷる
このお店、シェフになれる条件はひとつ。それは、
「安心して食べられるおいしいものを出すこと」
です。長野県東部にある城下町上田市。その風情ある柳町商店街の一角に、コミュニティレストラン「コラボ食堂」があります。コラボ食堂は"ワンデイシェフシステム"という形態をとったレストラン。"ワンデイシェフシステム"とは、お店にシェフとして登録した人たちが日替わりで調理を担当し、食事を提供するレストランのことです。
上田城最後の藩主の姉あや姫から命名された「あや姫御膳」
上田地域の伝統や旬をテーマにしたコラボ食堂特別メニュー
ワンデイシェフシステム!
コラボ食堂では、料理が好きな人、いつかお店を持ちたいと思っている人、自分で育てた農作物を直接調理してお客さんに食べてもらいたい人など、一般の人が一時的に自分のお店をもてるようになっています。特別な資格もいらず、みんなに自分の料理を食べていただきたいと考える人なら誰でも、このレストランではシェフになれるのです。
ただし、冒頭で述べたとおり、絶対的な条件があり、安心・安全な食べ物をお客さんに提供できるレベルのものに仕上げられなくてはならないのです。あらかじめ責任者らの眼前で試作して試食を受けるという試験を通らなくてはなりません。今では主婦を中心に上田市をはじめとする長野県東部地域の人々24グループほどが登録され、管理栄養士でもある食堂の管理者のもと、この食堂で日替わりシェフを務めています。
食と農によるまちづくり
「コラボ食堂」は、地域の食文化を未来に伝えること、農家の想いを消費者に伝えること、安全と安心とおいしさとを追求することを通して、食べ物の地産地消を推進するという理念をもって、昨年オープンしました。運営はNPO法人「食と農のまちづくりネットワーク」です。
このNPO法人は「食」と「農」を通して元気な地域をつくるために市民の力をつなぐ目的でレストランと同じ場所で運営され、ファーマーズ・マーケットやカルチャー教室などといった、さまざまな活動を行ってきました。組織の副会長を勤める杉山洋子(すぎやまようこ)さんと相談役を務める古田睦美(ふるたむつみ)さんは、このお店を「普通の人が普通の人にする食育の場」「食文化の発信の場」にしたいと話します。
長野市で有機農業に取り組み、ファーマーズマーケットにも参加する
遠藤奈緒さん(えんどうなお)さん(左)と杉山洋子さん(右)
食を通して自己表現の出来る場を
平日にもかかわらず16席ほどある店内のテーブルはほぼ満席の状態で、観光客のみなさんや地元の人が食事をとっていました。この日は「キッチン・あっぷる」というグループが作った、春野菜いっぱいのランチで、値段は800円でボリュームも満点です。
コラボ食堂に集うシェフたちの楽しみは、メニューを考えながら、互いに料理の技術を磨きあったり、お客さんに地元のものや旬の野菜の食べ方を教えることだといいます。
ランチ終了後のお店では、何人かの農家が顔をつきあわせて、後日開催予定のファーマーズマーケット計画について話し合いがはじまっていました。販売するものやディスプレイについて、口コミ情報の交換など、それぞれが熱心に語りあいます。
「誰もが自分の色で輝く」自己表現の場を、地域の人々にとってのコミュニケーションの場を、みんなの力でつくりだそうとする人々の、静かな熱気が伝わってくるようです。
コミュニティレストラン コラボ食堂
住所:長野県上田市中央4−7−27
TEL:0268−22−5968(ファクス兼用)
営業時間 11:30〜13:30 14:00〜16:00
定休日 木曜