「本州のHESO」なる聖地への巡礼の記録

HESO_01.jpgにほんの里100選」(朝日新聞社・森林文化協会主催)に選ばれた上水内郡小川村のとある観光スポットが、いま静かなブームだとか。そのユルい雰囲気が受けて、今も地元メディアにたびたび取り上げられるその場所の名前は「聖地 本州のHESO」。

えーと、ここでいう「HESO」とは「臍(へそ)」のことです。日本列島で最大の島である本州の中心(重心)のことで、本州島を人体に見立ててちょうどその臍の位置にあたります。数年前民放のテレビ番組で「本州の中心地点はどこか?」という企画が立ちあがり、測量会社が調べたところ、標高差を無視した本州の平面図において均衡が保てる点(=重心)が、この小川村の法地(ほうぢ)地区、正確には「長野県上水内郡小川村大字瀬戸川字法地中村5852」というところにあたっていて、そこが本州の中心とされたのです。われわれは昨年このスポットを暦の中のニュースでとりあげたのですが、以降も本州の中心地点への憧れは止まず、今回話題を確かめるべく出かけてきました。


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へそへようこそだって
「本州のHESO」は白馬村と長野市を結ぶオリンピック道路から、看板を頼りに山道を車で進むこと15分ほどで辿り着けます。対向車もほとんどないため、やや不安になりますが、臆せず進めばやがて「本州のへそへようこそ」という木の看板が見えてきます。隣接する駐車スペースに車を止めれば、中心地点まではあと150mほどです。

「聖地 本州のHESO」の案内板によれば、そこは――

    東経 137度58分40.2708秒
    北緯 36度39分17.75736秒

との記載があり、ここが本州の「HESO」である根拠データが示されていました。この事実が認識されて以降、地元の「いやしの里・法地会」のみなさんや、小川村がここを「本州のHESO」として整備を進め、いまも守り続けているのです。

HESO_08.jpg 冒頭でブームと申しあげたものの、曇り空の先週土曜日の昼間に訪れてみますれば、静まり返った聖地には、われわれ取材陣のほかに人の姿はどこにもありません。静かなブームはほんとうでした。ただ、木々が風に吹かれる音と近くを流れる川のせせらぎが聞こえるのみ。この人気(ひとけ)のなさというか静けさが、いやがうえにも聖地らしさをかもし出しているといえるでしょう。ハッハ。


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この細道をくだるとそこに・・・

中心地点に向かうには駐車場脇の歩道を進みます。舗装された道を過ぎると案内板があり、「本州のHESO」の歴史が学べます。また、ユニークなパンフレットもありますので、この地を訪れた際は、記念スタンプを押してぜひお持ち帰りいただきたいものです。

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橋があって・・・この橋を渡ると

「御柱」ではなく「恩柱」が立っている
案内板の先のやや湿った地面を歩いて木の橋を渡れば、中心地点はもう目と鼻の先。地元の人たちが建てた「恩柱(おんばしら)」と呼ばれる、それなりに年季の入った柱が11mという高さで、ぐぐっと天に向けてそびえています。「御柱」ではなく「恩柱」ですから、間違わないようにしてください。周囲にはこの柱よりも高く伸びた木々もありますけれど、建立された当時ならずいぶんと立派であったろうその柱は、よく風雪に耐え、日に焼けた紅白の衣をまとい、上部から伸びるロープは、善光寺のご本尊にならうかのように、駐車スペースにある前立ち恩柱へとつながっています。

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本州のへその場所に柱が立っていた

なぜ「恩柱」というのでしょうか? その名の意図を案内板は次のように記載しています。


わたしたちがこの世に生を授かったのは/父母の力によるもの/生命維持の「臍(へそ)の緒(お)」により/母から世に送り出して戴いたものです/その「HESO・へそ」は、/切っても切れない父母との絆です/「父の恩は山より高く、母の恩は海より深し」の/教えは先人からの金言/この「恩」を忘れないことは/「先人・父母への恩返し」でしょう/そして今、わたしたちは/この地に「恩柱」を建てることにしました(抜粋)

なるほどね・・・。お父さんとお母さんのことをありがたく思いなさいというわけだったのね。「本州のへそ」と「臍の緒」をかけて、父母への恩を忘れないようにしましようという地元の人の思いが伝わってきます。「全くその通りだ」と共感し、「おとーさーん」「おかーさーん」と空に大きな声で呼びかけ、恩柱の前で手をあわせていましたところ、どこからともなく「カラーン、カラーン」と鐘の音が鳴り響いてきたではありませんか。

驚きはそれだけではなかった
「なに?」「なんの音?」と、来し方を振り返れば駐車スペースに人影のようなものが。なにやら楽しげな声も聞こえます。祈りもそこそこにあわてて戻ってみますと、駐車スペースの奥に不思議な物体が、電話ボックスとパイプを組み合わせたようなものが、大きな顔をして鎮座していたのです。

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い、いったい、これはなんなのか?

いったいこれはなになのでしょうか? さっぱり分かりません。せっかくいいところではありますが、取材陣が本州のへそポイントで遭遇したこの謎の物体については、次号で詳しくお伝えします。待たれよ、しばし。

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