わが家のベランダで育つバケツ稲のベイビーも身長が15cmをこえました。種まきをして、白い芽(逍葉 しょうよう)の先が割れ、中から第1葉が出て・・・葉もこんなに増えました。
バケツの中の水にも藻が生え、だいぶ田んぼの様相を呈してきました。あぁ、小さい雑草も生えてる! なんか、嬉しいけれど、大事な稲の子を守るため「エイ」っと抜いてやりましたー!!
でも、なんだかこのところ生長が遅いのが気になるな〜^^; なんて思いながら、わたしたちの主食であるお米と、長野県のおいしい食べ方読者のみなさんの距離を縮めるべく開始した「バケツ稲づくり」プロジェクトに編集部が挑戦する記録の今回は第3回目。さあ、分けつの季節です!
それでは、この1ヶ月のバケツ稲の生長をご覧下さい。
ここで苗を移しかえましょう
さて、葉が出て5〜10日たち、葉が3〜4枚にふえたら、苗をぬきとります。
中でも大きく育ち、茎のしっかりとしたよい苗を2〜3本(日本晴)、4〜5本(コシヒカリ)まとめ、バケツの中心に移しかえてあげます。残りの苗も数本ずつまとめて、ほかのバケツに植えておくと、生長の違いなどを観察できるのでオススメです。
この「苗の移しかえの本数」は、地域や気候によっても異なる場合があります。先日お話しをうかがえた同好の士は、ペットボトルで栽培していましたよ。また、日陰で育てるなど、環境を変えて育てた稲と、バケツ稲を比べてみることで、稲の生長の違いもよくわかります。
苗の移しかえのコツは、相手は幼いとはいえいのちあるものですから、根をいためないように注意し、やさしくやさしく移しかえること。それと、土にあまり深く植えない――2〜3cmぐらいにとどめる――ことです。
移しかえたら、水をたっぷりあたえて確実に根づかせます。
農家はなぜ苗を育ててから移しかえるのか
今では日本の稲作農家は、この過程ではおもに育苗箱をつかって種もみを苗まで育ててから田んぼに植えています。この方が根が着きやすく、雑草もとりやすいというメリットがあるからです。
では、なぜ苗を育ててから移しかえるのでしょうか?
実は、苗を生長させ移しかえるという栽培方法は、日本列島では奈良・平安時代の昔からはじまりました。これは、稲より早く育つ雑草に負けないようにする工夫だったのです。
日本ではこのように、水田に直接種をまく「直まき栽培」よりも、移しかえる栽培(育苗・移殖栽培)が中心になっています。主なメリットに、育苗時に適切な温度に調節できるので苗が順調に育ち、狭い苗床で管理するため病害虫や雑草、鳥の被害を避けることがあげられます。また、移しかえる前の田んぼに麦や野菜を栽培することもできます。
夏にかけての大切な作業
では、バケツ稲に戻りましょう。稲が茎をふやして大きくなっていくことを「分げつ」と言います。漢字で書くと「分蘖」。しかし、ほとんどの人が読めないし書けないので一般には「分けつ」と書かれています。
5枚目の葉がでると同時に、2枚目の葉のつけ根が分かれ、そこから葉が出てきます。これが最初の「分けつ」です。
稲はどんどん分けつして、茎を増やしていきます。
分けつは、茎の根もとから新しい茎が生まれ、次々と茎が増え、ざっと30〜40日間続くのです。
苗の分けつの増えかたは、移しかえて10日ほどして分けつがはじまり、その後の10日間は、最も盛んに行なわれる「分けつ盛期」となります。
分けつ時期はちょうど夏。バケツの中が高温になり過ぎて枯れたり、水が腐ってにおうなどの心配もあります。高温が続く場合は、バケツの中の地温が上がり過ぎないように、バケツの外側を段ボールやアルミホイルで囲って下さい。
また、バケツはコンクリートやアスファルトの上に直置きするより、地面やむしろの上に置くなどの対策をするのがちょっとしたポイントです。写真は近くの小学校で育てられているバケツ稲です。
水の管理がさらに重要に
そして、さらにここへきて、大事なのが水の管理。
分けつを行なっている今の季節は、稲にとってはまさに成長期。ですからしばらくバケツの水の深さを5cmぐらいに保ちます。そのように水をはることで、雑草が出てくるのを防ぐのです。
根がはり、おちついてきたら3cmぐらいに水深を浅くしてもよいでしょう。
次回は、稲の茎数が15本程度に増えるころをみはからい「中ぼし」を行なうところからお伝えします。その頃には、わが家のかわいい稲も、40〜50cmぐらいに育っていることでしょう。