あつい、あつい夏をお過ごしのことと思います。連日繰り広げられるオリンピックの熱戦では、選手たちの活躍に一喜一憂の日々ですが、頑張っているひたむきな姿には熱い感動が呼び覚まされ、元気と勇気をもらう毎日です。数多くの種目で好成績を収めている今大会の日本選手の活躍は、ことさら目が離せない状況で、朝早く目が覚めると、とたんにオリンピックの事が気になって、以降ずっとテレビを見続けて昼間は寝不足気味、という人も多いのではないでしょうか。
さらにこちらも暑いのが今年の天気。湧き上がる雲、ジリジリと容赦なく照らしつける陽射し、そしてカラカラに乾いた大地と、まさに夏真っ盛りの日々が続いています。ちなみに昨日7日は、暦上では秋が始まる日とされる”立秋”でしたので、これからは「暑中見舞い」も「残暑見舞い」となりますが、まだまだ暑さが続くこの時期、睡眠不足やクーラーに頼りすぎで体調を崩している人も多いのではないでしょうか。バランス良くしっかり食べて、暑さに負けずこの夏を楽しみましょう。また本日からは高校野球も始まりました。若さ溢れる球児たちの活躍にもまた目が離せません。
この暑さで庭の草花や畑の野菜たちもグッタリと疲れた様子です。猛暑が続く強い陽射しのためにこれから生長する果物にも日焼けが発生する恐れがあるとして、県では農家に対策を呼びかけています。記録的な暑さとなった2010年には、リンゴやブドウで日焼けが発生し減収の原因にもなりましたから、今年は袋掛けした果実の袋を外す時期を遅くすることや、リンゴの葉摘みは午後から夕方にかけて行い、一度に行わないようにすることなど注意を呼びかけているところです。また野菜の生長に対抗し、我先にと領土を拡大する雑草の草刈りや、大地を潤す水くれなど、暑さのなかでの農作業は大変ですが、くれぐれもこまめに水分補給をして、無理をしないように行ってください。
畑で取れる野菜たちで食卓はにぎやかに埋め尽くされるようになりました。キュウリにトマト、ナスは丸焼きにして生姜醤油で。またゴーヤの炒め物に素揚げして塩を振りかけたインゲンや茹でて刻んだオクラ、さらに枝豆やトウモロコシも茹でただけなど、調理に手間を掛けなくても採れたて野菜はもうそれだけで美味しさも充分。気分も満足で食欲だって湧かないはずがありません。
野菜ばかりでなく、信州の夏は果物も豊富。滴る汗を拭いながらガブリと食べたいのがスイカ。シャリシャリとした甘い食感が体の細胞に行き渡り、暑いほどに美味しさを実感できるものですが、じつは美味しいばかりでなく効能も多いスイカは、利尿作用があり、それと共に余計な塩分も排出することで高血圧予防やむくみなどにいいとされるほか、体を冷やして余分な熱を取り除く作用もありますので、まさに暑い夏には是非とも食べたいもの。また疲労した筋肉を回復させる働きをもつほか、果肉の赤い色素・リコピンは老化を防ぐ役割もあるなど、乾いた体に染み渡る天然のスポーツドリンクは、たとえ冷えていなくても美味しさは抜群です。
スイカもいいけれどもっとスイートな果物をお求めの方は、桃はいかがでしょうか。最盛期を迎えた今、県北部は長野市川中島の共選所では職員やアルバイト従業員らおよそ100名が、農家から運ばれてくる桃の選別や箱詰め作業に連日追われています。今年は梅雨明けから30度を越える晴天が続いたため、甘味が強く良い出来に仕上がっているとのこと。現在最盛期を迎えている「川中島白鳳」に続き、10日過ぎからは「なつっこ」、そして20日頃からは大きくて果汁も豊富、甘味もダントツで、今やこぞって全国各地でも作られるようになった信州が生んだ「川中島白桃」もお目見えです。ちなみに、桃は冷蔵庫が苦手ですので常温で保存するのが基本。そして食べる1時間半くらい前から冷蔵庫に入れ、食べる15分くらい前になったら冷蔵庫から出して冷水に移しましょう。食物繊維が豊富な桃は美容にも欠かせません。
さらに貧血気味が多いとされる女性に是非とも摂って欲しいのが、鉄分やミネラルを豊富に含む”プルーン”です。酸味と甘味の絶妙なバランスの味わいは、表面の白い粉を拭き取って皮がついたままガブリッと生で丸かじりするのが一番。黒紫色の地味な姿から、それほどメジャーな果物ではないかもしれませんが、全国一の生産量を誇る長野県ですから、至る所で生のまま売られているためか、プルーン好きも多いのです。じつは十種類以上もの多くの品種があるというプルーン。その味わいも微妙に違いをもちながら9月中旬頃まで生産されます。
先週土曜の4日には、各地で盆踊りが繰り広げられ、暑さも吹き飛ばす熱気こもった踊りで県内は盛り上がりました。そしていよいよ来週はお盆になりますので、今週からそろそろそんな準備を始める方もいらっしゃるのではないでしょうか。園芸王国の信州では、野菜と果物ばかりなく冷涼な気候を利用して様々な種類の花の栽培も盛んです。県内で作られている数々の花たちも、このお盆を前にお花市で色とりどりに並べられ街は賑わうことでしょう。
“ソフトクリーム”の文字についつい心を引き寄せられる時季。県内には地元産の牛乳を使って美味しいソフトクリームやアイスクリームを販売しているところが数多くありますので、ドライブがてらお立ち寄りのうえ、お気に入りを見つけてみませんか。
南佐久郡南牧村野辺山にある「株式会社 ヤツレン」
佐久市協和「望月高原 しらかばアイス・ソフトクリーム工場」
小県郡長和町にある「長門(ながと)牧場」
中野市「信州・いきいき館」
暑い季節にも食欲が進むようにと、先人たちの知恵が生んだ郷土食が全国各地にありますが、県北部を中心にこの時期食べられているのが“やたら”。
夏に採れるキュウリやナス、ミョウガやシソ、ぼたんこしょうなどを細かく刻んで、味噌やしょう油で味付けしただけ、という調理が簡単な食べ物ですが、とにかくやたらめったら食欲が進むから”やたら”と呼ばれるようになったとも。上水内郡飯綱町では、このやたらを使った創作料理を提供する「田舎のごちそう やたら祭り」を、町内6つの飲食店で9月30日まで実施しています。詳しくは飯綱町産業観光課、電話:026−253−4765まで。
連日の暑さに、このまま体力が持つだろうかと不安に感じる日もありますが、標高1,000メートル近くの山々や高原が身近に存在する長野県ですので、時にはそんなところへエスケープすれば、寒さを感じる程の冷涼と美味しい空気に出あえます。また平地であっても明け方には、毛布ですっぽりと全身を覆いたくなるほどに寒さを感じることもあり、そんな昼夜の寒暖の差が美味しい信州の農産物を育んでいるのだと思います。この時期に採れる野菜や果物は、体の火照りを沈め体調を整える働きがありますから、その時々、旬の食べ物をたくさん食べて健康な毎日をお過ごしください。
[巻頭のカバー写真] トロリと柔らかな果肉、そして甘く滴る果汁。古来、中国では不老長生の「仙人の食べもの」と言われてきた桃。県北部の小布施町では、いま桃やプルーン、そしてこれから旬を迎えるブドウや栗にリンゴなど、恵みも豊かにたわわな様子が眺められます。
*コラムはしばらくの間お休みさせていただきます。
関連記事
※メールアドレスを、当サイト以外の第三者に公開する事は一切いたしません。いつでも購読を解除することができます。
個人情報のお取り扱いに関してはこちら »