6月1日は衣替えでしたが、長野県は肌寒いスタートとなりました。それでも週末は汗ばむような陽気に。今年は、スーパークールビズなども推奨されておりますが、震災がきっかけとはいえ節電意識が全国に広がることは良いことだと思います。昨年ほどではないとはいえ、今年も暑い夏が予想されています。県内各地では、5日本格的な夏山シーズンを前に、安全祈願祭(開山祭)が行われました。今年は山々と森に囲まれた信州で過ごすことをぜひご検討ください。木や水のある空間は涼しくそして癒されます。
信州の田植えは最終盤を迎えています。先月に田植えの終わった安曇野市の水田では小さなおたまじゃくしが泳いでいました。雨は農作物にとっても必要不可欠ですが、たくましい雑草にとっても恵みの雨。成長力すさまじくこれからはこれら草との闘いの日々。傾斜の多い長野県では畦畔(けいはん)(水田と水田の間の土手や通路境界)も多く、草刈も一苦労です。しかし夕方、田舎の田んぼ道を歩いていると「ゲーコ ゲーコ ゲーコ」とにぎやかな蛙の声が響いてきます。テストが近い学生には騒音かもしれませんが、のどかでいいものです。
安曇野市の畑では麦の穂も徐々に黄金色になってきました。小麦の穂はまだ青さがありますが、長野県農事試験場で育成された麦茶などに加工される大麦(シュンライ)の収穫は間近です。まもなく季節は麦の穂が金色に輝くころで、「麦秋(ばくしゅう)」と言います。初夏のこのころに降る雨を「麦雨(ばくう)」とも呼ぶそうです。冬と春を大地で過ごした麦が実りの季節を迎えました。風が吹くと麦畑では輝く穂が風の通り道にしたがって揺れていく光景が見れます。北信の旧更埴地区では、古くから良質の麦作産地として知られ、大麦を麦茶や押し麦、米粒麦などとして使われます。
上伊那では30日梅の出荷がはじまりました。特産の竜峡小梅などは凍霜害の影響が少なく平年並みの出荷を見込んでおり、今月中旬にはピークを迎え、月末まで出荷が続きます。果樹としての梅の実の大きさによる類別は、一粒が15〜35グラム程度のものが普通で、主に干し梅として人気の高い南高(ナンコウ)、大きい梅では、梅とアンズの雑種で、ひとつが40グラム以上になる豊後梅(ぶんごうめ)などがあります。10グラム以下のものは「小梅」として区別されます。長野県では、下伊那地方に自生していた小梅の中から選抜され、「天竜峡」という天竜川の切り開いた絶壁がつづく渓谷の名前の2文字をいただく「竜峡小梅」(リュウキョウコウメ)と言われるものが有名です。「竜峡小梅」は、天竜川が貫いて流れる長野県の南部で多く栽培されています。果重は約2グラムのほとんど球体で、信州では塩漬けにした後に天日干しした梅干しよりも、小梅を塩に漬けたままの漬物で「カリカリ」と音をたて歯ざわりを楽しみつつ食べることが好まれるようです。
長野県は1日までに県北部地震の農業被害の状況をまとめ、栄村を中心に961箇所の農地や水利施設、畜産施設、きのこ栽培施設の損壊により、被害額が約27億円に上ることがわかりました。被害調査は継続中でさらに被害額が増える可能性があります。
今月2日から、長野県の高校生が考案したお弁当が県内コンビニエンスストア「サークルK」で販売スタートしました。29日までの期間限定で、県産豚肉「信州ポーク」とコシヒカリを使った地元農家を応援するお弁当2種です。下伊那農業高校の小林来望さんと和田拓也さんが考案した肉巻きクッパ風ごはん「愛まくド〜ン」と、勝又麻希さんと金田結香さんが考案した「ポーク&エッグの仲良しマヨ丼」です。これはJAみなみ信州青年部と飯田下伊那農業者クラブ「かたつむりの会」が同校で毎年開催されている郷土料理コンテストの入賞作品を商品化したもの。一度ご賞味ください。
先週当ブログでも紹介させていただいた木曽の「ほう葉巻き」の本格的な季節がはじまりました。昨年よりもほう葉の生育が遅れスタートは遅くなりましたが、全国からの問い合わせも多く、7月いっぱいまで販売が続くそうです。ほう葉巻きのお取り寄せは道の駅三岳・みたけグルメ工房(電話0264-46-3677)で、ホームページの更新はされていませんが、ほう葉巻き10個で1400円とのこと。先週の暦でもお伝えしていますが、信州は現在バラの花が見頃を迎えます。長野市内では既に見頃となり、あちらこちらの家々でバラの花が咲き誇っていますよ。
*巻頭のカバー写真。麦秋。麦の穂が実り収穫期を迎えた初夏の頃をそう呼びます。長野県の麦は水田の転作作物としての生産が主で、全国収穫量の1%ほどですが、信州にはおやきなど独自の粉食文化が根づいています。米どころ安曇野市も本県の麦生産の主要な産地。大麦が黄金色に色づいていました。押し麦や麦茶等の原料になります。
●棚田の無数の田んぼに、水が張られて、その水面のひとつひとつに、夜空で輝く月が写る様子をしばしば「田毎の月」と表現されます。左の浮世絵はそのありさまを描いています。よく話を聞かされるように、信州において段々畑のような水田群の一枚一枚に名月が映る田毎の月が見れるとしたら、5月か6月ということになります。しかしある人に言わせればそれは「そもそも無理な話だ」となります。考えてみてください。たとえばどんなに広い田んぼにも月はひとつしか写りません。その田んぼを人工的にいくつかに区切っても、月がそれぞれに映るなんてことはありえないと、いうのです。もし田毎の月で天下に名を轟かせる更級の里の地形がきわめて特殊で、棚田の1枚1枚に月が写しだされているとしたら、地元のテレビ局がこれをほおって置くわけがないはずです。6月の満月の夜、NHKが「田毎の月」をニュースで流したことがあるでしょうか? 何年か前に当編集部が月夜の棚田の写真撮影を敢行した写真をご覧ください。
9日は上弦の月。10日は時の記念日。671年の4月25日(今の暦にすると6月10日)に漏刻と呼ばれる水時計を新しい台に置き、鐘や鼓で人々に時刻を知らせたと日本書記に書かれていることから1920年(大正9年)に生活改善同盟会が制定しました。漏刻は水時計ですから、日時計と違って夜でも時間を知ることができたようです。時間に追われる生活はこんなに昔からはじまっていたのです。もっとも水時計の起源は古代のエジプトで、紀元前1400年頃のことでした。北米大陸の先住民のなかには旧大陸からもたらされた機械仕掛けの時計を「パペーゾクワズィク」と呼ぶ人たちがいます。それは「大きな音をたてるわりにはなんの役にも立たないもの」という意味だそうです。
11日は千曲市戸倉たまねぎまつり(JAちくま)の日です。長靴と軍手と雨具を用意して詰め放題の玉ねぎをとりにいきましょう。雨天決行です。この日は、実は暦のうえの梅雨入りの日です。すでにご存じのように、信州ではもうだいぶ前に梅雨入りしていますが、本格的な雨のシーズンがはじまるのでしょうか。この日の暦には「腐草蛍となる」と記されています。草が腐ってそこからホタルが出てくる時ということで、毎年6月の中旬から下旬にかけては南信州の各地で、6月下旬から7月にかけては中信や北信で、ゲンジボタルが飛び交うことになっています。「蛍二十日に蝉三日」という言い伝えが日本にはありますね。ホタル狩りを希望している人は長野/蛍鑑賞・ホタル狩りスポット情報2011でチェックされるとよいでしょう。またホタルで全国に名を知られた辰野町の松尾峡・ほたる童謡公園では6月6日からその日の夜20時〜21時の間に目視したホタルの数をウェブサイトで報告しはじめています。6月18日から26日まで辰野町ではホタル祭りの開催を予定していますが、ホタルを見に行く準備に利用してください。
いちごのシーズンはとっくに終わったと思ってやいませんか? いちごは本来、自然のサイクルにおいては今ごろになると、あたりはずれがなくなり、最高に甘くておいしくなるのです。そしていちごがたまらなくおいしくなると、いちごのシーズンもまもなく終わります。信州には冷涼な気候のおかげで、いちご狩りも今月まで営業している施設がかなりあります。おいしくなっているいちごを食べに来てみてください。カナダの南に生活する先住民のアルゴンキンの人たちは、6月をいちごの収穫月としていて、そのために6月の満月は「いちごの月」と呼ばれています。15日の夜から16日の朝にかけてがそのいちごの満月です。しかも16日の朝4時過ぎには皆既月食を迎えるのですが、信州では皆既月食の月が欠けたまま西に沈んでしまいます。
18日(土)19日(日)の週末2日間は、恒例の安曇野とよしな玉ねぎ祭りです。北アルプスの清冽な水と豊穣な安曇野の大地が育てた甘く新鮮な玉ねぎを自分の手で掘り取る収穫体験をお楽しみください。準備した玉ねぎが無くなり次第終了です。この19日は「父の日」です。母の日と同じように起源は古いものではありません。20世紀の初め、アメリカのワシントン州で、6人目の子供を産んだ直後に日立ちが悪くて奥さんにに先立たれて以後、残された6人の子どもをたったひとりで育て上げたとある農家のお父さんの存在がニュースとなり、父の日を作ろうということになったそうです。ワシントン州の田舎町で最初の父の日がおこなわれたのは1909年の6月19日でした。最初は1回だけだったようで、父の日が正式に6月の第3日曜日になったのは、それからずっと後の1972年のことで、時のニクソン大統領が宣言しました。
22日は夏至です。正確には22日の午後2時に、黄道という天界の道を旅して歩く太陽が北の端を巡って「夏の家」に入り、つぎの瞬間には来た道を辿って冬の家に向かって最初の一歩を踏み出します。そしてその太陽が「冬の家」にたどり着くのは、年末12月22日の午後3時になります。夏至と冬至。地球各地の先住民は、これらの日に重要なことが起こるのを知っていました。わたしたちに影響を与えているエネルギーの流れがこの瞬間を境に逆転するのです。この世界にあるものはみなことごとく太陽の影響を受けているし、あらゆるものどうしが影響を与えあっているからです。植物も動物もみなことごとくこの影響を受けます。わたしたちはこの日、自分がどのくらい太陽の影響を受けているかを考える時間をもつといいかもしれません。22日は長野市で午前4時半頃に夏至を迎えた太陽が昇りはじめ、午後7時過ぎに西に沈みます。暦便覧には「陽熱至極しまた、日の長きのいたりなるを以て也」とあります。日本列島はこの時期梅雨にあたることが多いために、夏至そのものも実感が薄かったのかもしれません。しかし、古代から世界各地の先住民族が一年で最も神聖な日としてきた瞬間でもあります。地球の上で、太陽と共に農にいそしむすべての人は、この日は、特別な気持ちで過ごすようにしたいものです。
長野県の夏の気象の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより
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