新信州暦 明けの空に金星がひときわ輝いて


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あけましておめでとうございます。昨日は早くも仕事始めでしたね。


winter.jpg年末年始、全国的には大雪が降ってライフラインがストップするという地域がありましたが、信州の多くの地域では雪もあまり降らず、穏やかな年越しとなりました。もちろん冬将軍が居座っているために毎朝気温は氷点下ではあるのですが、晴れて景色が良く見えていると寒さも爽快であります。本日も信州は広い範囲で快晴のようです。

rabbityear.jpg年越しや元旦は二年参りや初詣で、県内の善光寺や諏訪大社、穂高神社などのお寺や神社はどこも参拝客でにぎわいました。今年は、卯年で、成長発展を意味しているといわれ、新たな活気が生まれる年で、新しいことに挑戦したり、心機一転頑張るのに適しているそうです。干支にちなんでうさぎのように飛び跳ねる、明るい1年にしたいものです。

fossamagna_shinshu.jpgさて、信州の年末年始の食事を振り返ってみたいと思います。大晦日には、年取り魚を食べる地方が多くありますが、海のない長野県では昔は海のものが手に入りにくかったことから年取り魚が最高のぜいたくだったと言われています。日本列島の東側ではサケを、西側ではブリを食べるといわれますが、文化の割れ目でもあるフォッサマグナを抱える長野県では、県内でも分かれており、北部や東部では鮭を、中部、南部ではブリを食べる風習があります。富山や糸魚川でとれたブリは安曇平を通って南部へ運ばれ、新潟のサケは北信地域や千曲川沿いへと運ばれたために県内でも異なっているのです。昔は、魚も海からの塩が運ばれた「塩の道」を通ってやってきたのです。

moti.jpgまたお正月にいただくお雑煮は、年神さまに土地のものを供えるためのものだったために地域によって具もそれぞれで、全国的にも丸もちや切り餅、味噌や醤油と具も味も様々のようですが、信州のお雑煮も、県中部の安曇平では醤油仕立てに年取り魚のブリを入れ、南部の伊那谷では醤油仕立てに鶏肉や餅を入れて食べました。県北部の飯山では味噌仕立で食べられていますし、長野市西部では一生が長く太く続くようにとうどんを朝祝いとして食べていた地域もあるそうです。お雑煮には欠かせないおもちですが、昔ながらの杵と臼を使ったもちつきをする家が少なくなりました。もち米を蒸して、つくまでおこなってくれる機械が出現してからは、機械づきが増えたように思いますけれど、いまだに杵と臼でついたもちの方が粘りがあっておいしかったという年配の方もいらっしゃいます。osechi.jpg同じくお正月に食べられるおせち料理は、黒豆でまめに働けるように、田作りは五穀豊穣を願い、数の子は子孫繁栄をとそれぞれ意味がありますし、紅白なますや紅白かまぼこなど、めでたさや慶びを祈る食べ物が入っています。地域や家庭によっておせち料理やお雑煮、年取り魚など食べるものに違いはありますが、家族が皆集まり、良い年を迎えられるように願いを込めてお祝いする大切な行事です。

kazinoha.gifさて、県内では元旦から多くのイベントが行われました。松本市すすき川で行われる「すすき川元旦マラソン」には約500名が参加し、木曽町でも「義仲マラソン」が行われ、町民165名が参加し、今年一年の良いスタートを切れるようにとの願いを込めて行われました。同じく元旦には諏訪大社上社では冬眠中のカエルを掘り出して五穀豊穣を祈願する「蛙狩り神事」が行われ、下社では2日に「三が日神賑(かみにぎわい)行事」が行われて、あわせて木遣保存会による御柱祭の木やりも披露されました。

top_110105_2fix_s.jpg*巻頭のカバー写真を入れ替えました。甘酸っぱい香り漂うイチゴがずらり。信州の東に位置するJA信州うえだ管内の「塩田東山観光農園」では、イチゴ狩りがいよいよ今週8日からはじまります。果汁いっぱいのあま〜いイチゴを食べ放題でぜひどうぞ!!撮影:JA信州うえだ 沓掛瑞穂


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Venus.jpg昨日は新月でした。冬至を過ぎて最初の新月。新しい月のサイクルがはじまり、明日辺りから見えはじめる月がだんだん大きくなっていって満月を迎えるのは20日です。そういえば、夜の明ける前の南東の空に明けの明星がひときわ明るく輝いているのをご存知ですか? 夜明け前にこれほど金星が輝くのは1年でも今の季節だけです。寒さを覚悟してぜひ一度ご覧ください。明日6日は二十四節気のひとつ「小寒(しょうかん)」。snowpattern.jpg旧暦では12月3日になります。江戸時代の暦の解説書である「暦便覧」によれば「冬至より一陽起るが故に陰気に逆らう故益々冷る也」とあり、冬至が過ぎて暖かくなる準備のためにいっそう冷えるとあります。これから節分までの期間が「寒(かん)」となります。いうならば寒さはこれからが本番です。

また6日は信州信濃の善光寺で「びんずる廻し」が行われます。釈迦の弟子のひとりで、触った場所の痛みや病気を治したとされる「びんずる尊者」の木造を、大勢の参拝客が引き回し無病息災などを祈ります。「終了後、参詣者には杓子が授与され、その杓子で尊者像をなでて持ち帰ると、一年を無病息災で過ごせるといわれています」と善光寺のホームページには記されています。sakugoi.jpgこの日はまた「佐久鯉誕生の日」でもあります。1746年に、信州佐久にある出雲大社佐久之宮の神官だった篠澤佐吾衛門包道という人が伊勢神宮の神主に鯉料理を献上した日で、この記録が「佐久鯉」の最古の記録とされているために、佐久鯉のはじまりを告げた日とされているのです。

sominshoraifu.jpg昨日4日から上田市立信濃国分寺資料館(上田市)で「新春蘇民将来符展 蘇民将来符と農民美術」展が開催されています(31日まで)。過去に信濃国分寺の八日堂縁日で頒布された江戸後期から現在までの厄よけのお守り「蘇民将来符」や、全国各地の護符が展示されるほか、蘇民将来符の由来が記された室町時代の古文書も公開されています。そして今週金曜日7日と土曜日8日は、その護符の蘇民将来も販売されることで全国的に名前を知られている上田の信濃国分寺で八日堂縁日が開かれます。500年前から継承されてきた縁日には200軒以上の市がたち、毎年10万人近くが訪れるので今年も大変なにぎわいが予想されます。

nanakusagayu.png7日は七草粥を食べる日です。もともと中国の昔からの風習で、正月の1日を鶏の日、2日を狗(いぬ)の日、3日を猪の日、4日を羊の日、5日を牛の日、6日を馬の日とし、それぞれの日にはその動物を殺さないようにしていたそうです。そして7日を人の日として「犯罪者に対する刑罰は行わない」で、7種類の野菜をいれた「羹(「あつもの」と読み「野菜を煮た吸物」とされる)」を食べる習慣があって、日本では平安時代に都からはじまり江戸になつて一般も七草粥を食べるようになったとされています。

taguriame.jpg8日と9日には新春恒例の「松本あめ市」が松本市の中心部で開催。あめ市は、今から430年前の永禄11年、甲斐の武田と対峙する今川、北条両氏が、共謀して武田領(甲斐・信濃)への塩の商いを禁止。武田領はすべて山国で、甲斐・信濃の人民は困り果てました。これを聞いた越後の上杉謙信は、「戦いは兵をもってするものだ」といって自領はもとより他領の商人に対して値段を上げることなく塩を送ることを命令。1月11日がその塩が松本に到着した日として、これを記念し始められた塩市が起源といわれています。ほんとうかどうかはわかりません。この塩市が江戸時代の前半には「あめ市」となり、幕末から明治以降は「初市」と呼ばれて、近年ふたたび「あめ市」に戻り、現在に至っています。あめというのは、お砂糖がなかった時代にはとても貴重なもので、特別な時や儀式の時にしか口に入れることのできないものでした。ameichi.jpg松本市中心市街地では全国あめ博覧会が開催されたり、福あめ、だるまを販売。時代行列や御神輿が市中を練り歩くなど、各商店街で熱いイベントがおこなわれます。昨年は18万人ほどの人出で賑わいましたよ。

gardentools.gifガーデニングや菜園造りを生き甲斐にするみなさん、1年の菜園造りの計画は早めに立ててください。今は堆肥を作る時期です。この時期に作る堆肥には虫害の心配が少ないといいます。ただし川や溝の泥などを使うときは、昔の人は、泥や砂土を昨年のうちにさらいだし、1月上旬の寒気に触れさせて、そこに含まれる有害なものを撲滅させ用いたそうです。また今年使うことになる農機具を点検し、部品をそろえ、汚れを落とし、洗浄し、必要なら油をくれたり、刃を研いだりしておきましょう。手で使う道具の取っ手には色鮮やかなペイントで目につきやすいはっきりした印をいれておくと、いざ菜園で使う段になって目だって便利です。冬晴れの日に、なにも植えられていない菜園をじっくり観察して、どこになにを植えるかの計画を立てておきましょう。菜園の近くに暮らす農家の人に土のことや育てるもののことで相談に行くのも良いかもしれません。


indexarrow.gif 長野県の冬の気象の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより

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