静かな湖畔の 森の陰から
もう起きちゃいかがと カッコウが啼く
カッコウ カッコウ
カッコウ カッコウ カッコウ
−− アメリカ民謡 静かな湖畔で
5月下旬は、天候不順で期待はずれの日が続きましたが、6月に入ってようやく爽やかな青空のまぶしい季節となりました。黄緑色だった木々の葉もすっかり濃い緑色に変わり、一層目にしみ込む時期を迎えています。
3週間ほど前の5月18日の朝、今年初めて松本市内の自宅でカッコーの鳴き声を聞きました。「カッコー、カッコー」と間違えようのない鳴き声です。以前、カッコーの鳴き声をいつどこで聞いたか全国規模で調べているという話を聞いたことを思い出し、書き留めておいたのです。
カッコーは初夏の訪れをうたう
平成16年は5月21日でした。17年が5月18日、18年が5月14日、19年が5月20日、平成20年が5月11日。それぞれその年初めてカッコーの声を聞いた日付です(場所はいずれも自宅)。それ以前の記録もあったように思いますが、多分処分してしまったのでしょう。見つかりません。また、昨年は記録がありません。と言って聞かなかったわけではなく、たしかに聞いたのに記録するのを忘れていたのです。
昔は、カッコーの声は、4月末からのゴールデンウイーク中に声を聞いたように記憶しています。それからするとここ数年はだいぶ遅くなっているようですが、気候の変動となにか関わりがあるのでしょうか。
カッコーという鳥は結構働き者です。朝はまだ暗いうちから鳴いていますし、夜も遅くまで鳴いています。先日は、イングランドとのサッカー国際親善マッチが放送されている夜9時過ぎに鳴いていました。託卵という形で、他の鳥の巣に卵を産み付け孵化を託す形で子孫を残すという特殊な生態なのかもしれませんが、なんとなく「また 悪さしているのかな?」などと勘ぐりたくもなります。ちなみに、わが国では「鳩時計」として知られている鳥の鳴き声で時を告げる時計ですが、西洋では「カッコー時計」として知られています。鳴き声がカッコーのそれに似ているというのですが、あなたにはどう聞こえますか?
今年の春はウグイスの声を聞きませんでした
日本列島では春は、カッコーの鳴き声より前には、3月末ころからウグイスの鳴き声が聞こえます。昨年は「遅いな。いつ来るのかな」と不安な気持ちで待っていましたが、確かに鳴き声を聞きました。しかしながら、今年の春は期待していましたが、とうとうウグイスの声を聞くことはありませんでした。
梅にウグイスと言われるように、ウグイスの鳴く環境が、周りになくなってきているんだろうと考えています。確かに周りには梅の木(梅の木だけに来て、鳴くのではないのでしょうが)が少なくなっているように感じます。その分、春に花を咲かせる梅以外の木を植える家庭が増えてきています。
身近な鳥はスズメからカラスに
先日にはスズメの数が減っているとの報道もありました。テレビを見ていても今はホームドラマの放映はほとんどありませんが、ホームドラマの朝の場面は、朝日が差し、スズメの「ちゅん ちゅん」という鳴き声が入るのが定番だったように覚えています。以前は身近な鳥といえばそのスズメでしたが、今はカラスになっているようです。カラスはどこにでもいますし、田起こしや代かきを行なうと一番始めに飛んでくるのもカラスです。続いてムクドリ、ツバメでしょうか。最近は青サギも飛来します。昔は松本地域ではあまり見かけた記憶のない鳥です。
畑を起こしたとき一番にくるのはモズで、ムクドリ、ドバト(ヤマバト)の順です。昆虫などを狙って飛んできますが、カラスは機械が直前まで迫っても逃げようとはしません。かえってこちらの方がはらはらするぐらいです。代かきが終わると、田んぼではカエルの大合唱が起こります。声のうるさいことしきりで、思わず戸を締めたほどでした。
迫り来る変化を鳥の鳴き声に聞く
今は、家の周りの田んぼが減ってしまい、遠くの方から鳴き声が聞こえてくる程度で、住環境の変化を感じています。地球的規模の環境変化や身近な環境の変化が、今後私たちの農業にどのような影響を与え、それにどのように対応していくのか、不安材料はたくさんあります。
鳥は鳴くことで、あるいは鳴かなくなることで人間になにかを伝えています。人間にとって生きるにたいへんな時代は、鳥にとってもたいへんなことは間違いありません。人間が生命をつないでいくうえで基本となる「食」ですが、いかに守り、いかに確保していくか、みなで知恵を出しあってほしいものです。