新信州暦 厳寒期を喜んだ子らはいまどこに

skatekids.jpg寒さがいちだんと厳しい時期になります。昔は、21世紀になるころまでは、この寒さのために「寒中休み」という小・中学校の休みが、長野県では5日間ぐらいあったように記憶しています。この時期、小学校の校庭の横にあった大きなくぼ地に水を入れて凍らせ、スケートリンクを作り、授業などでスケートを楽しんだ思い出もあります。校庭に土手を築きスケートリンクにするところもありましたし、集落の中の田んぼに水を張ってリンクを作りそこでも楽しんだものでしたが、今は少なくなっているようです。近所のスケートセンターや湖に出掛けるスケート教室もありました。靴スケートなどと洒落たものは買ってもらえませんでしたので、みんなもっぱら下駄スケートです。2本刃・3本刃、良くてパイプというスケートでした。紐で足を下駄に固定しました。当時は冷え込みも相当に厳しいものでしたが、最近は温暖化といわれるなかで、氷も厚くなりにくいようです。また、スケートを楽しむ人が減ってきていることも、スケートに親しむ機会が少なくなっている理由でしょうか。

Disney.jpg電車の中吊りに、東京ディズニーランドの「長野県の日」(県民感謝週間)の広告が張り出されるのもこの時期ならではでした。通常の価格よりも安く入園できるもので、真偽の程は定かではありませんが、これも寒中休みがあったからこそこの時期(1月27日〜2月4日前後)には長野県限定で設定されているんだと聞いていました。以前は農作業とのかかわりの中でいうなら、5月中旬頃の田植え休み、9月下旬頃の稲刈り休みがあり、それぞれ手伝いをしたものです。いまでは農家も子どもが減っていることや、作業の機械化が進んで人手が必要でなくなっていることなどから、そして夏休みをもっと長くしてほしいとの声に押されて、これらの休みは廃止されてしまっているようです。

shokuiku.jpg反面、食育や食農教育がここへきて盛んに行われるようになり、スクールファームでの農産物の栽培や収穫体験、また、小学生を対象にしたJA主催の農業スクールなどが行われています。学校給食にも地元産農産物が使われたり米飯の日があるなど、農と食、教育のかかわりが増えてきています。小さいうちから土に親しみ、農の大切さをしっかり理解してもらうことは、命がどういうものかを知り、その命をいただくことの意味を考え、将来に起こるかもしれない食料危機に対応できる人材の育成にもつながると思いますし、自分たちで栽培しはぐくんだものを実際に時満ちて食べる経験は、こどもの心を大きく育てるはずです。

ice.jpgこの時期には時々困ったこともあります。松本市の住宅地を流れる用水は、幅が1メートル足らずで、水深も10センチほどと浅いのですが、気温が下がると表面が凍ります。日中真冬日になると氷は融けず氷の下には水が流れたままで、さらに夜の冷え込みでまた氷が厚くなります。しかしながら下はまだ水が流れています。そんなことが続いたある日、日中温度が上がると、氷が割れて流れ出します。ちょっとしたことでこの流れ出した氷が橋の下などに引っかかり止ると、上流から流れてきた氷が次々とそこにかたまり、いわゆる氷のダムを作ります。そのダムに水が溜まると行き場を失った水が川から溢れ出し、道路はもちろん近くの家の庭を水浸しにします。地元の消防団や消防署に来てもらい、氷を流してもらう事態もありました。地元ではこれを「ぜいがつく」といいます。夜中にこのようなことが起きると、知らない間に浸水といった大変なことになってしまうことも考えられます。

snow.jpgさて、今週末におこった信州の話題をいくつかお知らせします。豪雪の話題でおなじみの長野県北部・飯山市の中心部にある商店街アーケードで22日、一斉に雪下ろしが行われました。屋根の上に腰の高さまで積もった雪をスコップで下ろします。作業する人も、周辺を通る人も、みんなが事故には気をつけなくてはならない、大変な作業です。一方で、この豪雪地域を拠点とするJA北信州みゆきでは、春の味・山菜の王様である「タラの芽」の出荷がもうはじまっているのです。出荷のピークは2月〜3月。きっと春はすぐそこまできているのでしょう。そう信じています。

curling.jpg中信の松本市にある松本城公園では「氷彫コンクール」が開催されました。23日、24日の二日間にわたり、白鳥や巨大魚、天馬など、力作が並びました。徹夜で作られたというこれらの作品は、訪れた観客たちの目を存分に楽しませました。同じく氷の話題ですが、南信の伊那市では、25日に少し変わった「氷上運動会」が開かれました。漬物用の重し2.5キロを滑らせる「プチカーリング」です。漬物石を使うなんて、と驚いてしまいますが、参加者の方たちは真剣でした。春の訪れは待ち遠しいのですが、まだしばらく信州では冬ならではの話題が楽しめそうです。

top_0127_small.jpg*巻頭のカバー写真を入れ替えました。日曜日の朝、長野県佐久市平賀にある大きなもみの木のてっぺんに、大きな鷺(サギ)が悠々と羽を休めていました。じっと静かに街を見下ろしている姿にしばし見とれてしまいました。ここ数日、この鷺たちはずっとこの場所に来ているようです。周辺は住宅街で、その一角にある竹林から大きなイチョウの木ともみの木が生えています。この地域では度々、川や水田などで餌を確保する鷺を見かけます。



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Brighteststar.jpg最近晴れた日の夜空を見あげたことがありますか? 日没直後の東の空の地平線の近くで輝いているのは火星です。赤い惑星はこれからしばらく明るく輝きます。27日には火星は今年最も地球に接近します。2日後、29日が晴れていたら夜空は見物です。ひときわ輝くふたつの星が見えるはずです。火星が東の空で今年で最も赤々と輝くと同時に、ほぼ南の天空で輝いているのがシリウス。そして目が闇になれてくると星たちがさらに見えはじめます。シリウスの右上にある三つ星がオリオン座。さらにその右上のほぼ中天近くにすばるがあります。すばるは和名で、普通はプレアデスとかプレアデス星団と言われています。清少納言が枕草子のなかで「星はすばる、…」と詠んだあの星の集まりです。世界各地で農耕作業の目安とされてきた星たちで、普通の視力の人でしたら、6つから7つの星が見えますが、大きな望遠鏡だと約140個もの恒星の集まりであることがわかると言います。25日には月齢10日の月がこのプレアデス星団を隠してとおる現象がありました。月の通り道の上にプレアデスが来るのは今後10年以上ないことだとか。

blue-moon.jpg30日は満月。ネイティブ・アメリカンが「オオカミの月」と呼ぶ満月です。この夜の満月は、1日が満月でしたから、1月の2回目の満月になります。1ヵ月に2回満月があることがある場合、2回目の満月のことを英語では「ブルームーン」といいます。この現象は科学的には19年間に7回起こるとされていますが、今年は3月にもまた「ブルームーン」が実はあります。英語の「ブルームーン」は「めったにないこと」の代名詞とされますが、2010年はそのめったにないことが1月と3月に起こるのです。特別な満月の夜にあなたはなにをしますか?

dreamakr.gif北米先住民のイロコイの人たちは、日没と共に頭上にプレアデスが姿を見せるこの日から10日間の祭りを行います。真冬の祭りと呼ばれるもので、夢について話しあったり、夢を与えてくれる存在のことを考えたり、夢の解釈をしたりすると同時に、宇宙にある創造的な力と破壊的な力の闘いを祝福する祭りで、新しい年と古い年がせめぎ合い、新しい年が古い年を呼び込むために、人びとは家中の火という火をすべて消して、それぞれの灰を集めて混ぜ合わせたあと、新しい火を灯す儀式をまず執りおこないます。コンセプトそのものが、なんとなくどんと焼きに似ていなくもないような。

kinome.jpg2月。2月は日本ではまたの名を、草木の芽が張ってくることから「くさきはりつき(草木張月)」「いんしゅん(殷春)」「うめみづき(梅見月)」「このめづき(木目月)」「きさらぎ(如月・衣更月)」「けんうづき(建卯月)」「ちゅうしゅん(仲春)」「なかのはる(仲の春・中の春)」「はつはなつき(初花月)」「ゆききえつき(雪消月)」「ゆきげしづき(雪消月)」「れいげつ(麗月・令月)」「をぐさおひつき(小草生月)」などと呼んでいました。

senzasai.jpg信州諏訪では、諏訪大社下社の春の遷座祭(せんざさい)が、1日(日)に行われます。約1キロほど隔てた秋宮と春宮の二つの神社間で、神さまが移動される、他の神社にはほとんど例がない祭事です。午後1時には、秋宮から御輿など200人の行列が春宮に向かいます。8月1日の盛大でにぎやかな「お舟祭り」に比べ、 春の遷座祭は行列だけで厳かに行われるため「こっそり祭り」「ひっそり祭り」とも呼ばれるとか。

300px-Ehou-direction.pngこのところスーパーやコンビニに行くと煎った大豆や鬼のお面など節分関連商品の売り場が設けられています。節分は、暦で言うと立春の前日の日のことで、つまり来週の3日にあたり、当ブログマガジンの次回の発行日でもあります。ここ15年ぐらいの間に、にわかに日本列島を席巻した節分の夜に恵方巻きを食べるブーム。お宅も家族の分だけ太巻きを予約しているかもしれませんね。節分の夜に恵方に向かって太巻きを一本まるごと食べきるまで誰とも話さなければ幸せがくるという言い伝えから、海苔業者の人がまんまと広めました。今年の恵方は西南西と言われていますが、それは微妙に誤りで、正確には西と西南西の中間、真西よりもほんの少しだけ南、西微南(正確には庚)になります。気にする人は正確に方角をきめる準備を。

indexarrow.gif 長野県の冬の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより

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