本日11月11日は「長野県きのこの日」です。これは生産量日本一を誇る長野県産やまびこしめじ、なめこ、えのきたけがピンと並んだ姿を数字の「1」に見立て、制定されたものなのですが、健康に「いい」、美容に「いい」と、「いい、いい」の語呂合わせも兼ねています。「いい・いい・きのこ」です。そんなきのこの美味しいシーズンになりました。”きのこソムリエ”といわれるきのこマイスターが監修した、その名も「きのこづくし弁当」が、今、長野県内のコンビニエンスストア「セブン−イレブン」358店舗で販売中です。中野市産のシメジやエリンギのほか、長野県産のエノキタケとマイタケ、また国産のシイタケと、5種類のきのこが使用され、内容はきのこご飯をメーンに全9品目。すべてのおかずにきのこを入れることで、季節の味を存分に味わってもらえるよう工夫したまさにきのこづくしのお弁当。開発全般に携わり、きのこを知り尽くしたマイスターらは「きのこの特性を最大限に生かした旬のお弁当を、より多くの人に堪能してもらいたい」と話します。このお弁当、価格は530円で2ヶ月間販売される予定です。
いきなりきのこの話題からはいりましたが、先週は月初めの突然の寒さに驚きました。最近は気温も安定して暖かく、夜でもそれほど暖房の必要性を感じない過ごし易い日々が続いています。小春日和というのでしょうか。小春日和は英語では「インディアン・サマー」といいます。しかし昨夜あたりから、それもそろそろ峠を越しつつあるようです。この次寒くなったら落葉を集めてきて焼き芋でもしましょうか。そんななか、先週の木曜日のことですが、県東部の上田市にある上田城跡公園で、ソメイヨシノが花を咲かせたというニュースが飛び込みました。これは10月下旬から1週間ほど暖かい日が続いたことと、冬場の土壌改良の影響とみられますが、紅葉をバックに20ほどの桜の花が楽しめたそうです。3週間も早い初雪といい、まったく変な陽気です。この冬は長そうだという報せなのでしょうか? あまり気温が高すぎるのも冬野菜にとってはよいことではありません。
長野市内から望める山々は、ここへきて色とりどりの紅葉も全体的に少し茶色みがかってきました。また市街地の並木は以前よりも葉を落として種類によってはかなりスッキリとし、見通しが良くなりました。そんな中を歩くのが今の時期はいいものです。今までは背の高さよりもだいぶ高いところにありよく見えなかった葉っぱも、今ではその形がハッキリと見える足元で、よく見るとイチョウやモミジをはじめいろいろな楽しい形と、色付き具合もさまざまな葉っぱに、道を歩いていても楽しいものです。例年より美しいとされる紅葉の盛りは、すでに南信に移りました。
木の葉がまばらで寂しげになっている今、近所の庭では白やピンクの山茶花の花が数え切れないほどに咲き誇っています。また控えめながらも黄色や白、ピンクの小菊もその庭に彩りを添えていました。さらにひと際目を引くのがドウダンツツジで、最後の力を振り絞るかのように、まるで燃えているほどに鮮やかな色彩を放っていました。
各地の直売所には早くも、野沢菜が束になって積まれるようになりました。80センチはあると思われるその立派に成長した野沢菜は、2ヶ月かけてようやくこの大きさまでに育ったそうですが、一般家庭において信州人が冬の一大行事とする野沢菜漬けの作業は、霜に数回あたって軟らかくなったものを用いて漬けるもので、本格的な作業はまだもう少し先。それでもこの立派な野沢菜を前に、信州人としての血がウズウズとするのでしょうか、2束3束と買い込んでいく人で、その日用意された野沢菜は完売。購入した人に聞いてみると、この野沢菜は浅漬けにして食べるのだそうです。
この時期直売所の売り場を占領するのはやはりリンゴ。りんご園ではサンふじの収穫にてんてこ舞いの忙しさでしょう。今月になってリンゴを代表する「ふじ」と「サンふじ」の販売が解禁されたせいか、売り場の棚はこのサンふじをはじめ、シナノゴールドや、そろそろ終盤の秋映(あきばえ)、紅玉などのリンゴでごった返しているといった状態で、見る人見る人、買い物カゴがいっぱになる位にいくつものリンゴを買い求める姿に、『やっぱり信州人はリンゴが好きなんだなぁ』としみじみ思います。今年のサンふじは、10月に入ってからの晴天続きにより、着色や玉肥大が順調。また日中と夜間の気温差があったことにより、色付きも良く、蜜もたっぷりと入った良質の仕上がりだそうです。県内では今月21〜23日を中心に、各地で「ふじ祭り」が予定されています。県北部の長野市にあるJAながの長沼農産物直売所「アグリながぬま」では21〜23日に、また21〜22日には県東部の上田市にあるJA信州うえだ農産物流通センター一帯で開催。
県北部の須坂市に本所を構えるJA須高からは、りんご「サンふじ」に厳選を重ねて最上級品とされたものが桐箱に入っての登場です。JA須高で扱うサンふじの最上級品「プレミアム」に、さらに厳選を重ねた「プレミアムゴールド」は、「白の香り赤のためいき」の名前で今年から販売。ひとつひとつが和紙に包まれて8個入り(約3キロ)の販売で、1箱の価格は1万円。なおこのサンふじの出荷は、来月上旬までがピークで年内いっぱいまで続くそうです。
近所の家庭菜園では、ユサユサと緑の葉っぱを繁らして、その下からちらっと白い身を覗かせている大根たち。この時期は大根の葉っぱも見逃すことができません。なぜなら葉の部分にはビタミン、ミネラルが豊富に含まれ、ホウレンソウや小松菜に勝るとも劣らない栄養価なのですから。旬を迎えて葉っぱのついたままのものも販売されることの多いこの時期は、わざわざ葉っぱのついている方を買い求め、これを油でジャコと一緒に炒めて食べるのが、この時期のちょっとした楽しみ。一方、県南部の諏訪市では特産品の「上野大根たくあん漬け諏訪湖姫」の作業が着々と進んでいます。先月下旬にぬか床づくりが行なわれ、今月上旬からは大根を収穫、洗いと天日干しが行なわれ、中旬からはようやく作業も漬け込みの段階へと移ります。
県中部の東筑摩郡山形村の長イモの収穫に続き、北部の長野市松代町でも長イモの収穫がはじまっています。JAグリーン長野松代農業総合センター直売所では、来月25日まで長イモ祭りが開催されていますが、今月23日には長イモの美味しい食べ方の提案やキノコ汁振る舞いの催しが予定されています。長芋については当ブログマガジンの過去記事「このながいもはこんなにもすぐれもの」も参考にしてください。
県南部の飯田市に本所を構えるJAみなみ信州管内では、「市田柿」の干し柿づくりに生産者は追われていますが、今年の市田柿は4月末の凍霜害などの影響により、前年より収量は少ない見込みだということ。しかし玉数は少ない代わりに果重は大きく、関係者は「見栄えのする良品となりそう。糖度も十分」と話します。この市田柿は1ヵ月ほど自然乾燥されて、今月下旬より出荷が予定されています。
県中部にあるJA松本ハイランドには男性職員でつくる「パパサークル」があります。ここで、パパたちが子供たちと一緒に育てたサツマイモがプリンとなって、今月限定の発売です。プリンの名は「信州ぜいたくプリン さつまいも」。やや硬めのプリンはお皿に盛って揺すっても「ぷりんぷりん」とはいたしません。色はやや濃い目のクリーム色で、味は甘さ控えめ。食べてみるとわずかな甘味の中に、ほんのりとしたサツマイモの味が楽しめますよ。サツマイモをプリンにしたのは、信州の名店、長野県松本市にあるプリン専門店「春夏秋冬(はるなつあきふゆ)」。もともと安曇野の新鮮な牛乳や松本平産みたて卵など地元の食材にこだわったプリン作りを手掛けていますが、今回はパパサークルの活動を知ってのサツマイモプリンの製作。そしてなんとこのプリン、本日11日から18日まで東京のデパート・伊勢丹新宿本店地下1階の催事場でも販売されていますので、首都圏の皆さまもこの機会にお立ち寄りのうえ、ぜひ信州の味をお試しください。プリン専門店「春夏秋冬」の営業時間は午前9時〜午後5時半。月曜日定休。地方発送も扱っています。お問い合わせは同店フリーダイヤル(0120−28−1508)へ。
*巻頭のカバー写真を入れ替えました。先週のはじめに白馬村から撮影した北アルプスの様子です。北アルプスでは、10月初旬に初冠雪が確認されましたが、それからおよそ1カ月で山頂を中心に雪化粧の範囲が広がってきています。今後、順調に雪が降れば、来月中にはこの辺りのスキー場も続々とオープンすることでしょう。スキーヤー、スノーボーダーが待ち焦がれたウィンターシーズンももう間近です。
●昨日は下弦の月でした。今日11月11日は長野県はきのこの日ですが、「1111」を見立てて特別な日にしようと考える人は当然ですがたくさんいます。配線器具の日(コンセントの差込口の形状が「11」です)、もやしの日(これはわかりますね)、煙突の日(四本の煙突でしょう)、秋田県ではきりたんぽの日、お菓子メーカーの江崎グリコがきめたポッキー&プリッツの日、サッカーの日(11人対11人)、麺の日などなど。
12日は15日続く立冬の季節の2番目の候で「地始めて凍る」ときにあたります。15日は七五三。17日が新月となり、また新しい月のサイクルがはじまります。いよいよ本格的に寒い季節に入るのでしょうか。でも今年の冬は暖冬だと天気予報の人たちは口をそろえていっていますね。エルニーニョ現象もあり、エルニーニョのある年は暖冬だと(図は2日前の11月9日のもの。太平洋の赤道付近にある赤い色の帯がエルニーニョ)。しかしアメリカで最も権威あるとされる農事暦を作る出版社では、これに真っ向から異を唱えています。
もとより農業に従事する人にとって天気は死活問題ですし、天気予報のお兄さんやお姉さんよりもずっと自然の近くにいて、自然を観察する能力には長けているはず(?)です。18世紀の末から今日まで一年も欠かすことなく農事暦を作り続けてきた彼らは、気象学、気候学的データのみで天候を予測するのではなく、今後の天気の判断にとってもうひとつの大切な要素である太陽の活動を観察することを一貫して主張し、2009年を通して太陽の黒点活動(太陽表面の地場嵐)がほとんどなかったことから、「太陽が静かなときは冬寒し」として、今年の北半球の冬は「通常の冬よりは寒い」と再度注意を呼びかけています。過去のデータでは太陽の黒点活動が少なかった年は地球が冷えているからというのが理由です。昨年2008年は、航空宇宙局(米国、NASA)の発表では1年366日の内266日に太陽黒点の全くない状態が続きました。彼らの主張によるまでもなく、今年1年間の太陽の黒点活動は活発ではありませんでした。おそらくこの黒点活動がほとんどない状態は、長い統計の結果平均して11年の周期で繰り返されていることから、来年も続くと予想されています。また太陽の地場は22年ごとに逆転します。今年の10月の下旬になって、太陽の表面にやや動きが観測されたというニュースが流されました。新しい黒点があらわれたのです。この動きがどういう天気につながっていくか、炭素排出量を抑えるべく旗を振る気候変動のニュースしか聞こえてこないかもしれませんが、世界には太陽の黒点活動に関心を持って見守り続けている人たちもいるのです。さて今年の冬は寒くなるのでしょうか、それとも・・・。焼き芋がいつでもできるように用意だけはしておきたいものです。
長野県の秋の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより
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