農業の未来を考えることは、世界の食料について考えることであると同時に、地球環境を考えることでもあります(長野県南佐久郡南牧村のJA全農長野八ヶ岳牧場で)
今回は、柄にもなく真面目な、そしてちょっと深刻なお話です。 外から見るだけだった農業に、ほんの一端ではあるものの広報という形でかかわらせてもらって数年がたちますが、農業は、天気を含め地球環境に寄り添うこと抜きには成り立たない産業である、とつくづくと思います。などとエラソーなことを申しておりますが、インパクトが強いのは、人類にとって農業が生命線だからこそ。 私事ですが、中学・高校生の頃(つまり、だいぶ前です)、地球人口は32〜35億人でした。1950年に25億人だった地球人口は、2050年には91億5千万人に達するとみられています。25億人になるまでは、とてつもなく長い時間を要したでしょうに。それが、100年間で66億5千万人増える・・・。これは考えてみれば、いや考えるまでもなくエラいことです。 当然、真っ先に心配なのは食料です。2050年には、単純計算で、現在の1・5倍の食料生産が必要になります。以前、ある政治家が環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加するかどうかをめぐり「GDP(国内総生産)比で1・5%の農業のために他の産業を犠牲にしてもいいのか」と発言し論議を呼びましたが、これはもう、人類の半分が何らかの形で農業にかかわらなくてはならないほどの必要量です。 みなさんは、世界の農畜産物生産量は着実に増えていると思っていませんか。恥ずかしながら、私も以前はそう思っていました。実際は、農畜産物の生産量は増えてはいるものの、とても地球人口の増加に見合うほど増えてはいません。 農地が増えても、その一方で農地の砂漠化が進んだり、農産物のうちかなりの部分がエネルギー材料に回されたり、といった理由もありますが、地球人口の増加率が、食料生産量の増加率をはるかに上回っているのが実情なのです。 世界で、毎日2万人以上が餓死している現実、そして、そうした地域で人口が急増している現実に、先進国と言われ、食料を大量消費する地域で暮らす私たちは向き合わねばなりません。 もちろん、農業は産業であり、農畜産物は生産財で物流経済の対象です。ただそれとは別の問題として、食料の生産拡大と配分方法のあり方を真剣に論議することが、人類の緊急課題ではないでしょうか(昭和人)。
昭和人
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