そのカフェは、軽井沢の南のはずれ、里山のふもとにあります。名前は「ふりこ茶房」。今年(2018年)で37年目を迎えるお店です。
古き良きものたちと心地よい音に包まれて
雑木林に隠れるようにひっそりとあるお店に入ると、夏のこの季節でも涼しい風が店内を快適にしてくれています。そう、ふりこ茶房の窓枠は、すべて戸袋に収納できるようになっていて、窓を開けると、まるでオープンテラスにいるかのように開放感のある状態なるのです。テーブルからは、お店の前にある池を眺めることができます。林からは、鳥の鳴き声や、虫の声などが聞こえ、店内に流れる音楽や、柱時計の音といったすべてが心地よいBGMです。
店内には、陶器などの工芸品が展示・販売されています。これらは、店主さんが各地から集めたもので、1970年代のものが多いのだとか。「いわゆる古いものですね」と笑う店主さん。その時代が技術的にも最高だったと店主さんは話してくれました。
ふりこ茶房という名前は、7年前に改名したそうで、その前は「喫茶ばおばぶ」という名前だったそうです。「ふりこ」とは、店内のそこかしこにある柱時計の振り子からとったのではなく「優しい母音のことばで、平仮名の店名を考えて『ふりこ』と名付けました」。ふりこはゆっくりと左右に揺れますが、頂点の軸はぶれないから揺れ続けることができる、そんな想いもあったそうです。長くこの場所でお店を続けて来た店主さんの人となりがわかる素敵な名前です。
お茶とスイーツでゆったりとしたひとときを
カフェのメニューは、喫茶が中心。珈琲、抹茶、カフェオレ、ジュースなど。ピザトーストやオリジナルのお菓子もあります。写真は、あんみつとクリームブリュレ。お茶のお供にぴったりの美味しいスイーツです。珈琲カップやお皿は、店内で販売しているものもあるので、気になったら店主さんに尋ねてみてください。
お店の前の池には万葉池(うたいけ)という名前があるそうです。「30年前にお客様が名付けてくれました。灌漑用のため池ですが、勝手に名前をつけて呼んでいたら、地図にも表示されるようになりました」と店主さんは笑います。水面には、鯉がゆうゆうと泳ぐ様子や、水面を飛ぶトンボの姿も見えます。水辺を訪れるカワセミなどの野鳥を、店主さんが可愛く描いたポストカードも販売してますよ。
喧噪を忘れ、静かでゆったりとした時間を過ごすのに、最適なお店です。良い意味で、避暑地としての軽井沢の昔の佇まいを感じられるお店ですよ。
- 長野県北佐久郡軽井沢町発地848−2
- TEL&FAX 0267-48-0550
- 営業時間 10:00〜18:00(17:30LO)
- (12月・1月は11:00〜17:00)
- 定休日 木曜日
- 冬期(1月中旬〜3月中旬)休業
■公共交通機関でのアクセス
JR軽井沢駅から「町内循環バス東・南廻り線」に乗車。
ふりこ茶房はバス停「上発地」と「馬取」の間にあり、フリー乗車区間のため、お店の前で乗り降りできます。