自然の神秘が生むさまざまな景観
大正4(1915)年、焼岳の噴火によって梓川がせき止められてできたのが「大正池」。藍とも深緑ともとれる水の色は、周りの景色を湖面に反映させ、驚くほどの静けさで、まるで時が止まったかのよう。
さらに目指すは上高地のシンボルともいえる「河童橋」。途中、鳥のさえずりも賑やかに、なんていうすがすがしさでしょう。遊歩道も歩きやすい!
田代池からは、穂高連峰のゴツゴツとした険しい岩肌を眺めながら歩きます。
ここで寄り道したいのは、森林に埋もれそうにどっしりと構える赤い屋根が目印の建物、「上高地帝国ホテル」。荘厳な風格が漂っています。
再びコースに戻り、田代橋、穂高橋を渡れば、ウォルター・ウェストンのレリーフが。上高地の歴史に欠かせないこの英国人宣教師は、それまで「信仰・修行としての山登り」だった日本の登山を、レジャーとして広く知らしめ上高地を有名にしたことでも知られています。
大正池からおよそ1時間、多くの人で溢れかえる河童橋に到着です。
橋から眺める梓川は、川底の小石までくっきり見える澄んだ色。対照的に、そのずっと奥には、穂高連峰のギザギザと鋭い岩が自然の脅威を見せつけているかのよう。下界とは別世界のすがすがしさです!
上高地の絶景を眺めながらのひと休みは、橋の目の前の「五千尺ホテル」にある「5HORN(ファイブフォルン)」で。信州産「ふじ」がたっぷりと詰まったアップルパイは、シャキシャキとした歯応えを残しつつほど良い酸味で、これぞ至福のひと時。
アップルパイに元気をもらい、目指すは「明神池(みょうじんいけ)」。
ここから約1時間半の道のりは、賑やかだった鳥の声もいつしか遠退き、人の数もすっかり減ります。一抹の不安を抱えながら、持参の熊避けの鈴をお守りに、木々の生い茂る合間をひたすら進みます。途中、すれ違う人からの「こんにちは~」の挨拶で、俄然元気も沸いてきます。
鳥居まで来ればその先は、穂高神社奥宮にある明神池。そびえ立つ明神岳をご神体としたこの一体は神域で、古くから神の降り立つ地=神降地(かみこうち)とも呼ばれるのだとか。
明神池もまた、神秘的な静けさを漂わせていました。