春から一気に夏になったような陽気となっている信州です。編集部のある長野市周辺の畑では農作業をする人の姿が目立つようになってきました。近隣の畑でもトマトやキュウリ、ナスなどの苗が植えられています。
4月に種まきをしたわが子(苗)の葉が、3、4枚になってきましたので、今回は、苗の移しかえを行います。
苗の移し替えについて
まずは、マニュアルを確認しましょう。
【3】芽が出て5日から10日たち、鞘葉(しょうよう:芽出しの時に出る白い芽)を除いて葉が3から4枚になったら苗の移しかえをおこないます。中でも背丈が高く、より茎の太い苗を3本くらいにしてまとめてバケツの真ん中へ移し替えます。
4枚目の葉が出始めた苗を「稚苗(ちびょう)」、5枚目の葉が出始めた苗を「中苗(ちゅうびょう)」、それよりも大きい苗を「成苗(せいびょう)」と言います。昔は、成苗で田植えをしていたそうですが、田植え機が普及してからは、稚苗移植が主流となっています。
なぜ移し替えるの?
一旦種もみから「芽出し」をして、種まきをし、さらに植え替えをするなんて手間がかかります。なぜこのような移し替えを行うのでしょうか。
苗を育てて田んぼに移し替える栽培方法は、実は奈良・平安時代に始まったとされています。この移し替えは、稲より早く育つ雑草に負けないための工夫で、以下のメリットがあります。
(1) 適切な温度管理ができるので、順調に苗が育つ。
(2) 苗床管理するため、病害虫や雑草、鳥の被害を避けることができる。
(3) 移植前の田んぼで麦や野菜などを栽培できる。
(4) 田んぼでの移植で一株当たりの本数を調整できる。
無駄な作業ではなくて、管理し育てやすいということで、植え替えを行うんですね。
【バケツ稲 作業3】
苗の移し替えと分げつ
さあ、いよいよ作業開始です!
まずは、すべての苗を抜いて、大きさを比べます。苗を抜くときは、草を抜くように引っこ抜いてしまうと切れてしまう可能性があるので、やさしく抜きます。土ごと抜いてしまうのがいいようです。
同じように芽出しをし、種まきをしたのに、こうも違うかというくらい1本1本の大きさが違います。元気に伸びている苗に比べて、2cmほどにしか大きくなっていない苗は、なんだかかわいそうな感じです......。
3本の優秀な苗
選抜された苗とされなかった苗
3本選抜し、まとめて田植えをします。本物の田んぼに手で植えるのと同じ感触で、心地よい感じです。
水を2cmくらい入れて2週間ほど保ちます。「分げつ」が進んだら5cmほどの深さに水を張ります。「分げつ」とは、他の植物が枝を増やして成長するように、根本から茎を増やして成長することで、茎が増えたように見えることです。
天候に恵まれることを願って
これで移し替え作業は終わりです。ただ、周辺の田植えがまだ行われていなかったので、時期が少し早いかもしれないことが心配です。
5月の初旬には突然寒くなったりしたこともありましたので、気象に負けずにおいしいお米が実るように、と祈りながらの作業となりました。
今のところわが子(稲)は、不良にならず真面目に育っています。来月もお楽しみに!