浦部さんの農事録
[浦部さんの農事録]

新しく農家になったふたりの農事録 第9回

連載※長野県北安曇郡松川村の浦部勇一さん(39歳)と同い年の千代美さんご夫妻に、月々の農事などを伝えていただきます。浦部勇一さんは2005年から長野県が行う里親支援制度に登録し、今年の4月に独立した新規就農者のひとりです。

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わたしが暮らす 松川村は「すずむしの里」。
夕暮れに畑へ行くと
無数のとんぼたちが飛び交うなか、
「りーん りーん」との音が
涼しげに聞こえてきます。
ほら、庭先でもすずむしが
羽を鳴らしてます。
日々秋の気配を感じる頃・・・
とは言え、毎日暑いです。
日中の暑さは30度を越える日がまだ多く、
しかも今年は異常な暑さの夏、
そして残暑の日々となりました。

matsuri_1.jpg と言えば「秋祭り!」です。神奈川に住んでいた頃には経験した事の無い「村の秋祭り」。有明山社の秋祭りに参加します。南神戸地区はお隣の鼠穴地区と合同で有明山社に獅子舞を奉納するのです。主人は3年前からこの獅子舞に参加させてもらってます。この獅子舞の練習が鼠穴公民館で約一ヶ月前からはじまっています。祭りの一週間前には毎晩練習に励みます。

今年の「有明山社秋の大祭」は9月8日(土)が宵祭り。内容は青年団による伝統の奉納行事獅子舞(鼠穴・南神戸合同と板取地区2つの獅子舞)とゲストによる歌謡ショー。9日(日)昼祭り。大ビンゴゲーム大会と舞台奉納(花で飾った2台の舞台を曳く)そして浦安の舞奉納(小学生女子による伝統的な浦安の舞)。

今年は初めて宵祭りに行ってみました。神社の入り口に着いて、うっそうと生い茂る杉並木、暗闇の中にぼんやりと浮かぶ灯り、参道を照らす行灯、幽かに聞こえるお囃子の笛・・・これがあの有明山社なの? と言うような幻想的な雰囲気です。参道を進むと灯りと笛の音がはっきりとしてきました。舞台は有明山社境内に向けて作られています。主人の獅子舞を見て厳かな中にも伝統を守っていこうとする青年団の気持ちが伝わるいい舞だと感じました。

matsuri_2.jpgその後、境内の前(舞台から離れていてちょっと高い所)から舞台を見てみると、周りから照らすぼんやりとした灯りに浮かび上がる舞台と獅子。こんな光景に出会えて良かったと思いました。日本の伝統行事が高齢化で存続できなくなる時代です。少なくとも自分が住むこの地域の伝統を守るためにわたしたちが出来る事はやっていきたいと思いました。いずれわたしもお囃子の笛を吹いてみたいな〜(もっと若い子がいいのかな?)。


inekari_1.jpg統行事を守るのも大切ですが、日本伝統のお米作り!進んでますよ・・・。先日、大きな台風が長野県にも接近しました。立春から数えて二百十日目、この頃は稲作で、最も重要な時期でもありますが、台風の来る時期でもあります。例にもれず今年も台風が来ました。幸いこの地域では大きな被害も無く収穫には影響が無さそうですが、長野県内で特に果樹などで被害に遭われた方々お見舞い申しあげます。

昔から農業は自然との闘いですが暑かったり寒かったり台風だったり・・・この世界に入ってかなり敏感になりました。なんとか台風で無事だった我家の稲も徐々に色づいてきました。はじめに刈る予定の田んぼの水は一週間以上前から抜いてあります。

例年なら8月末から始める稲刈り準備の倉庫の掃除・乾燥機掃除・籾摺り機掃除・ダンプの囲い付け・発電機設置・コンバイン準備等、たくさんやる事はありますが今年は残暑が厳しく里親さんもエンジンのかかるのが遅かったようで、9月に入ってからの準備開始でしたが、主人もだいぶ慣れてきたようで、乾燥機掃除もダンプの囲い付けもスムーズに進みあれよあれよという間に完了! さぁあとは刈るだけ・・・となりました。

inekari_3.jpgは戻りますが、昨日の晩(秋祭りの晩)は、里親さんの家にお呼ばれでした。おばあちゃんの話によると、昔は10月1日から稲刈りで秋祭りは9月末。今年の秋祭りは9月8日で稲刈りは9日。年々早くなってる・・・このまま早くなって真夏に稲刈りなんて絶対に嫌です。まぁそんな事にはならないと思いますが・・・

それにしても秋祭りのご馳走は凄かったですよ。お刺身にお寿司、オードブルに松茸のお澄まし、茶碗蒸しと冷シャブサラダ・・・極めつけに鯉の甘露煮(信州の秋祭りには鯉)、今回は里親さんちにおめでたい事もあって、超豪華な晩餐でした。inekari_2.jpg家族同様にお付き合いいただけて本当に感謝しています。

そして、今日9月9日(日)2007年度稲刈り開始! 6月にあの新車田植え機で一番はじめに植えた田んぼの美山錦(酒米)から刈り取りをはじめました。これからは雨が降らないように祈る日々です。来月は稲刈りレポートと新米の話かな?

あ〜食欲の秋だよ〜

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長野県北安曇郡松川村の浦部勇一・千代美さんご夫妻に月々の農事などを伝えていただいています。浦部勇一さんは2005年から長野県が行う里親支援制度に登録後、独立された新規就農者。おふたりは6年ほど前に神奈川県から長野県に移住してこられました。

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