神田さんちの農事録 第4回

※長野県下水内郡豊田村在住のりんご農家・神田茂貞さん(36歳)が、月々の農事を綴ります。

あちらこちらで桜の開花が伝えられていますが、わが家の桜も、ようやくほころびはじめ、北信州にも春がやって参りました。

この時期は、接木(つぎき)をするのにもっともふさわしい時期。接木とは、もともとある品種の枝に、系統の優れた品種を接ぐ技術のことです。新たに接ぐ枝のことを穂木(ほぎ)といいます。この穂木はまだ寒さの厳しい2月から3月頃に採取したもので、基本的に木が休眠しているときに採取し、冷暗室で乾燥しない状態のまま管理します。採取にあたっては、病気(ウイルス)に侵されていないかどうかのチェックが必要です。チェックの方法は、台木(マルバカイドウ)の皮を削ってみて、斑点があればウイルスに侵されている可能性があるので、その枝からは採取しないようにします。

わが家のりんごの品種構成は、ふじが80%近くを占めておりますので、このうちの2割を中性種(シナノスイート・秋映)への更新を順次行う予定でいます。そうやって労力を分散させ、結果としてより品質の良いものを生産するために、今は日々接木をしております。この更新にともなって、3年から4年は収穫が望めませんので、当農園としても、離農される方から園地を借りるなど、減収にならないような対策を講じつつあります。

また、わたしが出荷しているJAの共撰所でも、管内で栽培されている優良系ふじを選抜し、今後品質の統一を図るために、共同で接木を実施しています。今年は暖冬のために、生育が進んでいて、ふじの発芽が3月30日で、平年から比べると8日も早く、この分では4月下旬にはりんごの花も咲きそうです。このように開花が早いと、大変に心配なことは「遅霜(おそじも)」です。例年では4月中旬から5月下旬の満月に近い頃に、低温になることが多く、このための防霜対策には万全を期さなければなりません。遅霜については、霜道にあたる場所には、防霜ファンの設置がしてありますが、極端な低温では防ぎようのないのが現状です。農家は、この時期は心配でゆっくり眠れません。志賀の山にはまだまだ雪が見えます。低温障害のないことを神様・仏様に祈るだけです。

プラムの花も4月の中旬には開花して、畑は一面の白となることでしょう。続いて桃が開花し、濃いピンク花はわたしに活力・元気を与えてくれます。桃が散る頃にはりんごの花が咲きます。りんごの花は、白地で花びらのふちが淡いピンク色です。とても清楚で、わたしが一番好きな花です。王林・つがる・ふ じの順に咲きます。生育の早い年は、あまり品種による差がないので、今年は摘花(てきか)が大変になりそうです。りんごは、他の種類のりんごの花粉とでないと受粉しないという性質があるので、りんごの花が咲く7〜10日前には、その受粉を手伝ってもらうための蜂(ツツハナバチ)たちの巣を園に設置 します。蜂の巣は、3月中旬に冷蔵庫に移動しておいたものです。おーいハチさん、今年もしっかり受粉しておくれ〜 頼んだよ!

長野県の気候・春の特徴(長野地方気象台)

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長野県下水内郡豊田村在住のりんご農家・神田茂貞さん(37歳)が、月々の農事を綴ります。

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