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特集 大豆のチカラが元気をくれる

0502-1.jpg節分でまかれる大豆は、栄養の効率がずば抜けているために、ドイツでは「畑の肉」と、アメリカでは「大地の黄金」と呼ばれてきました。人間が生存のために必要とするタンパク質はアミノ酸が集まってつくられています。人の身体のなかでは約20種類のアミノ酸が発見されていますが、アミノ酸のうち食べものを通して摂取される9種類を必須アミノ酸と呼んでいます。完全なタンパク質というのはこの9種類の必須アミノ酸を含んでいるもののことをいい、大豆にはその9種類が全部そろっていて、しかも消化吸収率も良くて、理想的な食べ物だったからです。日本では鎌倉時代以降に栽培が広まり、伝統的に、味噌、豆腐、納豆、醤油など身近な加工食品の原材料として使われてきました。でもこの大豆の優良品種の多くが、実はわが信州の大地の生まれであることは、意外と知られていません。さらに「大豆100粒運動」についても紹介しましょう。今月はこのパーフェクトフードである大豆を特集でお届けします。

長野県産大豆の生産について

長野県で生産される大豆は、畑作大豆と水田においてお米の転作として栽培される大豆とがあります。畑作大豆の生産に大きな変化はありませんが、水田作大豆は年によって変動があります。平成16年産の大豆は、面積は3050ヘクタールで、前年より110ヘクタール微減しましたが、単収がまずまずで、収穫量は5340トンと、前年より210トン増えています。県内で栽培されている主な大豆は、タチナガハ(主に煮豆用)、ナカセンナリ、ギンレイ、エンレイ(これらは主に豆腐用)などの品種です。最近はつぶほまれ(主に煮豆、味噌用)、すずこまち(主に納豆用)といった品種も注目されるようになりました。

優良品種が長野県で多く開発された理由

実はそうした大豆の優良品種の数多くが、長野県塩尻市の桔梗ケ原にある県中信農業試験場で育種されたものなのです。ここでは、温暖地での栽培に適する大豆新品種の開発をしていて、これまで22品種を農林登録してきました。エンレイ、タマホマレ、タチナガハといった代表的な普通大豆のほか、黒豆、青豆、浸し豆なども育成されています。最近育成された豆腐用、味噌用および煮豆用の大豆品種は、どれもダイズモザイクウイルスに対して高い抵抗性をもっているので、褐斑粒の発生が無く外観品質にも優れています。



大豆の自給率

 

国産大豆100%のマーク
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日本における国産大豆の自給率については、平成5年に食用自給率が10%まで落ち込みましたが、現在は25%程度まで回復してきています。用途別の使用量は豆腐・油揚げ(55%)、味噌・醤油(13%)、煮豆・総菜(11%)、納豆(6%)などです。

 

国産大豆の成分と機能性

国産大豆の主な成分は、多い順にタンパク質(35%)、炭水化物(28%)、脂質(19%)、水分(13%)、灰分(5%)となっています。大豆から一人1日当たりおよそ6グラム(全体に占める割合7%)、味噌・醤油も含めると、9.1グラム(同11%)のタンパク質を大豆から摂取しています。また、大豆は、タンパク質、脂質、ミネラル・ビタミン等の栄養を豊富に含むとともに、その他の機能性成分として最近では、サポニン(抗酸化作用、抗がん作用)、レシチン(善玉コレステロールの増加、記憶力・集中力の増加)、イソフラボン(骨粗鬆症の緩和、更年期障害の緩和、抗がん作用)なども注目を集めています。アメリカ合衆国政府が発表した、ガン予防に効果があると考えられる食品「デザイナーフーズ」では、大豆は最も有効とされる8種類の野菜のうちのひとつ。また、2000年に厚生労働省が発表した「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」では、食物の摂取レベルにおいて、豆類の摂取量を1日76グラムから100グラム以上に増やすことなどが目標とされています。



大豆100粒運動ってご存知ですか?

大豆の100粒というと、ちょうど小学校低学年の子供たちが両の掌でうけとめることができる量です。未来をになう若者たちに、食の安全性や本来の味を体験してもらい、その生命を守っていって欲しいとの願いを込め、料理研究家の辰巳芳子さんが提唱しました。2004年の春、全国で初めて、長野県でこの運動が開始され、JA長野県も協賛しています。

 

木島平中部小学校の大豆畑
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昨年は、県内4校のモデル校を含め、32の小学校1700名以上の子供たちが参加しました。5月に種(「大豆100粒入りの袋」を配布)を分け、6月に種まき、暑い中での草取りや水やり、はじめてみた大豆の花、そして枝豆の収穫。学校の先生や地域の方々のご協力をいただき、11月にはたくさんの大豆を収穫しました。「お豆、すごくとれて、大豆100粒運動が大豆10000粒運動になったよ!」「お豆を分けてくれてありがとう。おとうふときなこをつくったよ。おいしかった!」子供たちからのかわいいお礼状がたくさん届きました。

 

指導をされた先生方からも、「来年は下級生に教えてあげると言っています」「視点を変え、育てるだけでなく、食について考えたい」という声をいただきました。中には1500人分の給食となって、隣の学校の子供たちにまで広がった地区もありました。モデル校としてさまざまな活動に協力してくれた県内の4つの小学校では、4校の大豆を集めて共同で味噌を仕込むことになりました。この味噌は、愛知万博期間中に長野県のパビリオンで供される料理の材料として利用される予定です。「自分たちの味噌を世界の人たちに食べてもらえるんだ!」と子供たちは誇らしげです。

この運動は雑誌やテレビでも紹介されるようになり、その趣旨に賛同した方たちが、今年の春から各地で種をまきます。南は九州鹿児島県、愛媛県や神奈川県でも準備を進めています。「大豆の栽培を通して、ものごとを意識にとどめ、喜びややりがいを経験して欲しい。また地域の方たちとの交流の中から絆を持って欲しい。そして、食を考え、自分の命に手ごたえを感じて欲しい」という願いを込め、長野県事務局でも、今年の4月からの参加小学校、地域の子供会や地区の皆さんを募集します。活動の詳細は、信越放送編成部(電話026-259-2158)へお問い合わせください。大豆100粒運動が、手から手へと広がり、子供たちから、食育、文化、地域、農業、さらには世界へ目を向けて、大きく羽ばたいていくといいですね。

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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