果物

黄華はまだ信州松本にしか存在しないブドウ

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いやはやなんとも気品に満ちたブドウではありませんか。

光りに包まれたこのやさしい黄白色の粒の大きなブドウ。その名を「黄華(おうか)」といいます。

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産まれも育ちも日本アルプスの麓の信州は松本で、今はまだ世界でここにだけしかない新品種。「アルプスマスカット」が愛称です。

その姿のごとくいと上品な甘さと香り。種はなくそのまま皮ごと食べられるのです。現在は数えるほどの人だけが育てている希有なブドウで、内外から大きな期待が寄せられています。

今回、この「黄華」という名前を、できるだけ多くのみなさんに知ってもらうべく、その誕生の地・松本へ、これを愛情を込めて栽培する生産者の矢島由男さん(写真)の畑に訪れ、そこから報告させていただきます。

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黄華という夢の誕生
まずは、「黄華」の横顔から。誕生は約30年前にさかのぼります。松本市惣社の大村嘉汎さんという農家の方が、ひとりのブドウ栽培者として満足できる品種にめぐり合いたいという強い願いから、育種をはじめたことがきっかけでした。

 

各地の育種家を訪ねたり、試行錯誤の結果、やがて「黄華」が誕生します。黄華は、黄緑色で糖度が高く皮が薄くて皮ごと食べられる「カッタクルガン」と、完熟すると紫黒に近い色をし、爽やかなマスカットの香りがする「ヒロハンブルグ」という品種を掛け合わせることにより誕生したのです。

色は黄白色で、皮まで食べられ、糖度は18度程度で甘く、酸味が少なくマスカットの香りがあります。長いこと大村さんのみが育てていた黄華は、やがてその味の良さで少しずつ、多くの人に愛されるようになっていきました。

プロジエクト発進す
黄華の産まれた地域を管内とするJA松本ハイランドでは、ブドウ栽培が明治初期よりはじめられていました。現在も巨峰、ピオーネ、ナイアガラなど数多くの品種が栽培され、県内でも有数のブドウの産地でもあります。そのJA松本ハイランドでは、大村さんの30年にわたる栽培努力を顕彰し、消費者のニーズに合う、種なしで皮ごと食べられて、さらにおいしいこの黄華を広めるために、平成16年より「黄華プロジェクト」を発足しました。

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今回、お話を伺った矢島由男(67)さんもそのプロジェクトに参加したひとり。現在、松本市里山辺地区でリンゴ、梨、ラフランス、稲に野菜などを栽培する農家です。なかでも矢島さんのブドウ栽培は見事で、今年の同JAの巨峰のコンクールで、金賞を受賞する腕前。今年はデラウェア約600ケース(2キロ)を出荷し、巨峰約300ケース(2キロ)を今後出荷する予定です。同地区では約240人がブドウ栽培をし、ワイナリーも近くにある、本格的なブドウの産地です。

 

矢島さんが本格的にブドウ栽培をはじめたのは64歳になって会社を引退してから。でもそれまでも、仕事のかたわら畑に出て汗を流していたといいます。黄華と出合って3年。最初の出会いについて彼はこう語りました。

「はじめは、どのように育てていいかわからなかった。試行錯誤の連続だったよ。土地になじむかが心配だった」

夢をつかむ日まで
日本アルプスが迫る同地区は、700〜800メートルと標高が高く、昼と夜の寒暖差があること、山から流れる水が豊富にあることが特徴。土壌も水はけがよく、矢島さんに言わせれば、

「ブドウを栽培するにはもってこいの土地なんだよ。ここにも同じブドウを作る仲間が約240人もいるんだから」

と笑顔を見せます。しかしそれでも、このプロジェクトに同地区で10人が参加し、現在までに黄華が実をつけたのが、わずか4人。もともと、黄華は5年を経過しなくてはよい実がつかないと言われています。

「3年目でコレだけ実をつければ立派だよ」とブドウ名人なら言うかも知れません。しかし、矢島さんは「ブドウだから、手は必ずかかる。それでも、技術的には思ったほど栽培の難しさはないんじゃないかな」と教えてくれました。

消費者の笑顔と生産者の希望
黄華は、収穫の時期が長く、実をつける木の棚持ちがよいとされます。「高齢化の進む生産者にも、これなら取り組める。今後、より形・味のよいものを作り黄華のすばらしさを全国の人に知ってもらい、消費者の笑顔と生産者の希望につなげたい」と矢島さん。現在も、3年目で実をつけた矢島さんの畑には生産者が足を運びます。

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「なんと言っても黄華の魅力は味だ」と矢島さんは思いを込めて続けます。「味は、ぶどう本来の甘みが特徴で女性向きなやさしい甘さです。この甘さがやみつきになるのです。皮まで、皮の周りのおいしい部分まで、食べられる。種が入ってないから安心して多くの方に食べてもらえるのです」

売り切れご免
JA松本ハイランドの秋の収穫祭などに並べられると、この黄華はあっという間に完売してしまうほどの人気者です。今年の予約販売は終了してしまいましたが、10月末まで残りわずかですが収穫が予定されています。矢島さんも出荷することがあるぶどうの郷・山辺ワイナリー内「ファーマーズガーデンやまべ」(電話0263−32−3644)までお問い合わせください。内容は3〜4房入って、1箱(2キロ)5,000円。送料・荷造料が別途750円かかります。出荷の日がまちまちですので全部対応できるかは電話にてご相談のほどを。

なお、この週末の10月6日〜8日に松本市へ出掛けるよ、という方は、松本城で開催される「信州松本そば祭り」の会場で販売を予定していますので、ぜひ足をお運びください。運さえよければお目にかかれることがあるかも知れません。是非、その際は新しい希望の味、信州の夢の味を楽しんでみてください。

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