ピーク時には1日5万玉、ひと夏で200万玉!! 長野県中部に位置する松本平には、夏の風物詩とも言える名産の「JA松本ハイランドすいか」があります。今回は、旬真っ盛りのすいか畑で収穫と、すいか作りに欠かせない大切な作業を教えてもらいました。
お邪魔したのは、乾靖さんの畑。そうです、この緑の絨毯の下にお宝がっっ。 靖さんがツルや葉をかき分けて収穫したすいかを、くるっと振り向きざまに投げると、1mほど離れたところで奥様のみき子さんがキャッチ。軽く磨いて運搬台車に優しく置いていきます。これが一番早くて良いのだとか。「大切に、愛情も込めて優しく投げてる」と笑う奥様。まさに、絶妙のタイミング!
合間に、収穫前のすいかや葉の向きを変えて日当たりを調節していきます。一部だけに日が当たらないのも良くないし、日焼けし過ぎるのも良くないため、常に一つひとつのすいかの生育をチェックし丁寧に育てます。「葉もツルも生育に大切だけど、作業するには大変」と言いながらも、「今年は好天に恵まれ、甘味ものって最高の出来」と満面の笑みの乾さん。収穫の喜びは計り知れない様子。続けて「手間隙かけるのはもちろん、バランスの良い土作りを心がけている。それにここら辺は火山灰土ときれいな梓川の水、日照時間の長さと夜の温度が低い(昼夜の温度差が大きい)ことから、おいしいすいかができるんだよ」と教えてくれました。
その時、奥様が「これなんか美味しいよ~♪」とずっしり重い4Lサイズのすいかを。すかさず専用包丁を取り出し、いざ入刀~~。滴る果汁が何ともジューシーで、断面は身がぎっしり詰まった見事なピンク色♪「すいかは中心が一番甘いのよ。知ってた?」と中心が全員に入るようにカットしてくれました。一同、カットすいかで「カンパーイ♪」のち、寄せては返す「シャリ、ジュワー」の波・波・波・・・。「あっまっ!!」「うっまっ!!」との歓声と「シャリリっ」と言う音だけが畑に響き渡ります。
生産者の乾さん。後ろに見えるのがすいかを運ぶ台車
ここで乾さんから、おいしいすいかの見分け方を教えていただきました。どうぞご参考に。
○ 美しいフォルム(見た目) ○ ずっしり重いもの ○ 黒い縞模様の凹凸が完熟のサイン、すいかの頭をなでて、デコボコしてると甘い。
縞模様の凹凸がおいしさの目安
6月下旬~8月末まで、早朝4時から1日500~600玉ほど収穫している乾さん。他にもすいか作りに欠かせない作業があるとのことで、別の畑へ移動。雨よけのビニールシートの下、すいかと言えるほどの大きな実が見当たらない畑で行われました。その作業は「人工授粉」と、綿棒片手の乾さん。
大事な作業のひとつ、花粉付け
赤ちゃんすいか(花粉付けから8日目)
雄花の花粉を雌花につけて交配させます。蜂だけでは追いつかないし、交配作業日から毎日の平均気温を足して熟度を算出する「積算温度」の計算にも役立つので、とても重要な作業です。ちなみにこの積算温度が1,000度を超えた頃が出荷目安と言えるのです(概ね44日基準、猛暑日などで変動あり。取材日は7月20日)。 花房がうまくいかないときれいな形のすいかにならないそうで、これまた一つひとつ丁寧な作業が求められます。
JA松本ハイランドすいか共選所 広大な敷地のベルトコンベア上で、糖度センサーを待つすいかたち ちなみにサイズは、2Lで7㎏、3Lで8㎏、4Lで10kgほど
共選所となりJA直営の直売所
サイズもいろいろ、ずらりと並ぶすいかたち
雰囲気ある中町通り
JA松本ハイランド直営「中町蔵マルシェ」
そんな松本ハイランドすいかのスムージーがあると聞いてたやってきたのは、松本城に程近い中町通り。その名も「中町蔵マルシェ」。昨年(2015年)10月にオープンしたJA松本ハイランドのアンテナショップです。レンガづくりの道を挟むように蔵造りの建物が並ぶオシャレな通りに、その店はあります。
通りから、まず目をひくのは、すいか・とうもろこしなど、色とりどりのカラフルな夏野菜たち。 落ち着いた光の中、店内を進むと、地元産のジュースや伝統の味噌に凍りもち、新商品のセロリのポタージュといった加工品も充実。種類豊富な山辺ワイナリーのワインをはじめ、ヨーグルトや納豆まで。またアンテナショップには珍しく、中央の本棚には園芸や料理本なども数多く並べられ、夏野菜のピクルスなども紹介されています。地元の常連さんをはじめ、県内外の観光客の方々で活気にあふれたマルシェです。
店内奥のイートインコーナーにお目当ての一品を発見♪ 季節ごとに旬のスムージー1種類を提供しています。宮島店長オススメ、夏の人気商品と言う「すいかスムージー」(340円)を注文。きれいなピンク色とすいか特有のシャリ感が見た目にも涼やかです。大きくゴクリといただくと、甘さの後にふわっと広がるすいかの香りとシャリリとしたのど越しに、また一口、もう一口、と止まりません(゚д゚)ウマー! スッキリサッパリの後味が、あと引く美味しさです。
ただ、すいかの水分量を考えると、水っぽい(!?)ジュースのようになってしまうのでは? と単純な編集部員の予想を反して、スムージーならではの濃厚でトロリとした食感もバッチリっ☆ そこで美味しさの秘密を探るべく、宮島店長の素早い手元に注目しました。 ミキサーに、まず凍らせたカットすいかと生のカットすいかを投入。次に謎の白い塊を投入・・・。そしてミキサーをまわすだけでできあがり。他には何も入りません。もちろん砂糖不使用ですよ。さて、この白い塊は? 意外な食材、冷凍の「長いも」なんです。「すいか5 対 長いも1」の割合だとか。え~~っと思いましたが、飲んだ時には(教えてもらうまで)長いも感は微塵もありません。よくよく見るとうっすら白いラインが見えるくらい。 松本市はいわずと知れた「すいか」の産地ですが、「長いも」も特産品として有名です。そこで、こちらのマルシェでは、季節ごとの全スムージーに「長いも」をプラスしているそう。「健康にもいいですし、他のどんな食材とも相性抜群なんです♪ おいしくたくさん食べてほしい」と微笑む宮島店長でした。
すいかスムージーを作る宮島店長
すいかと長芋オンリー
すいかスムージーは8月末頃までで、以降、「ぶどうスムージー」や「りんごスムージー」などが登場します。もちろんすべて「長いも」入り。信州松本の季節の味をどうぞお楽しみください。あっそうそう、もしかしたら、真冬に今夏の冷凍すいかがサプライズとして登場する、なあんてこともあるかも!?
入口中央には旬のすいか
セロリ嫌いの方にもおススメ、セロリのポタージュ
■関連リンク
JA松本ハイランド
JA松本ハイランドアンテナショップ「中町蔵マルシェ」
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こちらは 2016.08.09 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
まちゃ
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