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垂涎の白と緑 - 北信濃「うど」栽培地探訪

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信州の5月の楽しみといえば「農産物直売所」を絶対にはずせません。なぜならばそこには山国・信州が誇る、今が旬の"山菜"が並んでいるはずですから。

雪解けが進んだ北アルプスの景色や、長かった冬の終わりを喜ぶかのように咲き誇る花々、そして木々の新緑など、そんな風景を堪能する道すがら、どうぞ直売所に立ち寄られることをお忘れなく。山菜を手に入れるのに今では山の中をさ迷う必要はありません。直売所へ一歩踏み入れれば、タラの芽、ウド、コゴミ、コシアブラ、行者ニンニク、ノビロなどなど山菜好きにはたまらない光景が広がっています。寒さを耐え忍んで顔を出した山菜のほろ苦さは、この時期だけのとっておきのお楽しみ。これらの山菜を味わわずして信州を堪能したことにはなりません。もうホントこれだから信州ってたまりませんね。

そんななか、皮から葉っぱまで捨てるところが無く食べられるウドは、主婦にとっても頼もしい食材。売られているウドをよく比べて見ると、白い部分が多いものや全部が緑色をしているものなど、何が違うの?とちょっと疑問が沸いてきました。そんな"?"を確かめるべく、直売所にウドを出荷している方の後を追って、ウドが収穫される所へと連れて行ってもらったのです。

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こうしたら、真っ直ぐに育ちました。
案内していただいたのは、ウドを栽培して10年以上という中島邑二(むらじ)さん(79歳)。長野市街地から少し山手にあたる標高400メートルほどの場所で、「面白半分でやってるよ」と笑いながら私たちを迎えていただきました。最近植えたばかりというキュウリにトマトやナス、それからマルチシートを敷いた里芋畑などを説明しながら、坂道をもヒョイヒョイと登っていく中島さんの姿は、とても80歳目前とは思えませんし、その軽やかな足取りや表情から察するに、畑にいることが本当に好きでたまらないのでしょう。ようやく中島さんの足が止まったその先には、一瞬ではそれとはわからなかったものの目を凝らして見てみれば、確かにそこにはあのウドそっくりの葉っぱが顔をのぞかせていました。

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すぐにウドと気付けなかったのは、すっぽりと全身が覆われていたから。中島さんのところでは、籾殻(もみがら)をうず高く盛りあげ、そのなかでウドを育てていて、これはウドをまっすぐに生長させる工夫なんだそうです。もちろん土台の株の部分は大切な養分がたっぷりの土に植えられていますが、根より上まで土で覆ってしまっては、土の重みで軸が曲がったものに出来てしまうことがあるのだそうです。ただし、籾殻には米が付いたままで残っていることがありますから、それらの米粒を目当てにスズメがやって来ては、籾殻を散らしていってしまうという厄介な面もあるのだとか。

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白はよし。緑もまたよし。
そしてこのうず高く盛られた籾殻を掘り起こしてみれば、白くてスラリと伸びる一本のウドが現れました。そう、ウドの色の違いは、陽の光にあたったかどうかなのです。籾や土など日光に遮られた部分は白色で、光の遮断がない部分は緑色と、アスパラなどと同様に光合成の影響が色の違うウドを作り上げていたのでした。ちなみに白いウドは軟らかいのが特徴で、緑色のは香りや味、アクも強く、より山菜らしさを楽しめるのだそうです。

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「採りたてのものはアクも感じなくて甘味があり、丸かじりが最高!」という中島さん。そうそう新鮮なウドが手に入るわけではありませんが、軸の部分は生のままで味噌マヨや酢の物に、また炒め物にしたり、茹でて胡麻和えにするのも美味しいですし、葉の部分は天ぷらにするとして、残りの皮の部分はキンピラ炒めと、一本あれば食卓に並ぶお皿の数も断然増える山菜です。果たして皆様のお薦めの食べ方はどんなものでしょうか。
「白いご飯にこのウドさえあったら、うまいでぇ〜」といいつつ笑顔を向けてくれた中島さんが育てるウドは、JAながの農産物直売所「うえまつ」で販売しています。

◆JAながの農産物直売所「うえまつ」
住所:〒380-0802  長野市上松3-1-2
電話:026―234―2427
営業時間:9:00〜18:00(1、2月は17:00まで)
定休日:年末年始

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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