食用ホオズキはきっとあなたをとりこにする

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「このホオズキが鈴なりになった時『今年もまた秋がやってくるなぁ』と感じるの」

そう話したのは、県南部蓼科山にも近い茅野市で、食用ホオズキの栽培を始めて8年目になるという宮澤二三子(みやざわふみこ)さん。周囲はすでにほとんどの田んぼで稲刈りが終り、刈り取ったワラが干されている様子があちらこちらに広がって、いっそう明るくなった日差しが注がれたこの日は、たくさんの赤とんぼが忙しそうに飛び回わる、秋ならではの農村風景が広がっていました。さらにこれが晴れた日には、八ケ岳連峰が正面にそびえ立つのを見ながらの農作業となるのだそうです。

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それにしても、ホオズキは何処にあるというのでしょう? 目の前には人の背丈ほどの樹が繁っているばかりです。そこで宮澤さんの後についてその覆い繁る樹に近づいてみれば、目の前にはあの、ホオズキの形にそっくりなものがぶる下がっているではありませんか。けれどそのホオズキはカサカサとして枯れたようなベージュ色の殻をして、あの朱色の鮮やかな観賞用のホオズキとは色も樹の大きさも、見た目には大分異なるものでした。

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ところがこの姿が食用ホオズキの食べ頃のサインだそうで、実を覆う外側の袋をバリバリと破けば、その中からは黄色のぷっくりとした輝く黄金色の実が顔を現しました。それは果実のように完熟に近づくほど甘みが増して美味しくなるのだとか。

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味も香りもフルーツでした
「食べてみて」そういって手渡してくれたものは、ミニトマトより果肉が軟らかくて食べ易く、甘味と酸味を小さな粒にギュッと閉じ込めたような濃縮したミカンのような甘酸っぱさ。トマトとパイナップルをブレンドしたようなほのかな香りです。食用ホオズキがサマーチェリーとか、ゴールデンベリーなどと呼ばれ、欧米ではフルーツとして扱われるのもうなずけます。

ジャムにしてもおいしい
この地域ではこの食用ホオズキを使って、特産の寒天とあわせて"てん寄せ"(寒天で固めたもの)を作ったり、またこの甘酸っぱさを生かしてジャムを作ることが多いとか。また、宮澤さんの知り合いのアイスクリーム店でつくってもらったというホオズキのアイスクリームは、苦味のある芯の部分を取り除いてジャムにしたものを混ぜ込んだもので、「うんとおいしいだ、それは! 美味しかったな・・・」と宮澤さんはその時の味を思い出しながら嬉しそうに、そして自然と声にも力が入ったのでした。

秋が深まるほど甘くなる
しかし今年のこの暑さでは、この味に辿りついたのも収穫時期を迎えてしばらく経ってのことだったそうです。

「それまでは昼と夜の温度差があまり無かったでしょ、だからいい味にならなかったんだよ。本来の味に戻ってきたのは、寒く感じられるようになってきてからだね。・・・それと今年は日照りの影響で、外側の殻だけ枯れちゃって・・・殻が茶色っぽくなったからイイと思って収穫しても、中の実はまだ青くて苦いの、で売れなくて・・・バラバラと実を落としちゃった。ほら、地面に大分落ちてるでしょ」

と言われて、今年の暑さがもたらした影響を垣間見たのですが、「でも今では美味しくなったよ、『誰か美味しく食べてくれるかなぁ』と思いながら直売所に持っていくのが楽しみだよ」宮澤さんはそうつけ加えました。

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鑑賞用のものとは違って、背丈が180センチほどになるこの食用ホオズキの樹は、大地にしっかりと根を張らせるため、根が伸び易いよう軟らかい土づくりには体力を使うといいます。そうして毎年5月から苗を植えはじめるのだそうですが、この場所では6月始めまで霜の恐れがあるために ― 強い霜が降ると1日で作物が駄目になってしまうため ― この時期は気が休まらない日々を送ることになるそうです。

「でも6月の10日を過ぎると霜の心配もようやく無くなって、樹は次第にモコモコとして、その様は人間の子供が成長するようで楽しいよ。そうして大きくなって、お盆が過ぎて実がたわわに生った時は、嬉しいよ・・・今年も元気に生ってくれたなぁ。って思うよ」と目を細める宮澤さん。

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栽培する人も増えてきた
宮澤さんが食用ホオズキの栽培をはじめたきっかけは、8年前に息子さんが知人から苗を譲り受けてきたことでした。しかしその当時は、この実を直売所に出しても、馴染みのない食用ホオズキはなかなか売れない日々が数年間続いたそうです。あるときそれがメディアで取りあげられたことをきっかけに、買い求める人も多くなり、またレストランなどからの需要の多いものとなって、食用ホオズキの栽培に適する気候条件というこの辺りでは、栽培する人も増えてきているのです。毎年の収穫は霜が降りる前まで続きます。

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美容と健康の面からも注目
中南米原産のナス科の植物である食用ホオズキは、英語名を「グラウンド・チェリー(Ground Cherry)」といいます。ビタミンA、Cや鉄分等を多く含み、中でも肝臓に良く体内に不要なものをためない働きをするとされるビタミンB群のイノシトールを含み、コレステロールの低下や動脈硬化の予防、さらにがん予防や老化予防に良いとされ、美容と健康の両面から注目されています。パイの具にするのもいいし、ジャムにもできますよ。

信州産食用ホオズキのお求めは、A・コープピアみどり店で。


A・コープピアみどり店

住所:〒391−0213 茅野市豊平3066
営業時間:9:30〜19:30 (日曜 9:00〜)
電話: 0266−82−2200
A・コープピアみどり店ホームページ

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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