実りの秋になりました。県内直売所ではいろいろな品種の果物が並んでいます。
長野県オリジナル品種のりんご3種
9月に収穫される長野県オリジナル品種りんご「シナノドルチェ」「シナノピッコロ」「シナノプッチ」は、それぞれ個性があるので、品種ごとの食べ比べをしてみるのもおもしろいです。
左からシナノドルチェ、シナノピッコロ、シナノプッチ
- シナノドルチェ
「ゴールデンデリシャス」に「千秋(せんしゅう)」を交配して育成され、2005年に品種登録されました。縞模様が特徴。甘さと酸味のバランスがよく濃厚な味。
- シナノピッコロ
「ゴールデンデリシャス」に「あかね」を交配して育成され、2006年に品種登録されました。小ぶりで丸かじりに適したりんごとして開発されました。甘みと酸味のバランスがよく爽やかな味わい。
- シナノプッチ
「つがる」に「さんさ」を交配して育成され、2010年に品種登録されました。「シナノピッコロ」と同様に丸かじりや食べきりサイズに適した品種。酸味が少なく甘みが強く感じられる。
今回はこれらの長野県オリジナル品種を開発している「長野県果樹試験場」にうかがいました。
新品種の育成を行う長野県果樹試験場
県内有数の果物産地・須坂市にある長野県果樹試験場でりんご、ぶどう、もも、あんず、プルーンなどの長野県オリジナル品種は誕生します。最近では皮ごと食べられる赤系ぶどう「クイーンルージュⓇ」が開発されました。
果樹試験場では新品種の育成、環境にやさしい農業生産技術、地球温暖化に適応する技術、安定生産技術および低コスト・省力化・軽労化技術などの試験研究に取り組んでいます(引用|長野県果樹試験場 (nagano.lg.jp))。
長野県果樹試験場 育種部 部長の峯村万貴(みねむら・まき)さんにお聞きしました。
- 今はどのような品種の開発に力を入れているのですか。
「病気に強く、農薬が少なくて済むような環境にやさしいものや、おいしくて育てやすい品種です」(峯村さん。以下同)
「まずはどのような品種を開発したいかによって交配する品種を決めます。例えば病気に強く、食味の良い品種であれば、病気に強い品種と食味の良い品種を交配し、実った果実から種をとり、種をまいて苗を育て、果実を実らせて収穫して初めて結果がわかります。新品種誕生までに“最低で”10年ほどかかります」
非常に根気のいる作業なのですね。
長野県果樹試験場の農園。約9.4haの農地で育種や栽培技術の開発が行われています
9月下旬頃に収穫されるぶどう「クイーンルージュⓇ」や日本すもも「シナノパール」、プルーン「オータムキュート」や10月末から11月上旬に収穫されるりんご「シナノホッペ」など、おいしい長野県オリジナル品種がたくさんあります。
さまざまな品目の「長野県オリジナル品種」を見つけたら、ぜひ手にとり、それぞれの旬のおいしさを味わってみてください。