長野県の名物「おやき」。焼いたり揚げたり蒸したり、地域やお店によって個性があります。今回はふわふわ生地が自慢の「あちゃまおやき」を取材しました。
「あちゃま」って何?
長野県の北部に位置する中野市にある中野市豊田農産物加工施設で「あちゃまおやき」は作られています。
「あちゃま」とは「あらまぁ」というこの地域の方言。
1998年ごろから中野市がウサギを追うことで有名な唱歌「故郷」の作詞者、高野辰之の出身地であることから「ふるさとおやき」という名称でおやきを販売していましたが、2006年に商標権の問題により「ふるさと」が使用できなくなってしまったのです。
そこで「ふるさと」に代わる地域に愛される名称は―ということで「あちゃまおやき」と名付けられたのです。
りんごの煮汁で生地がふわふわに
あちゃまおやきは、同施設で製造しているアップルパイのりんごの煮汁を生地に入れることでふわふわ生地になります。
中野市豊田農産物加工施設の「おひさまの林檎パイ」。地元産のリンゴをジューシーに煮たアップルフィリングがたっぷりと入っています。地元の方はもちろん、中野市のふるさと納税返礼品としても人気。長野県園芸特産振興展長野県知事賞受賞(1999年)
そのほかに、
1、小麦粉とベーキングパウダーを混ぜた粉をよく振るっておく
2、生地をこねたあと具材を包み、おやきを蒸す、この一連の工程を素早く行う
などの工夫も重要です。これをやらないと生地が固くなるそうです。
あちゃまおやきづくりの様子はこちら。
焼きたてのあちゃまおやき
いろんな具材を召し上がれ
おやきの具材になる材料は、施設の近くの畑で組合員が栽培したり、地元産の農家から分けてもらったりと地産にこだわっています。
定番の具材は野沢菜、きのこ、あずき、大根ミックス、じゃがバター、かぼちゃ。そして不動の人気は野沢菜。「おやきといえば!」ですよね。
若者に人気なのはじゃがバター。なめらかな舌ざわりで、こしょうが効いて食べごたえがあります。
蒸したばかりのじゃがいもを熱々のうちに総動員で手作業で皮をむいたり、つぶしたり。おやき部のみなさんはじゃがバターづくりの現場を「戦場」と呼びます。
じゃがいもは「きたあかり」を使用。つぶしやすく、黄色みがかっているので白い生地に具が映えます
春季限定おやきは、菜の花、おから、ねぎ味噌があります。
ねぎは秋か冬のイメージですが、こちらは冬の間、雪の下で糖分を蓄えた春先のねぎを使用。とろっと甘くて絶品です。
ねぎ味噌
夏には北信濃の夏の定番野菜である丸なすや、地元出身の長野商業高校の女子生徒と共同開発したぼたんこしょう入りおやきも作ります。
生地に赤と緑のぼたんこしょうが入ったカラフルなおやき。具材はなす
おいしさが損なわれないように瞬間冷凍させて販売し、いろいろな味や見た目のおやきが楽しめます。
道の駅 ふるさと豊田やECサイト「NAGANOマルシェ」で購入できますので、ぜひ一度食べてみてください。
中野市豊田農産物加工施設利用組合おやき部メンバー。お茶休憩中です