自分たちで搾(しぼ)った牛乳を直接消費者のみなさんに飲んでもらいたいという思いをきっかけにして、信州は黒姫高原の酪農家たちが結集して設立されたのが、有限会社黒姫高原牧場。その代表的な商品がこの「のむヨーグルト」で、自信作の名にふさわしく、その味はあくまでまろやかで、口当たりが良く、牛乳が苦手という方にもおすすめです。
黒姫高原がある長野県信濃町は、緑豊かな高地で、きれいな水と空気が人にも牛にも良い環境。酪農家が搾った生乳はすぐ近くの工場に運ばれ、殺菌して牛乳やヨーグルトになります。安全でおいしい乳製品を完成させるため、牛に与える飼料から見直し、遺伝子組替をしていない飼料を使っています。配合飼料についてもポストハーベストフリー(トウモロコシなどの穀類に収穫後病害虫駆除のための農薬を使っていない)を使用し、牛の健康と生乳の安全を追求しています。
安心安全へのこだわりが形に
のむヨーグルトは、低温殺菌した牛乳に、自社で培養した独自の乳酸菌を使って発酵させた生乳100%の本格的なヨーグルト。糖分については、北海道産の砂糖大根からとった、非遺伝子組換え証明済のビート糖(グラニュー糖)を使用しています。
「遺伝子組換え農産物に消費者のみなさんが不安を感じているので、コスト高でもできるだけ安心できる本物をつくりたい」と語るのは黒姫高原牧場の北澤貞治営業部長。会社は平成10年10月に設立です。実際に会社で牛は飼っていませんが、酪農家が集まって作られたために、あえて「牧場」の名称を使っているのだとか。牛乳工場は上信越道信濃町インターの出口横「道の駅しなの」内にあります。施設内には「ふるさと展望館」もできて、今では町の観光拠点になっています。
本物の味とコクとの追求
平成11年4月から製造・販売をはじめ、現在は低温殺菌牛乳、のむヨーグルト、ふわふわヨーグルト、それから施設内で販売するソフトクリームが作られています。原料となる牛乳は黒姫高原牧場の酪農家の中からもっとも良い乳質(乳成分・衛生状態)のものを採用しています。ヨーグルトづくりは、乳酸菌と仲良くつきあってこそできるもの。完成に至るまでには何度も試作を繰り返して、本物の風味とコクを追及してきました。
信濃町を中心とする黒姫高原一帯の酪農は、生産量は多くないものの、良い乳質を生産する酪農産地としての自負がかねてからありました。牛乳の消費が伸び悩み、乳製品の輸入が増える状況から、「黒姫高原」という牛乳の産地名を広め、生乳のブランド化をすすめたいという思いで、酪農家たちが加工プラントと会社をたちあげたのです。製造・販売する牛乳は、メンバーの酪農家夫婦が集まり、女性の意見から「うまい牛乳」と名前がつけられました。そして、のむヨーグルトなど人気商品も開発され、今では工場で1日に3トンもの生乳が加工されるようになっています。
黒姫高原牧場というブランド
最近では、黒姫高原牧場が原料を供給して、町周辺のメーカーが搾りたての生乳からジェラートアイスを製造したり、バター、ミルクジャム、プリン、ブラマンジェと次々と商品開発も進んでいます。こうした商品には「黒姫高原牧場の牛乳を使用しています」と標記してもらうことで、ブランド化も兼ねた相乗効果もねらっているとのこと。
地域の元気を持続させよう
「酪農家はもちろん、地域が元気になるような取り組みをすすめたい」と北澤部長(前出)は話してくれました。また、町には堆肥センターもできて、そこで作られる堆肥はJAながのが販売し、地域の土づくりに生かす取り組みがスタートしています。酪農家たちの思いが、農と人と環境が大きな輪を描く循環型地域社会づくりにまで発展しているのです。
有限会社黒姫高原農場のウェブサイト
JAタウン「僕らはおいしい応援団」のむヨーグルトのページ