長野県の名水を求めて 木曽川源流の里の巻

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日本全国の名水100選(昭和の名水100選)を環境省が発表してから20年以上が過ぎた今年の6月、再び同省から「平成の名水100選」が発表されました。自然豊かなわれらが長野県では昭和の名水100選で3箇所が、今回の100選では4箇所が選ばれ、計7箇所の環境省認定の名水があります。平成の名水100選で選ばれた信州の4つの名水を巡る不定期連載の2回目として、今回は「木曽川源流の里 水木沢(木祖村)」を訪れました。

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そこは木曽川の源の里
信州木祖村は面積のほとんどを山林がしめる村で、その村民憲章の冒頭にも「わたくしたちの村は、山深い草かげにうまれた雫たちが、大河となって太平洋にそそぐみなもとの里です」と記されています。全長229キロメートルの旅をして太平洋に注ぐ日本有数の河川、木曽川。その源流のひとつが、天然林の広がる木祖村の水木沢地区のことで、「水木沢」は「みずきざわ」と読みます。


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癒しのもたらされる沢のある森
木曽といえば林業の盛んな地域で、雄大な山林のイメージがありますが、今回足を踏み入れてみた木祖村の水木沢にも樹齢200年を超える木曽ヒノキや、サワラ、ネズコ、ブナ、トチノキ、サワグルミ、そして亜高山性のウラモミジ、コメツガなど針・広葉樹が混生する天然林が、周辺82ヘクタールにわたって広がっていて、1日の湧水量8000トンの清らかな沢水のせせらぎの音や頭上で聞こえる鳥のさえずりとともに、訪れる人を癒してくれます。

手つかずの自然を傷つけないように
国道19号線を車で走り、薮原交差点を上高地方面に曲がり、木曽川に沿うように渓谷を10キロほど進むと、およそ20分で水木沢に着きます。入口には案内板があり、そこを左折し林道を5分ほどで水木沢天然林の管理棟にたどり着くことができます。

若干の坂道ではあるものの整備された道は走りやすく、極端に道幅の狭い場所もありません。管理棟前の駐車場に車をとめて、ここからは樹木の根を傷めないようにウッドチップの敷かれた遊歩道を歩いて先に進みます。

meisui_kiso-1.jpgいつかこの水は太平洋に注ぐ
管理棟の奥にトイレがあり、さらにその左の道をまっすぐ行くと水汲場が設けられているので水筒に飲料水として汲むことができます。森の周遊道の入口では到着を待っていたかのように静かに森が佇み、少し歩くと最初の水場があります。長野、岐阜、愛知、三重の4県にわたり、最後は太平洋へと流れ着く雄大な川の源であるとはとても想像できないほどその流れは穏やかでした。そっと手をさし入れ、すくってみると、澄んだ透明の水からひんやりとした冷たい感触が伝わります。

日の光は鬱蒼とした木々にほとんど遮られ、まるで別の世界。そのなかに木曽川の源流とされるせせらぎと静かな時間が流れています。流れる水に手を触れれば、ひんやりとした冷たさに、生き返るような生気を感じることができます。

meisui_kiso-8.jpg地域一体の保全活動
ここ水木沢が今回の平成の名水100選に選ばれた理由は、地域が一体となって保全活動に取り組み続けていることや、景観のすばらしさ、水辺の親しみやすさなどがあげられていました。98%以上が樹齢200年を超えるという水木沢天然林には歩きやすい遊歩道も整備され、太古の森コースと原始の森コースの2つの森歩きが、いずれも所要時間は45分ほどで楽しめます。両方を歩いても1時間40分ほどで歩けました。

涼やかな森林の中を、木々と会話をしつつ、沢水の流れに触れながら、頭を空っぽにして歩くというのは、秋にうってつけの休日の過ごし方かもしれません。周辺には薮原宿など江戸時代の面影を残す街並みや味噌川ダムなどの観光スポットもあって家族でも楽しめます。周辺観光について詳しくは木曽村観光協会のウェブサイトを参考に。

mizukizawa_map.jpg問い合わせ先:

長野県木曽郡木祖村 産業振興課

〒399−6201
長野県木曽郡木祖村
大字薮原1191番地1
電話:0264−36−2001
http://kankou.kisomura.com/

参考サイト:

源流の里信州木祖村ウェブサイト

木祖村観光協会ウェブサイト

平成の名水100選のページ

関連過去記事:

その1 長野県の名水を求めて いざ観音霊水への巻(2008年9月3日)

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