全国菜の花サミット in 信州大町からの報告

nanohana_summit_poster.jpg全国菜の花サミットの第8回目が先日信州の大町市で開催されました。菜の花を象徴として「地域にある資源を地域内で利用する資源循環型の地域づくり」に取り組んできた全国各地の団体やグループが、集められた知恵と力を相互に交換、交流し、その成果を広げていくことを目的にするイベントで、特定非営利活動法人「菜の花プロジェクトネットワーク」が共催しています。北アルプスの残雪と菜の花という、今この時期、ここでしか見られない光景に出会えることに期待を馳せて、大町市へ出掛けました。

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会場前でまず目にしたもの
到着した会場の表には、何台かの車が並べられ、その車の給油口にサラダ油がドボドボと流し込まれています。いや驚きました。もちろんその車は、一般車とは違ってサラダ油でも走るように改造を施されているディーゼル・カーです。ecocar1.jpg隣には、使用済みの天ぷら油を燃料として走るディーゼル・エンジンのエコカー。こうした使用済みの家庭料理用油と菜の花に、さていったいどんな関係があるのかといえば、これが「菜の花プロジェクト」と呼ばれる資源の地域循環の一部に組み込まれているわけです。

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地域自立の資源循環サイクル
菜の花プロジェクトとは、1998年に滋賀県の愛東町からはじまった「地域自立の資源循環サイクル」をめざす取り組みです。その仕組みは図をご覧ください。

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まず休耕田や転作田を活用して菜の花を栽培し、一面に咲いた花を観賞用や観光資源として利用。その後、実をつけたあと、刈り取られた菜の花から油を搾(しぼ)り、その油を今度は食用として家庭や学校給食などで使用する。また油が搾られたあとの油かすは、家畜たちの飼料や肥料にされる。食用として使用された油は、今度は回収され、精製されてディーゼルエンジンの燃料として生まれ変わるわけ。このようにひとつのモノが、地域のなかで一連となり循環されて、無駄無く使い切れるようになっているのです。

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どこまでも続く菜の花畑
今回の目的のひとつ観光資源となる菜の花畑をめざしました。丘陵一体に菜の花がどこまでも果てしなく広がっていました。息をのみました。想像を超えた景色です。実はこの菜の花畑が見られるようになったのも最近のことだとか。

荒廃した農地を復活させようと、地域の人々が数年前に立ちあがり、毎年菜の花の畑を育ててきました。一面の黄色い菜の花が刈り取られた後には、同じ丘陵には菜の花よりも開花の遅い白いソバの花が、楽しめるようになっているのです。

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菜の花プロジェクトは、全国各地の地域でも試行錯誤をしながら取り組みがおこなわれている状態で、今回のこの大町市におけるサミットにも、今後の取り組みの参考のための情報収集や人と人との交流等を求めて全国から500人を超す意識ある人たちが集まっていました。コンサートや出店もあってちょっとしたお祭りです。

菜の花が変化の原動力になるかも
大町市でも、さまざまな法律や行政などの問題も絡みあっていて、思うように進んでいない部分もあるということでしたが、障害はさまざまにあろうと、自分たちの住む環境は、自分たちの力で守り整えていくという、行政に頼りきらない、地域住民が協力して取り組んでいく自立の姿勢が大切ということで、プロジェクトはここまで進んできたそうです。人間一人一人の内側に秘めた力の大きさをあらためて思いました。

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資源の地域内循環システムや環境保護問題などに関心を持つ人たちが、菜の花を媒介にしてたくさん集まり、地域の資源を適正に活用して、自然と人間活動のバランスを再生させて、その結果これまで自分たちには変えられないと思われていたものを変えていく力になるといいですね。

arrow2.gif 菜の花プロジェクトネットワーク

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