海のない信州でなぜ寒天なのか?

2月下旬まで見られる光景
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ご存じですか、実は寒天(カンテン)は、いわゆる「トコロテン」が凍結して脱水したものだということを? トコロテンは天草という海藻から作ります。ではなぜ海のない信州で寒天づくりなんでしょうか?

で、いきなり話は江戸の昔にさかのぼりますが、冬のあるとき薩摩藩の一行が参勤交代で伏見に陣をとった際、美濃屋太郎左衛門という人物がもてなしにトコロテンを出したそうです。その使い残しのトコロテンを屋外に放置したままにしておいたところ、寒さで凍結して干からびていました。それを試しに煮戻して冷ましてみますと、あら不思議、白く透明なゼリーができたことから、寒天が偶然発見されたと言われています。まったく、へえ、ですよね。

寒天の製造方法は、まず原料となる天草などの海藻を洗浄機にかけて土砂や貝がらなどを取り除きます。きれいになった海藻に酸を加え釜で煮沸し、ろ過槽でろ過します。一定のサイズに切りそろえたら、厳寒の屋外で2、3日かけて完全凍結させます。日中の冬の弱い日差しで2週間位かけゆっくりと融解させ乾燥させます。仕上がった寒天は結束されて品質検査をして出荷されます。

寒天は長野県茅野市を中心とした諏訪地域で製造される特産品です。もちろん信州には海がありませんから、天草などは国内国外の海で採集されたものですが、寒天を作るのには高地信州の冬の気候がどうしても必要なのです。この地方は、夜間の気温が?5度??15度にまで下がり、日中は5度から10度で、晴天の日が多く、湿度の少ない内陸的な気象条件。また、八ヶ岳山ろくの豊富で清らかな地下水も、寒天作りには欠かせません。今年は暖冬のため、12月からの製造が1週間くらい遅れました。その分、お正月返上で農家は品質の良い寒天作りに懸命です。2月になると日差しが強くなってくるので、この時期だけが勝負なのです。

寒天の調理方法は、沸騰させて溶かし、固めるとゼリーができますが、最近は毎日のごはんに炊き込んだり、水にもどし、みそ汁やスープ、サラダにちぎって入れるだけで手軽に利用する方法などが紹介されて、話題を呼んでいます。寒天は成分の約9割が食物繊維。ガンやリューマチ、糖尿病などもに効果があることが発表され、健康食品としても注目されています。

 寒天についての詳しい情報やレシピなど、次のホームページでどうぞ。

indexarrow1.gif 信濃寒天農業協同組合

indexarrow1.gif 長野県寒天水産加工業協同組合

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