小布施の栗が他の栗と違う理由が知りたい

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秋の味覚の代表格のひとつが栗。鋭いイガと硬い皮に守られたその身は甘く、ホロリと崩れる食感は、例えようのない幸福を口いっぱいに運んでくれます。きっとみなさんにも栗にまつわる幸せな思い出があることでしょう。スーパーの店頭にも袋詰めが並べられて、今まさに旬を迎えている栗ですが、今回は、全国的にも有名な栗の産地で北信五岳を望み木々が黄色く色づいた「長野県上高井郡小布施町」に、栗の生産者の平松幸明(ひらまつこうめい)さんを訪ね、お話をうかがいました。

日本には日本の栗がある
栗は「ブナ科クリ属」の木で、みなさんが食している部分は「種子」にあたります。世界的に見ると原産地はアジアからヨーロッパ、北アメリカなど広く分布しています。日本列島でも1万年近く前から管理栽培されていたことがわかっています。わたしたちの国で現在栽培されているニホングリは、野生のシバグリを品種改良したものだそうで、野生のものに比べ実が大きく育ちます。

前述したように栗は種子を食べるナッツ類ですが、アーモンドなどほかのナッツ類に比べると、脂質がほとんどないのが特徴のひとつです。栗はあまり栄養価や健康面を考えて食べるというイメージがない方もいるかもしれませんが、ビタミンB1やC、繊維質、カルシウムや亜鉛などを多く含みます。また、でんぷんが守るため加熱してもほとんどビタミンCが失われないという特徴があります。ビタミン、ミネラルを豊富に含んだ健康的な食材である栗は、まさに子どもの(大人も?)おやつにも最適の一品といえるでしょう。

kuri-6.jpg16回目の栗の収穫
今回は栗を生産している平松農場の平松幸明さん(写真)を小布施町に訪ねました。平松農場では栗だけで3.5ヘクタールを栽培しています。

平松さんご自身は23歳のときからこれまで16年間、栗の栽培に取り組んでいるそうです。今年は生育が例年より4〜5日遅れているそうですが、出来は良く、おおむね10トン前後の収量を見込んでいるそうです。

栗だけで9品種を育てており、主力品種は「銀寄(ぎんよせ)」という種類。現在の大阪府豊能郡能勢町の原産で、150年以上の歴史を持ち、小布施町でも広く栽培されているものだそうです。数ある品種の中でも実が一番おいしく栗の王様といわれるこの「銀寄」。購入した方からの評価もとてもよいのだと平松さんは話してくれました。

ただ、銀寄は年によってガクンと収量が落ちるときがあり、昨年は平年の4割程度しか収穫ができなかったのだとか。その分、今年は順調に育ち、平年どおりの収量が期待できます。

kuri-2.jpg栗はなぜクリというの?
リンゴやブドウなど樹上で収穫する果実と違い、栗は実(イガ)が落ちてからが収穫のはじまりです。実はなぜ栗を日本では「くり」というのかというと、この落ちた実が石のようであることから、「小石」を意味する古語の「くり」とつけられたといわれたり、「くりはその実が黒いことから」名づけられたといわれたりします。漢字の「栗」は、中国からきたもので「西の木」「西域の木」を意味します。

マスターに聞いたクリの選び方
さあそこで地面に落ちたイガを開いて栗を取り出すのです。平年で9月上旬、早い年では8月の下旬には、早生種のイガが開きはじめます。今はまさに出荷の最盛期で、ご自宅に併設され選果場も大忙しでフル回転していました。

kuri-5.jpg収穫は10月の下旬頃まで続き、「岸根(がんね)」という晩生種で終わりを迎えます。

平松さんは「小布施の土壌が栗の栽培にはとても適しており、土地からの恩恵を相当受けて栗を育てています」と土地への感謝も口にしました。そうした平松さんに聞いた良い栗の見分け方とは「皮にツヤがあり、底の部分がややしっとりした感じのものを選ぶ」とのこと。栗選びの参考にしてみてください。

hiramatsu_logo.gif平松農場へのお誘い
平松農場の栗は、地元の菓子店や市場に出荷されるほか、農場のウェブサイトでネットショッピングにも対応しています。ここまで読まれてどうしても「平松農場の栗が食べたい!」という方は、平松農場のウェブサイトへどうぞ。また、平松農場では、農場見学も受け入れています。観光農園ではないので自由に栗拾いは出来ませんが、忙しい時期でなければ見学に応じていただけるとのこと。興味のある方は問い合わせてみてください。農場のウェブサイトでは栗料理も豊富に紹介されています。

arrow2.gif 平松農場のホームページ

arrow2.gif小布施の観光情報なら「いい小布施ドットコム」

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