畑と食卓の間、農村と都市の間の距離を縮めるための試みが、今年もさまざまに各JAでおこなわれています。街で生活していながらこころのどこかで脱都会を求めている人たちのための、自分は街に暮らす人間ではないのではないかと感じている人のための、信州におけるイベントをふたつ紹介します。
みどりの風プロジェクト
農業青年と都市在住の女性の出会いの場をつくろうと、北アルプスの麓にあるJA松本ハイランド青年部は、部員と女性が毎月1回、松本市内の観光や田植えなどの農作業体験を通じて交流を深める「みどりの風プロジェクト」を実施しています。第1回はナガイモ堀りやそば打ちが、第2回は小雨のふる中、手植えの田植え(写真)や青年部員の圃場(ほじょう)を利用したマイガーデン(1人16.5平方メートル)への種まきが行われました。毎回、参加者は青年部員の指導を受けながら、育てる楽しさや収穫する喜びを味わっています。
昨年、単発の交流イベントとして初めて開いた「都市と農村を結ぶふれあい交流事業・みどりの風ツアー」が好評だったため、今年は1年間を通じて交流を深めようと、同プロジェクトを立ちあげたもの。交通費や宿泊費はほぼ実費にもかかわらず、全国から定員を上回る応募があり、関東地方を中心に、大阪府や愛知県などに住む20〜30代の独身女性32人と、20〜40代の青年部員28人でスタートしました。事務局は、農業に関心のある女性はいるとは思っていたが、予想以上の反響と驚いています。活動の様子はみどりの風プロジェクトのブログでも見ることができます。
そしてきたる8月26日と27日の両日、これまで事情があって参加できなかった女性の皆さんも参加できちゃう「みどりの風プロジェクト」大会(仮称)を開催することになりました。一泊二日で、スイカやリンゴ(つがる)の収穫体験ができますし、夜は立食パーティで交流を深めることになっています。農業に関心のある女性の皆さん、信州松本のすばらしい自然を全身で感じてください。そして、新しい出会いに心を躍らせてみるのはいかがでしょうか。
大空で深呼吸「百姓塾」
長野県飯山市のJA北信州みゆきと、飯山市ふるさと回帰支援センターでは、「農業に興味があるけどよくわからない」という人たちのために、農的田舎暮らしを支援しようと11月まで毎月「百姓塾」を開講しています。
田畑を耕し、植え付け・管理・収穫をして農業の楽しさや大変さ・喜びを実感。農業や田舎生活について話を聞いたり、参加者同士のふれあいも楽しめます。5月下旬にはその第1回目「百姓塾」が飯山市外様の圃場(ほじょう)で開かれ、首都圏から塾生2人が参加し、野菜の植え付けや田植えを行いました。塾生はふだん使うことのない農機具に戸惑いながら畝を作りネギやジャガイモ、トウモロコシ、大豆など8品目を植えつけました。この百姓塾は単発的な体験企画ではなく、農的田舎暮らしを希望する都市住民に年数回の実践を通して農業の知識を身につけてもらうことを目的にしています。
JA職員が種まき・苗の植付け方から草刈や追肥などの管理、収穫まで教えてくれるのです。今後は11月まで月1回講座を開く予定です。塾生で11月まで講習を受ける神奈川県からの参加者は、「本格的な農業は初体験。作物の収穫が待ち遠しい。1、2回は妻も連れてきたい」と胸をふくらませました。なお、月ごとの塾生も募集してるそうです。6月は17日と18日に里芋の植え付けと、畦草刈りなどの実習が行われる予定だとか。
長野県飯山市 農的田舎暮らし 百姓塾 11月までの毎月の講座の詳細