県西部に位置する長野市信州新町信級(のぶしな)は、長野インターから車でおよそ1時間。市営バスしか通っていない、山の上にある人口約140人の集落に、地元産の山菜や野菜を中心とした料理を提供する「食堂かたつむり」があります。
村の特産品があって、誰もが寄り合える場に
お昼時、地元の方を中心ににぎわっていました
お店も自動販売機もない信級に、村に暮らす人はもちろん、村を訪れる人、大人から子どもまで、誰もが寄り合える場所をつくりたいと、農協前の元精米所を改装して昨年(2016年)6月にオープンしました。土壁と立派な梁が見える高い天井からは、精米所の面影がうかがえます。
できることはスタッフ自身で手作りしたというお店に、歴史と温かさを感じます。信級特産の炭を使った炭盆栽や信級産のエゴマ油・玄米珈琲なども販売されていました。
昼は定食屋、夜はバル
信級定食(600円・税別)
おすすめのメニューは、主菜と具だくさんの汁、ご飯、季節のおかず3品がつく「信級定食」、その他にも信級産わさびを使用した「わさび丼セット」「そばの薄焼き」があります。取材日の信級定食は、竹の子の春巻きがメインで、ミズという山菜のクルミ和えや人参しりしり、竹の子の煮物といった季節のお料理をいただきました。金曜日の夜はバルとして営業しており、生ビールも提供しています。村の人は、帰りの足を心配しなくても安心してお酒を楽しめます。
わさび丼セット(500円・税別)
そばの薄焼き(300円・税別)
「真っ暗な場所は貴重だよ」
寺島純子さん
信級出身で出版会社代表の寺島純子さんは、まだ「限界集落」という言葉もなかった頃、高齢化・人口減少が進んで、あと10年20年で信級がなくなってしまうのは悲しいと、信級で暮らす全世帯の写真を掲載した「写真集のぶしな」を制作。また、地域おこし事業に取り組む団体「のぶしなカンパニー」を設立し、「食堂かたつむり」のほか、特産物の販売などを行っています。
「食堂かたつむり」の由来は某作品ではなく、寺島さんの会社があるビルには螺旋階段があり、1階にある本屋が「まいまい堂」という名前だったこと。かたつむりのようにのんびりやっていこう、と決めたそうです。
同地区にある旧信級小学校
山が好きで、信州らしさを満喫しているという寺島さんは「信級の不便なところがいい。何のお店もなく、真っ暗な場所は貴重だよ」といいます。近年は、その魅力が見直され、都会からの移住者も増えているんだそうです。
- 長野県長野市信州新町大字信級字中村5554-1
- TEL 026-219-2470
- 営業時間 火~土曜 11:30~17:00
- (金曜日は食堂営業終了後にバルオープン)
- 定休日 月・日曜