今週の記事でご紹介した、長野市信州新町信級「食堂かたつむり」に行く際に、貴重な遺産がありましたので2つご紹介します。
【麻煮の釜屋】
この建物は麻を煮た釜屋で、昭和10年代の築造です。信級村は有数の麻産地で、昭和40年代まで栽培が行われた最後の産地でもありました。麻は農家の大事な換金作物でした。
八十八夜までに麻種子を播き、3メートルほどに成長した茎を8月上旬に麻抜ぎをして葉を落とし、カラカラに干し、冬になってから釜屋の鉄砲釜で煮ます。煮た麻は雪にさらしてから水に浸し、男衆が麻剥ぎを、女衆が家の「麻掻き場」で夜遅くまで表皮を掻き落とす作業をして、精麻に仕上げました。
釜屋の桶の高さは1.8メートル、直径90センチで、桶中の鉄の筒の中で火を燃やすので鉄砲釜といい、野州釜ともいいました。かつて信級では、麻釜はどこの集落にもあり、水場のそばに作られていたそうです。
麻煮の釜を上から見た様子
下から見た様子
【琵琶滝如来】
岩山に直に刻まれた仏像は、通称「琵琶滝如来」と呼ばれています。太平洋戦争で戦没された一切の人々の供養のため、戦没者御魂が阿弥陀浄土に往生することを願って5年間かけてつくられました。琵琶滝如来の近くには、名前の由来にもなった琵琶滝があります。
自然いっぱいの集落や遺産に触れて、タイムスリップしたような時間が過ごせました。(ピーチ)
参考:現地看板より