古来より日本人が愛し、守り続けてきた「桜」。
お花見だけでなく、香り・味・鑑賞など、桜には様々な「たしなみ方」が存在しますが、料理に添え、お酒にそっと浮かべるだけで「はかなさ」を演出できるのもまた魅力。
そんな春の象徴ともいえる桜が、ここ信州にも遂に上陸! 本格的な春の訪れを知らせに来てくれました。
県下一早く桜が開花!
信州の南国 天龍村へ
今回訪れたのは長野県の最南部に位置する天龍村。
長野県から愛知県、静岡県を経て太平洋へ注ぐ、天竜川水系の本流である一級河川「天竜川」が流れており、愛知・静岡両県に隣接しています。県下で最も温暖な地帯であるこの村には、毎年、県内一早く桜前線が到達します。
今年も県下で最も早く桜が開花しました。
意外と知らない桜のあれこれ
3000年以上前から存在していたとも言われている、歴史と伝統のある「桜」の花ですが、この名前はいつ頃付けられたのでしょうか。
あくまで諸説ではありますが2つの説をご紹介します。
(1) 「このはなさくやひめ」説
日本最古の書物である『古事記』から来ている説です。
この本の中で、木花開耶姫(このはなさくやひめ)という女神が、富士山の上空へ飛び、そこから種をまいて花を咲かせたというエピソードがあります。
「さくや」が花を咲かせたことから、転じてサクラとなったという説です。
(2) 穀物との関係説
春になると「さ」(穀物の霊)が「くら」(神様が鎮座する場所)へやってくると言われています。
サクラの咲く時期が、農作業のタイミングを表していたこともあり、サクラとなったという説です。
色とりどりの桜を愛でる
桜は、野生種、自生種だけでも100種類以上存在すると言われています。今回取材した天龍村では、代表的な3種類の桜が咲いていたのでご紹介します。
ソメイヨシノ
花言葉「優れた美人」「純潔」
桜の代表的な品種。
花の色は淡い紅色を帯びますが、咲き進むと白くなります。
カンザクラ
花言葉「気まぐれ」
早咲きの桜で桃色の小花を咲かせます。
カワヅザクラ
花言葉「想いを託します」
カンザクラと似ていますが、濃いピンク色の花びらが特徴です。
アップだと分かりづらいですが、
遠くからだと色の違いが分かりやすくなります。
今週末に見られる満開の桜は?
気象庁では、各地で特定の株を標本木と定めて、職員の目視による観測を行います。標本木の蕾が5輪から6輪ほころびると、開花したと発表され、標本木全体の80%以上のつぼみが開くと「満開」と発表されます。
二分咲き〜三分咲きの様子
天龍村役場の観光担当者によると、今年、長野県で最も早かった開花が「カンザクラ」の3月17日。桜の代表的存在である「ソメイヨシノ」は3月28日に開花しました。これは例年に比べると大きく変化はないものの、遅めの開花だったそうです。
現在の天龍村の桜は、カンザクラこそ散り始めていますが、ソメイヨシノは二分咲き〜三分咲き。今週末には満開になるのではと予想しています。
満開時の様子
さあ、会いに出かけよう!
信州の彩り豊かな花たちに
桜は満開から1週間程度で散り始めると言われています。「もう散ったの?」と気付けば桜を見逃してしまった経験はありませんか?
南北に広がるここ長野県では、南から北へ桜前線が進み、およそ1カ月もの間、県下各地で桜が咲き誇ります。
信州の桜は、いよいよこれからが見頃です。
高遠の桜を始め、自然豊かな信州には様々な桜の名所が存在します。さらに、杏や花桃、菜の花、水芭蕉......と、多種多彩な花たちが爛漫と春から初夏の信州を彩ります。心地よい春風に誘われて、百花繚乱の艶やかな景色を巡る旅に、ぜひいらしてみて下さい。