ダチョウを追いかけて伊那市まで行く

ダチョウ-1.jpgダチョウさんたちです。英語では「オーストリッチ」といいます。その革や羽はさまざまな加工品に利用されてきましたが、皆さんは"ダチョウの肉"を食べたことがありますか? ダチョウの肉は低脂肪・低カロリーで、とてもヘルシーなのです。今回は10年ほど前からダチョウの生産振興に取り組んでいる伊那市を訪ねてきました。あなたの知らないダチョウの世界をお伝えします。

ダチョウ料理を提供している羽広荘の情報や、その肉と加工製品まで販売するAコープ上伊那中央店の情報、また、ダチョウの飼養管理技術を研究している信州大学農学部(南箕輪村)の唐澤豊学部長にも色々とお伺いしてきました。

ダチョウ学事始め
1996年11月、雌雄各2羽のダチョウがアメリカから信州大学農学部(以下、信大)にやってきました。そもそも信大がダチョウの研究に取り組みはじめた主な理由を唐澤学部長は次のように話してくれました。

「第1に日本の食料自給率を引きあげたいという目的があります。自給率引きさげの原因のひとつに、畜産の飼料穀物を輸入に頼っている点が挙げられますが、草を食べて育つダチョウが広く生産・流通されることで自給率の向上が期待されます。ふたつ目に遊休農地の解消という目的があります。ダチョウが広く普及することで、餌となる牧草を育てる農地の増加が期待できます。みっつ目は健康的な食材を提供するという目的です。日本人の食生活の欧米化に伴う生活習慣病の増加は深刻な問題となっています。ダチョウの肉は鶏肉よりも脂肪が少なく、低カロリー・低コレステロールです。一方、高タンパクで、鉄分などミネラル類も豊富に含んでおり、健康的な肉といえます」

現在、信大での研究は受精率・孵化率・育成率の向上を目的に進めており、特に育成率の向上に力を入れているそうです。「どういった栄養素を必要としており、どうすれば効率的に病気にかからず育てることができるかが課題となります」と唐澤学部長。ダチョウは年間平均40個ほど卵を産みますが、そのうち2割が無事に成長すれば御の字といったところなんだそうです。

 

みんなダチョウに興味津々
現在、日本全国で9000〜1万羽のダチョウが飼われているそうです。一般的に飼われているのはアフリカンブラックという種で、人工的に作られた種です。ダチョウは1年間で成鳥となり、体重1キロ未満のヒナが1年で100キロほどになります。関係者のダチョウに対する関心は高く、ちなみに1997年に信大で開かれた日本家禽学会のシンポジウムでダチョウが取り上げられ、会場に入りきらないほどの参加者が全国から集まったそうです。

伊那に行ってダチョウを食す
1996年から伊那市と信大、JA上伊那などが連携してダチョウを伊那市の新名物として育て上げて来ました。ダチョウ導入当時、地元の調理師会らがダチョウ肉の研究会をつくり、どのような調理法がダチョウ肉に合うのか試作を繰り返したそうです。現在、伊那市内の複数の店舗でダチョウ肉を食べることができます。

今回、お邪魔した羽広荘は伊那市の農業公園「みはらしファーム」の一角にあります。こちらではダチョウのステーキ、カツ、たたき、から揚げを食べることができます。

価格はいずれも単品1000円、定食は1500円。お店の方の話では、遠くからわざわざこのダチョウ肉を目当てに足を運ぶ方もいるとか。また、さっぱりした味とヘルシーさから女性客の来店も多いそうです。人気が高いのは、たたき、ステーキといった肉本来の味が楽しめるもの。また、ダチョウの卵の目玉焼きも提供しています。但しこちらは予約が必要で、金額も要相談ということです。冬場は卵自体の流通量が少ないので手に入らない場合もあるのです。ダチョウ料理が食べられるお昼の営業時間は、午前11時30分から午後2時までです。

ダチョウ肉や皮革製品を販売する伊那市内のお店

ダチョウ3?1.jpg  (有)伊那オーストリッチファーム
   ダチョウ肉の販売をする直売所
  住所:伊那市中ノ原8228−107
  電話:0265−74−8382

  みはらしファーム内農産物直売所
  とれたて市場

   ダチョウ肉のピリ辛煮(100グラム800円)とそぼろ煮(100グラム550円)を販売。また、皮革製品として草履(4万5千円)や財布各種(1万4千円〜1万9千円程度)も販売しています。

  住所:伊那市西箕輪はびろ はびろ農業公園「みはらしファーム」内
  電話:0265−74−1805
  営業時間 3月〜10月:AM9時〜PM6時
       11月〜2月:AM9時〜PM5時

  Aコープ伊那中央店
   ダチョウの肉に加え、キーケース(3000円〜)、キーホルダー(2500円〜)、名刺入れ(7000円〜)、財布各種(5千円〜)のほか、バッグ類やベルトなど多種多様な皮革製品も販売。ちなみに、上伊那産オーストリッチの皮革製品は「I?NARICH(イ?ナリッチ)」のブランド名で販売されています。柔らかくしなやかなダチョウの皮は、牛革の3?5倍の丈夫さで、最高級の革製品となる人気の素材なんですよ。

伊那市へダチョウと出会う旅
あなたの知らないダチョウの世界はいかがでしたか? とってもヘルシーでおいしいダチョウの肉と、丈夫で美しいダチョウの皮革製品。是非一度、伊那市を訪ねてあなたの舌と目で確かめてみてください!

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