春の便りを探しにハウスイチゴ園を訪ねると

strawberry_big.jpg寒さ厳しい折、厳冬の信州から、今日は暖かな春を思わせる情報をお届けしましょう。この1月1日から県内各地のハウスイチゴ園がオープンし、イチゴ狩りがスタートしました! 厳冬の季節に暖かいハウスの中で赤く色づいた小さく甘い実を、ほおばって食べる幸せ。一度でもイチゴ狩りを体験したことのある方なら、その多幸感をすぐに思い出せることでしょう。

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諏訪湖いちご園へ幸福を求めて
今回は諏訪市豊田にある諏訪湖いちご園に幸福の裏にあるものを取材すべくお邪魔しました。諏訪湖いちご園は今年で営業10年目を迎え、ハウス5棟で、今年も1月1日からイチゴ狩りを開始しました。先日午前10時の開園前に訪れ、いそがしい合間を縫ってスタッフの小泉明生(こいずみ あきお)さん(上写真)にお話をうかがうことができました。

イチゴ園は真冬からいそがしい

 今年も1日からオープンしましたが、お正月のにぎわいはいかがでしたか?
 曜日の巡り合わせでお休みの短い人も多かったと思いますが、3カ日で平年とほぼ同じ1000人ほどのお客さまにお越しいただきました。

 1000人と聞くとずいぶんと多く感じますが、お正月がシーズン一番のピークなのですか?
 いえ、ピークは春休みにあたる3月頃ですね。特に3月の連休時には一日で500〜600人ほどの方にお越しいただくこともあります。

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 一日600人とはすごいですね。地元の方が中心なのでしょうか?
 地元の方が多いですが、以前に比べると県外の方も増えてきました。(大河ドラマの)「風林火山」を放送していたときは高島城を訪れるツアー客の方にもたくさんお越しいただきました。

 今年は御柱祭もあるので期待できるのではないですか?
 実は、7年前の御柱祭のときはほとんど影響がなかったです。ただ、その後、いちご園のPRを積極的に行ってきましたのでたしかに今年は期待したいですね。

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 さて、イチゴ狩りの期間は6月までですよね。いつも疑問に思うのですが、7月から12月までハウスの中ではどのようなことが行われているのですか?
 ハウスを閉めたあとは、残っているイチゴをすべて収穫し、ジャムなど加工用に使います。その後、ハウス内のイチゴの苗はすべて刈り取ってしまいます。翌年に向けて苗を入れ替えるためです。新しい苗は別の場所にある育苗用のハウスで育てていまして、昨年から自前で苗をつくるようになりました。

 自前で苗を作るとはどのように?
 寒い今頃にはあまりないのですが、暑くなってくるとランナーというツルが出てきます。これはその苗の分身みたいなもので、このランナーを切って「ロックウール」と呼ばれる5センチ四方のサイコロ状の石綿に挿していきます。これを育苗ハウスで育てて翌年用の苗にするのです。7〜8月頃に育苗用ハウスで育て、9月頃にイチゴ狩り用のハウスに移します。

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 育苗ハウスで苗を育てている間、こちらのハウスではどのような作業を行うのでしょう?
 8月にハウスを閉め切って消毒をします。消毒といっても科学的な薬品を使うのではなく、閉め切ることによってハウス内の温度を高め、蒸すことで高温殺菌するのです。「ベット」と呼ばれる「ロックウール」製の棚を殺菌します。その後、先ほど話した育苗用の苗を9月頃に移し、サイコロ上の「ロックウール」ごと「ベット」に固定してマルチフィルムで覆います。11月頃に花をつけるので、そこでミツバチを入れ受粉させます。11月の終わり頃に赤い実がぽつぽつ出てきますので、12月中はJAへ出荷したりケーキ用に洋菓子店に卸したりします。

 ミツバチといえば、昨年は全国的にミツバチ不足が深刻な話題となりましたが影響はありましたか?
 うちは地元の養蜂家と長いつき合いがあったので必要最低限の数は確保できました。もちろん「大量に」というわけにはいきませんでしたけどね。

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 こちらのイチゴ園で食べられる品種はどのようなものですか?
 メインは「章姫(あきひめ)」と「さちのか」です。「章姫」は酸味が少なく甘いのでどんな方にも気に入っていただけるのではないかと思います。病気に強く収穫量が多いのも特徴ですね。「さちのか」は甘味、酸味ともに強くビタミンCが豊富です。酸味はありますが糖度も十分高いのでおいしく召しあがっていただけると思います。ちなみに冬場の寒い時期はイチゴの成長が遅くゆっくりと味がのるので実も大きくおいしいイチゴに仕上がるんですよ。

 諏訪という地域の特性はイチゴの成長と関係がありますか?
 この辺りは冬場の日照時間が長く、また寒暖差の大きな地域です。昼間しっかりと太陽に当たることで色づきが良くなり、夜の冷え込みと昼間の暖かさの差がイチゴの味を良くしてくれます。

そろそろいちご園の開園時刻が迫ってきました。インタビューも終了です。ハウス内を見回せばスタッフの方がイチゴを入念にチェックし、傷んだイチゴなどを取り除いています。早々にハウスを出ると、冷たい外気が頬に張りつくようです。暖かいハウスに後ろ髪を引かれながら足早に車へと向かいました。ここ諏訪湖いちご園は6月まで原則無休で営業しています。イチゴの生育状況などによって予約がないと入園できない場合もあります。イチゴ狩りの体験を希望される場合は、お電話でご予約を入れるのが確実です。

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諏訪湖いちご園へのアクセス:

諏訪湖いちご園
長野県諏訪市豊田3033番地
電話:0266−53−5533
FAX:0266−53−5683
営業時間1月〜6月 午前10時〜午後3時
定休日 開園期間中は原則無休
諏訪湖いちご園マップ
諏訪湖いちご園ウェブサイト(JA信州諏訪ウェブサイト内)

諏訪湖いちご園データ

期間 小学生以上 小学生未満
 1/1〜3/31  1500円  1000円
 4/1〜5/10  1200円  1000円
 5/11〜5/31  1000円  800円
 6/1〜6/30  700円  700円

*3歳未満の入園は無料です。
*イチゴは30分食べ放題。お持ち帰りはできません。
*6月は、もぎ取りのお持ち帰りが可能です(1kg1000円)

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