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この雪上のスポーツを世界に広めていきたい

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降雪量の少なかった今シーズンではありますが、県北部のスキー場ではウインタースポーツであるスキーやスノーボードがまだ楽しめます。人々が斜面を滑走していくその途中に、なんともラフな格好をした若者たちが歓声をあげて盛りあがっている一角があるではありませんか。

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なにごとやあらんと近づいてみれば、雪で覆われた平らなゲレンデの上に、ネットの張られたコートが3面あり、彼らはそこでバレーボールに興じていたのです。雪の上で、バレーボール!

聞けばこのようにして雪上で行うバレーボールを「スノーバレーボール」と呼ぶそうです。きっとはじめて耳にする名前でしょう。しかし何年後かには、冬に楽しむスポーツのひとつとして定着し、一般的になっているかもしれません。だからこの機会に、長野発のそのスノーバレーボールの話題をお伝えしておきましょう。

長野県で誕生した新しい雪上のスポーツ
togarikun.jpg発祥地は、県内でも北に位置する飯山市の戸狩温泉。この戸狩温泉のスキー場で、3月14日、15日の両日、戸狩観光協会の主催でスノーバレーボール大会の第5回『戸狩りんご豚カップ』が開催されました。(ちなみに、「りんご豚」というなんともユニークな名称は、この大会が開催された当初、地元戸狩で誕生した名物の「りんご豚まん」を大勢の人に知ってもらいたいとして冠に付けたもの)

この地域で身近にある雪を生かして、その雪の上で、国民の代表的なスポーツであるバレーボールの試合を行うというこのアイデア、どうです? 雪国の人は、実にさまざまな方法で雪と遊んでいるのです。「雪で足をとられて、思うようにプレーが出来ないんだけど、それがまた面白い」とみな口々に言います。競技に参加した人はスノーバレーのそんなところに魅力を感じているようで、悔しがったり喜んだりと、コートの周辺は賑やかな笑いに包まれています。skiski.jpg事実、気温が高くなってきている3月は、ゲレンデの雪もだいぶ溶けて水分を含んで重くなり、思い通りの足裁きが出来ないという状態にはなりますが、これがかえって技量の差を少なくし、プレーをみんなで楽しめるようになっているのでした。

また、楽しめるのは、参加者ばかりではありません。観客も大喜びです。というのもこの大会に参加するプレーヤーたちは、秋葉原の名物(?)であるメイドカフェや、この時期の卒業式スタイル、そしてチアガールに着ぐるみスタイル、また女装もありなど、プレーヤーはみな思い思いのコスチュームを身につけた格好で、そのうえでゴム長靴を履き、雪の上を走りまわり、ジャンプにレシーブを繰り広げているのです。周りにいるスキーヤーたちはスキーウェアを着込んでいるというのに・・・

年を追うごとに大きくなる輪
10代からの参加者を加え20〜30代を中心としたこのスノーバレーの輪は、今やインターネットや口コミで広がり、参加者は年々数を増やして盛りあがりを見せています。今年の参加者は約70名で12チームが参加。地元・飯山をはじめ、県内の中・南信地区、そして県外の東京や大阪、名古屋などからも選手が集まりました。このスノーバレーを楽しみに、すでに何回も参加しているという人もいます。

スノーバレーボールをオリンピック競技に
このスノーバレーボール大会の立ち上げに尽力したのが、大会の運営委員長である石田京子さん(現姓 野口)でした[写真]。かつて日立製作所のバレーボール・チームに所属し、1984年のロス五輪代表メダリストのひとりとなり、翌年にはバレーボールのワールドカップ全日本の主将を務めるなど、日本のバレーボール界では重鎮だった女性ですが、その石田さんがこの長野県の戸狩に嫁ぎ、民宿を営みながら、年々スキー人口が減少しさみしくなっているゲレンデの状況を見るにつけ、「この状況をなんとかしたい、いや、しなければ!」と思いついたのが、石田さんが人生と共に歩んできた“バレーボール”でした。当時ビーチバレーがオリンピック種目となっていたのをヒントに、浜辺と雪上で行うバレーの共通点が多いのに気づいてスノーバレーの開催に向けて立ちあがったのですが、国内でスノーバレーボールの開催は9箇所ほど。そのどこもまだイベントとしての開催に留まっており、またルールもまちまち。

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3年の構想を経て、今年で5回目の大会を開催し、ここまで来るのに8年を要したというスノーバレーボール。しかし「地元住民の協力抜きにはこの大会はここまでたどり着けなかった」と石田さん。今後の課題は「参加者を多くして規模を拡大すること」と言いますが、「地元の資源を生かしたそのスポーツを、身近なスポーツとして地元の人が愛し、そのスポーツの面白さを戸狩から全国に発信していくためにも、地元の学校等を中心に普及を呼びかけたい」と考えています。

バレーボールも、起源を辿れば、屋外でのスポーツ。そして今でこそオリンピック種目であるビーチバレーも、数十年前までは海岸での遊びだったといいます。「大勢の人に認知され、愛されるスポーツとなるにはまだまだ時間がかかると思うけれど、スノーバレーをオリンピックの種目にすることが目標!」と、彼女は爽やかに夢を語ってくれました。これからも石田さんは、スノーバレーボールの普及と着実な浸透に向けて県内外を飛び回る予定です。

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