自然豊かな飯山をとことん楽しむ農家民宿

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新潟県との県境にある飯山市に元気な若者がいるとの噂を聞いて、訪ねてきました。野口豪さん(27)は、飯山市で農業と民宿「城山荘」の経営をしています。この民宿は、豪さんの祖父が生まれた家です。
東京生まれ東京育ちの豪さんは、堆肥づくりが学びたくて農業を始めたそうです。最初は神奈川県三浦市の有機農家・石渡稔さんに師事し、その後、千葉の農業法人に就職して、2年前に独立。飯山で米と野菜の栽培を始めました。

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横に長いつくりが特徴の「城山荘」

「ここなら大丈夫」自然豊かな飯山へ
飯山といえば県内でも有数の豪雪地域、冬はスキーヤーなどで賑わいます。城山荘は、スキー場のすぐふもとにありました。「自然がいっぱいでいいところ。ここなら、民宿もやっていけそうだ」と移住を決心したそうです。

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いろいろな野菜の苗を育てて、畑の準備をしています

「60種類の野菜と米を栽培しています」と話す豪さんに、驚きました。品目ごとに作業時期や内容が異なるので、60種類もの野菜を栽培するのは大変なことです。 グリーンシーズンといわれる4月末〜冬前までの期間は、寝る暇もないほどの忙しさだったそうです。"おいしい"発見もありました。雪解けまで養分を蓄えた土壌で最初にとれるアスパラは、収穫直後に生でかじると、とーっても甘いんだそうです。

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アスパラを収穫する野口さん

農家は小さな総合商社
神奈川や千葉で農業を学んできた豪さんにとっては、飯山の土地ならではの苦労もあったそうです。たとえば、春の農作業を始める前には、まず機械で雪を飛ばす作業から始めなければなりません。また、山の雑草は生命力が強く「クズ」というつる状植物の根は、重機で掘り起こさないとなくならないほど強いんだとか。

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獲れたてのアスパラは、その日のうちに発送します

夏には食べきれないほどの野菜があるので、無駄にしないために菓子製造所を設置し、奥さんの樹里さんがお菓子作りをしています。雪に覆われる約半年は農業が出来ないので、民宿やお菓子づくりなど、様々な取り組みを行っています。「農家は、小型総合商社なんです」と樹里さんは言います。

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「おいしく食べてほしいから、食べ方を書いたお礼カードも
野菜と一緒に送ります」と樹里さん

自然とともに、自分らしく
コンビニも近くにはないし、スーパーへ行くにも車を走らせなければ行けないこの地域に、「普段会えない人が、会いにきてくれるんです」と話す樹里さん。今年の7月でオープン1周年を迎える城山荘は、ホームページ以外で広告などは一切出していないそうですが、たくさんの人が集まったそうです。「子どもに大自然を味わってほしい」という野口さん夫妻は、宿泊客の希望の方に農業体験や水源ツアーを行っています。訪れた子どものなかには、「ディズニーランドよりも楽しい!」という子もいたんだとか。

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野口さんの田んぼ

「農業をやりたい人はうちに来て。出来る可能性を見れるかも」と語る豪さんのもとには、取材に伺った日も2人の研修生がいました。豪さんの大学の後輩である昌(しょう)さんは「自然のなかで土に触れるのが楽しい。都会育ちだけれど、こっちの方が自分に合っている」と、ゆくゆくは独立を考えているそうです。自然と一緒に自分らしく生きようとする若者たちの姿は、山の植物の生命力よりも強く輝いていました。

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右から、城山荘の野口豪さん、研修生の昌さん、陵馬さん

◇関連リンク
農園 城山荘ボナペティファーム
農家民宿 城山荘(じょうやまそう)

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築150年の母屋を中心に3棟が連なる城山荘

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