片桐さんの農事録
[片桐さんの農事録]

みなみ信州発☆羊と暮らすゆきさんの農事録 第8回

ゆきさん農事録

 

こんにちは!^^*
暑い毎日が続いていますが、皆さんいかがお過ごしですか?
今回のブログはメルマガ500号記念回の更新だそうで、たまたま話題も豊富だったので私も張り切ってしまいました^^ 相変わらず長くて写真も多いのですが、珍しい話題だと思うのでぜひ、読んでみてください♪

早速ですが上の写真。
大人5人が牛もーに寄ってたかって何をしていると思いますか?

 

牛にまつわるエトセトラ

ゆきさん農事録

 

正解は、牛もーの爪切りです!
ゴム製の牛床で生活をする牛もーは、歩き回ってすり減ることがないため、爪が伸びてきます。そこで、定期的に(我が家では7~8ヶ月間隔)削蹄師さんに爪を切って貰うのです。
きっと、殆どの方が知らないんじゃないかな~と思うのですが、ご存じでしたか?^^

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写真は、右前足です。
牛もーは前足は外爪に、後ろ足は内爪に力がかかっているそうで、力のかかっていない方の爪は、次第に内側に巻いてきてしまいます。そこで、まずその巻いている爪を切り取って、その後キレイに削って形を整えるそうです。この写真は右前足なので、内側の爪を剥ぐように先に取って、その後で左右のバランスを整えているのがわかります。
爪を切る前と後では、全然違いますよね! 

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前足の時は抱える人と切る人で二人体制でしたが、後ろ足の時はこんな風に抱えて素早く切ってくださいます。聞いた所、一頭あたり10分未満。大人しかったり神経質で暴れたりがあるので、牛もー次第ではあるそうなのですが、出来るだけ負担をかけないように早く作業をするそうです。
写真の様な油圧式削蹄枠もありますが、一頭一頭出し入れすること自体が手間になるので、そのままの位置で保定して作業をして下さる分、畜主のヘルプも必要なく、全体的な作業時間の短縮になっているのだと思います。
お願いしている削蹄師さんは愛知県から来てくださっているのですが、朝8時半から始めて、お昼過ぎの1時半前には終わってしまうので、夕方の仕事まで時間があって牛もーが休めるせいか、搾乳時にはもう落ち着いているので本当に助かります^^*

そして、爪を切った際に、その爪に潰瘍が出来ていたりすると治療をして包帯も巻いてくださいます。(今回も居たのですが、写真を撮る前に包帯が取れてしまいました・・・)
人間と同じく、牛もーも体調の変化は爪にも出るので、削蹄時に爪に問題があった子にはビタミン剤を多く添加したりと対処できるのもいいですね。

ちなみに、この方達にセロリとパセリ(羊)の爪切りもお願いしている我が家でした(笑)

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今度はこれ。
牛もーのしっぽを持ち上げて何をしていると思いますか?

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正解は、採血とツベルクリンの注射です^^
先月は予防接種の様子を写真に撮りましたが、この採血でヨーネ病、ブルセラ症、白血病に感染していないかを検査し、結核はツベルクリンで反応を後日みるのです。
どの病気もネットで検索してもらうとすぐ出てくるのですが、法定・届出伝染病だったり、人獣共通の感染症だったりするものです。定期的な検査とそれに対応した処置が、これらの蔓延を防いでくれるのです。

 

牛もーと暮らしながら考えるTPPのこと

牛にまつわるエトセトラ的な感覚で取りあげましたが、削蹄は資格を持ったプロの削蹄師さんが、採血は家畜保健所などの獣医さん達がそれぞれ行って下さいます。
酪農家が、毎日牛もーの世話をして搾乳を、安心して行えるのは、こういったケアのあれこれを、それぞれのプロの皆さんが行ってくれるからなんです。2月の記事で酪農家がお乳を搾るまでどれだけの人の手がかかっているか、という内容を書いたのですが、その裏には更に多くの方々の支えがあるのです。

ちょうどこの8月分の記事を書く少し前、TPPの話題がニュースを騒がせていて、生乳・バター不足も何かと取りあげられていました。付属するコメントを見れば、原料を安定供給できない酪農家に文句を言う筋合いはないとか、チーズやバターが高すぎるというものが多くあってとても悲しくなったのを覚えています。

私自身、生産者であり消費者でもあるので「高いな」という気持ちはわからないでもありません。また、これも私自身、自分の職業以外詳しく知らないので強く言うことは出来ませんが、生産の現場と消費の場所があまりに離れてしまった結果、双方を知る機会がとても減ってしまったんだろうな、とも感じました。

牛乳は、原料をセットしボタンを押せば出てくるというような、ある程度計画生産のできる工場製品とは異なります(勿論、機械製品にも計り知れない苦労があり、メンテナンスが必要なのだとは思いますが)。私たち人間と同じように生き、暑さ寒さを感じ、病気にもなる牛が、沢山の人たちの支えによって出来うる限り健康体で飼育され、そして酪農家が搾って出荷し、皆さんの手元に届くものです。

TPPに関しては、様々な分野の異なる立場から物事を見なければならず、本当に難しい問題だと思います。けれど、食べることは人の基本。農地も、家畜も、一度手放してしまったら、もう一度始めるには莫大な時間と労力が必要になります。
今はまだ「輸入」で何とかなっているかもしれません。けれどこのまま異常気象や世界人口が増え、お金を出しても買えない時代が来たとき(輸出国が自国の人間を優先したとき)、その瞬間からまた国内で生産しようでは間に合わないはず。
TPPが締結されようがされまいが、私たちはもっと自分で出来る範囲で生産の現場を情報として発信していかなければならないし、消費者の皆さんには、自分たちが当たり前のように口に入れている食品のことを積極的に知って欲しいなぁと、私自身にとってもまだまだ珍しい体験のうちに入る爪切りや採血の様子を見ていて思ったのでした^^

 

京都、真夏の三日間^^*

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ちょっとまじめに語りすぎましたね!^v^*
先月から今月にかけては全力で遊びもしたので、せめてブログでは・・・と、その反動かもしれません(笑)

先月は梅雨と台風の合間をぬって、大学時代の友人と京都旅行をしてきました^^*
私は京都が好きでよく遊びに行くのですが、金閣寺や三十三間堂は中学の修学旅行以来だったせいか、子供の時に見て印象に残っていた景色と今とでは全く感じ方が異なっていて、とても不思議な気分でした。

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個人的な目当てはルーヴル展だったのですが、作品のチョイスが時代背景を強く反映したものが多くて、ちょっと物足りない気分で帰宅しました(笑) 何年も前に上野で見たルーヴル展に感動して、2年前に実際に、日本人だけで夜のルーヴル美術館を貸し切るツアーで堪能しているので物足りなかったのかもしれません。やっぱり現地で見る迫力は違うってことでしょうか^^

暑い京都の三日間でしたが、食べて遊んでお喋りして、ついでに映画も見て(笑) 本当に楽しかったです^^* 

 

劇人さんとの交流も楽しむ「いいだ人形劇フェスタ」

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8月4日からは、日本で最大の人形劇の祭典、いいだ人形劇フェスタが6日間の日程で開催されました^▽^*
人形劇というと子供向けなイメージがあるかもしれませんが、とんでもない! 勿論地元の小学生や、アマチュアチームの公演など、一生懸命なのは伝わってくるけどもうちょっと!な作品もありますが(笑) 今年見た有料公演は、人形劇団むすび座の「地獄八景亡者戯Ⅱじんたろうと眠り竜の巻」という90分の骨太な人形劇でした。

8月のこの季節に合わせたのか、戦争をテーマに組み込んだ物語だったのですが、簡単に説明すると、とある村の守り神である眠り竜が眠る山門が、土地開発で取り壊されるところから始まります。色々あって(笑) 現代から祖父の幼少時代(第二次世界大戦中)にタイムスリップしたじんたろうが、戦争という地獄、戦火に翻弄された人々が眠りから目覚めた竜に守られる様子を見、現代に戻っても眠り竜を守らなくては! 思うのですが、そのとき眠り竜は言うんです。私の役目はもう終わった。今度は、お前たち一人一人が、あの戦火以降作り上げてきたこの平和を守っていかなければならない、って。
簡単に説明しすぎて全くですが(笑) 劇人さん達の声が本当に素晴らしく、作品の世界に入り込んでしまい、普段はあまり意識しない平和であること、幸せであることを考えさせられる展開で、後半はもうずっと涙が出てぐすぐすしてしまいました;;

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写真は、じんたろう役の劇人さんと、台湾の三昧堂創意木偶團隊さんのお人形さん。
とても素晴らしい人形劇やパフォーマンスに出会えることも勿論、フェスタの魅力は公演後にその劇人さん達と写真を撮ったりお喋りして交流できるところにもあります^^*
今回4人で一緒に回ったのですが、飯田市民は私だけ(笑) このブログを見て気になった方、来年のフェスタに是非遊びに来て人形劇を堪能してみて下さいね♪

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さて、随分長くなっちゃいましたね^^;
暑い暑いと言いつつも、朝晩はひんやり涼しい空気が流れて、日も心なし沈むのが早くなったように思います。実は油断して窓を開けっ放しで寝て、久々に何日も薬を飲んで寝て過ごすような風邪を引いてしまった私ですが><; 皆さんも、日中の熱中症だけでなく、朝晩の寒暖差にもお気をつけ下さいね!

500回。
私はまだブログを始めて今月でようやく8回目ですが、先に携わってきた関係者の皆さんそれぞれの想いが詰まった回数ですね^^* 私の農事録に限って言えば、拙い文章ではあるけれど、読んで下さる皆さんに、少しでも「何か」を感じて貰えるように書けたらいいな、と思います^///^*

では、また♪

ゆきさん農事録

 

この記事を書いた人

片桐由貴さん

伊那谷をまっすぐ南に向かって流れる天竜川流域の牛舎で、仕事と趣味、どちらも楽しむという片桐由貴さん。大学卒業後「やっぱり牛が好き!」と、家族の営む酪農に就農して12年。80頭ほどの牛たちと、ペットの羊2匹、猫5匹と過ごす日々を綴ります。

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