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故郷での就農を決意した「農楽人」な男前

男前百科

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ひたむきに頑張る人は、理屈抜きに男前!
信州の農業を担う次世代のリーダーとして歩み始めた若者たちのライフスタイルとは!?
志を持って農業に情熱を注ぐ、『若手男前農家』のオンとオフのありのままの姿をシリーズでご紹介します。

男前百科 vol.3
塩尻市 米久保 智さん

一番大事にしていることは「畑を疲れさせない土づくり」。土は一度でもダメにしたら元には戻せない。
これは親父から受け継いだ信条なんです。
親父世代の技術・知識にかなわないところはまだあるかもしれない。
でも、若い世代として、今できることをどんどんしていきたい。

 

3人目の「男前」は、松本盆地の南端、塩尻市片丘で、米や野菜など年間30品目以上を栽培し、「米印野菜BOX」としても販売している米久保智(よねくぼ・とも)さん(29歳)。取材当日は、横浜市から農業体験民泊に来ていたご家族と一緒に、レタスの定植作業にお邪魔しました。小さなお客様たちに「智くん、智くん」と慕われ、降水確率80%の曇天を吹き飛ばすイクメン! っいえ、イケメン! の登場です。

 

丁寧かつリズム良く
一面のレタス畑もあっという間に

「紅〜! 杏〜! いっしょにやるかぁ〜〜」
畑を元気に走り回っていたのは、農業体験にきていた小学生の紅ちゃん&杏ちゃん姉妹。広々とした畑の端には、一台のマシン!? そこに満面の笑みで乗り込む3人の姿は、なんとも微笑ましい限り。紅ちゃん&杏ちゃんも、初めてのレタスの苗植えに興味津々。もちろんしっかりお手伝いしたよね♪

「智くん、智くん」と慕われる米久保さん。びっくりするほど仲良しな3人組です
 

 植えたてのレタスの苗

ご存知の方も多いと思いますが、長野県はダントツ日本一の生産量を誇るレタス産地です。南北に長いため、春から初夏のレタス、真夏の高原レタスなど、その土地ごとに生産期間・収穫適期が異なり、長期間に渡っておいしいレタスをお届けすることができます。
米久保さんの畑では、5月定植・6月収穫の春レタスと、8月末から9月に定植・10月収穫の秋レタスの栽培を行っています。品種の特徴をいかし、その年・時季・気候などによって1年で4種ほどの苗を入れ替えて定植します。

定植作業。3列ずつ植えては下がる

この日は、オータムという病気に強い品種の苗を1枚200穴の株シート分で35枚植えました。定植台をコロコロと人力(足)でバックさせ、丁寧かつリズム良く作業を進めます。すべての作業を終えるには2時間ほど。10月には16玉入りの箱で400ケース程の収量となるそうです。

一面レタス畑。2時間ほどで整然と定植完了
 

父の言葉を支えに新しい品種にチャレンジ!
高品質な野菜を作り、安定経営をめざす

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「後はこれからの天気だけが心配です。9月には暑さが戻ると聞いて、期待しています。ただ、ここ数年の異常気象などに備え、リスク分散も必要。最近のゲリラ豪雨でも2km程度の範囲で被害を受けたり、全くの無傷だったりすることもあるので・・・。自分の代で新たな品種を増やしたんです」
と米久保さん。その方針にお父様は? と伺うと、
「大きな失敗は困るが、小さな失敗なら構わない。方向が間違っていたり、考え方が大きく違わない限り、しっかりと支える。やってみろ、と」
その言葉に力を得て、先代が築き上げてきた基盤に感謝しつつ、3年程前から一年を通しての安定経営を考え、米・トウモロコシ・根菜類などの品目を増やしたと言います。

現在は、JA塩尻市を通じて、中京・関西・九州地区などへ出荷する市場流通部門に加え、レストランや直売所への販売、さらにSNS等を活用した直売部門で販路を広げています。

10月にはシーズン最後の収穫を迎える(2013年撮影 提供:JA塩尻市)

 

「仕事も趣味も楽しめる環境がここにある!」
仲間とともに新しいビジネスモデルを

そんな米久保さんは、祖父の代に大きな商家から転身された農家の次男で、学生時代はバドミントンでインターハイ・インカレ出場というバリバリのスポーツマン。大学卒業後、ブライダルプランナーとしてサラリーマン生活を送るものの、自由と責任のある仕事を求め、かつ友人に勧められて始めたスノーボードにどっぷりハマリ・・・。その時、「仕事も趣味も楽しめる環境がここにある!」と故郷での就農を決意した3代目です。

「親父世代の技術・知識にかなわないところはまだあるかもしれない。でも若い世代として、今できることをどんどんしたい」と、先程の横浜市のご家族との交流をはじめ、異業種交流にも積極的。自らを「農楽人(のらびと)」と呼び笑います。
「今後はスタッフの通年雇用を整え、若い就農者を育ててみたい。シェアハウスのようないろいろな人達が集まれる場所も作りたい。集まった仲間と農業の新しいビジネスモデルも作りたい」と夢を語ってくれました。あくまで自然体だけれど、近い将来と真摯に向き合う姿勢、さわやかな笑顔がまぶしい男前なのでした。


 

米久保さんおすすめ!
レタスのおいしい食べ方

「初夏のレタスはサラダに最適。でもこれからのレタスは味噌汁が最高! 秋レタスは少し苦いと言われますが、加熱することでその苦みが旨味・甘味になるんです。それに味噌汁にするとビックリする程たくさん食べちゃうんですよ」

PROFILE

「食卓にひとつでも多くの野菜をのせよう!」をテーマとして活動中。皆様の生活においしい野菜が溢れるように頑張っています。いっぱい食べてくださいね。

男前百科

氏  名 米久保 智 (よねくぼ・とも)さん
ニックネーム よね
年  齢 29歳
血液型 A型
経  歴 農家の次男として生まれ、大学卒業後はブライダルプランナーとしてサラリーマン生活を送るも、自由と責任のある仕事で、かつ趣味も楽しめる環境があると、故郷での就農を決意した3代目。
生産内容 米1.25ha、レタス2ha、トウモロコシ2ha、長芋20aのほか、ゴボウや越冬人参など年間30品目以上
必須アイテム レタス定植台
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好きな食べ物 卵かけ納豆ごはん
趣味・特技 ダイビング・自転車ツーリング・スノーボード
学生時代はバドミントン(インターハイ・インカレ出場)
座右の銘 百忍千鍛事遂全(百を忍んで千を鍛えれば事遂に全うす)

よねくぼ農園

  • 長野県塩尻市片丘10239-2
  • TEL 0263-52-5214
  • 有機・減農薬野菜を年間30品種以上栽培し、「米印野菜」と命名。米と旬の野菜を詰め合わせた「米印野菜BOX」も販売中。
    最新情報は、よねくぼ農園のフェイスブックを。
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